冠野製作所

ギター、エフェクターについてつぶやいていきます。

Bカーブの可変抵抗でCカーブを作る

2024-12-21 00:24:42 | その他
Keeleyの4nob Comp を自作しようとしていたら、150KΩのCカーブの可変抵抗が使われていて、
入手できないので、以下のページを参考にBカーブの可変抵抗をつかってCカーブを実現することにします。

Bカーブから擬似Aカーブと擬似Cカーブをつくる | なんでも独り言

Aカーブを使いたいのにBカーブしか持ってないという状況があるかもしれません。 そんな時でもBカーブにちょっと細工(?)することで擬似的にAカーブやCカーブにすることが...

なんでも独り言 | 電子工作とか「つくる」のが好きな人の日々

 


ここで気になったのが、Aカーブの場合は、摺動子が真ん中のとき、抵抗値が15%になるものを15Aと呼ぶ、というように
定義があるのですが、Cカーブに関しては85Cのようないいかたをネットで見つけることができませんでした。
Cカーブの可変抵抗器のデータシートを見たのですが、グラフが掲載されておらず、分かりませんでした。
(自分で適当なCカーブの可変抵抗器を買ってみて測ればいいんですけどね。)

とりあえず、摺動子が真ん中のとき、抵抗値が85%になるようにするには、どうすればいいか考えてみました。

定格がR ΩのBカーブ可変抵抗器に、どんな値の抵抗を並列につなげればいいか考えます。
並列に接続する抵抗をa*RΩとします。
可変抵抗器をMAXにしたときの合成抵抗値は、a*R*R/(a*R+R) = a*R/(a+1)
摺動子を真ん中にしたときの合成抵抗値は、a*R*0.5*R/(a*R+0.5*R) = a*R/(2a+1)
摺動子を真ん中にしたとき、85%にしたいので、 0.85*a*R/(a+1) = a*R/(2a+1)
これを解くと、 a=3/14 = 0.21428...
このとき、可変抵抗器をMAXにしたときの合成抵抗値は、3/17*R

つまり、RΩの可変抵抗器(Bカーブ)に、3/14*R Ωの抵抗を並列につなぐと、3/17*R Ωの85Cカーブ可変抵抗器になる、ということです。

なので、150kΩの85Cカーブを作りたければ、
150k*17/3=850KΩのBカーブ可変抵抗器に 850k*3/14=182.14..kΩの固定抵抗を並列につなげればよい、と。
182kΩの抵抗器は何とかなるとして、850kΩのBカーブ可変抵抗器なんて存在しないので、結局無理かぁ。


厳密に85%にならなくていいので、何とかならないか考えます。まず、入手可能なBカーブの可変抵抗器として、1MΩを選択します。
これに、並列に抵抗を入れて合成抵抗を150kΩにするには、

1M*x/(1M+x)=150k
1M*x=150k*1M+150k*x
x=150k*1M/850k=176.470..k
E24系列から選ぶとすると、180kΩとなります。

そうすると、合成抵抗は 1M*180k/(1M+180k)=152.5423....kΩ  誤差約1.7%なので、上出来。(そもそも炭素被膜抵抗の誤差が5%あるので)
摺動子を真ん中にしたときの合成抵抗値は 500k*180k/(500k+180k)=132.3529...kΩ
132.3529/152.5423=86.76% ちょっと85%より大きい

というわけで、150kΩ(85Cカーブ)は、1MΩ(Bカーブ)と180kΩの並列接続で実現できることがわかりました。



これを応用すれば、任意の抵抗値のCカーブが作れそうですね。

補足:同様に、90Cカーブにしたいときは、a=1/8 となり
可変抵抗器をMAXにしたときの合成抵抗値は、8*R/9 Ω

つまり、RΩの可変抵抗器(Bカーブ)に、1/8*R Ωの抵抗を並列につなぐと、8/9*R Ωの90Cカーブ可変抵抗器になります。


....と、ここで驚愕の事実が判明

JIS C 5260 “電子機器用可変抵抗器” にA,B,Cカーブが定義されていました。 なんとCカーブは右肩下がり!

JISC5260-1:2014 電子機器用可変抵抗器-第1部:品目別通則

この規格は,品目別通則であり,ねじ駆動形,半固定形,多回転形などを含む全ての可変抵抗器(以下,可変抵抗器という。)について規定する。

kikakurui.com

 




なので、"85C" ではなく"15C" でした。

ポテンショメータの構造からして、左に回し切った時に抵抗値が最大になるようには、できないような気が。
とおもったら、Cカーブの場合、端子番号が逆配列になっているようです。

https://www.mouser.jp/datasheet/2/54/PDB181-GTR-1013660.pdf


ここで、KEELEY 4knobs Comp の回路図を見直します。

https://aionfx.com/app/files/docs/aurora_legacy_documentation.pdf

この回路図だと、時計方向に回すと抵抗値が増加していくことになっていますが、端子番号を、AカーブやBカーブのものと
同じだとかんちがいしているとおもわれます。




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