ここ1年間、高校生を対象に消費者教育をしてきた。対象となる生徒の人数を数えてみたら約1700人と非常に多くて自分でも驚いた。
民法改正による成年年齢の引き下げをにらみ、契約の基本、お金の使い方、消費者トラブルの事例等を盛り込んだ内容で、1コマ50分を実施した。元々私は、消費者問題の専門家でもなく契約のプロでもないので、講座の内容も自分レベルに合わせた程度で、専門家から見ると極めて幼い内容だと思う。
ところがである、アンケートの自由記載コメントには分かりやすかったという記述が多かった。なぜだろうか?
このミッションを引き受けるに際し、私は講座のコンセプトを自分なりに決めた。消費者問題に対する知識では勝負できないし、教師経験もないので教える技術も無い。そこで、伝わる内容にすることだけを考える事とした。自分の持つ知識を伝える努力と、それが正しく伝わる事とは次元が違う事に気付いたからだ。