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紙を彫る。紙で染める。

若者たちの青い夏休み−本編−

このブログを書き終えなければ
私の夏休みは永遠に終わらない!
(え?やったー!🙌)

ということで
ちょっとお久しぶりになってしまいましたが😅型彫り師を目指す若者たちの夏休みを追う!静岡の旅!

本編です





予想外に注染ではなく、
藍染めの工房「増田あいぜん工房」さん
を訪れることになった私たち。


体験させていただける内容も変化することに。

思い切って藍染めの増田さんに交渉してみると自作の型紙の持ち込みを了承いただきました!!

バンザーイ!!!😆😆


今回、旅のメインとなる若手達の多くは「道具彫り」という 伊勢型紙4技法のうちのひとつを志す皆さん。

(様々な刃先にこしらえた道具を使う。ひと突きでその形の穴をあけられる彫り方)

修行中に彫った習作や、今回の藍染め用にと、短期間で新たに染まりやすい大きな柄を用意したりと、思い思いの型紙を持参していました。


私はいつもの小紋型ではハンカチが埋まらないなあ〜と悩んだ挙げ句、初めて自分の商品用に作った注染のでっかい型紙を持っていくことにしました。
(注染で染めた手ぬぐいと型紙。型紙は130✕50cmある)


まあ大は小を兼ねるということで😅


妹弟子の丸田さんは自称お洒落女子に不釣り合いな、なんとも迫力のある龍🐉の型紙を持参してました。
(なんで?😂)





朝早く三重県鈴鹿市の最寄り駅を出発し
新幹線でびゅん!と静岡まで🚅🍵

お昼前には静岡駅にて静岡在住の伊勢型紙若手彫師の宮崎なつみさんと合流。
感動の再会✨もそこそこに(笑)

目的地の増田あいぜん工房さんへ到着しました!




まるで日本そば店のような風情をまとった工房正面

やや緊張しながら呼び鈴を鳴らし、増田さんとご挨拶。
(型紙のご依頼を受けたことは何度かありましたが、実際にこうしてお会いするのは初めて💦)


最初に通された工房の2階は増田さんがコレクションされた型紙が至る所に積まれ
まずは染色業としての増田家の経緯や藍染めの解説をして頂きました。

丁寧!!!😭



そしてついに藍染めの作業場へ。



お一人で使いやすいように整備された工房には藍瓶が2つ
我々を待ち構えてくれていました。

まずは型紙の模様を生地の上に写す、
糊置きという非常に重要な作業があります。

真っ白なハンカチが伸子(しんし)で伸ばしてあるのを外し、板の上にピンで固定。※伸子とは先に小さな針のついた竹ひご

ペースト状の防染糊を会津型の時とおそらく同じ出羽ベラ(?)ですくい、生地の上に置いた型紙の上に塗り拡げます。

(一人でできるもん)

(え?あれ?これでいいんだっけ)



(かなり細かい型紙で挑むM田さん)

均一に、たっぷり、
糊を置いていくのは難しい!

会津型や、それ以外(はるか昔に長板中形の工房で)でも体験し、何度かやっているにも関わらず、やはり難しい!!

昨年春に名古屋で小紋染の糊置きを半日練習したけど、やはりこれとはまた違うから難しい!!🤣





結局最後は増田さんに整えて頂き、型紙をそっとめくりました....
(仕上げはおか〜あさ〜ん♪byハミガキの歌)




おがくずを撒いて生地を板から外し

(とりあえずドヤる)

裏から水をスプレー。
(このくだり、会津型でもやったぞ!と一人復習)


(そしてドヤる※ただの霧吹きです)


十字に伸子を刺して、一旦屋外で乾燥させます。

(ウフフ...アハハ...!)

(なんでも嬉しい若者達)





干されたハンカチを眺めながら...

これはかなりヨレちゃった感じだろうか...🤔

そうでもないんだろうか...😑

とひとり不安に慄いておりました....





ちなみに丸田さんはほぼ全てプロ(増田さん)に糊を置いてもらい悠々すごしてました。
↑体験とは?




さて藍瓶をみんなで囲み
つぎはハンカチをついに藍染めします!!😃





美しく濃紺にたゆたう藍瓶。

そこへ突然 竹竿を突っ込む増田さん。

みるみる竿は沈み、落ちたら私の額くらいまでありそうな深さ😱



ひぃ!怖い!(笑)

藍は不透明で底が見えないだけに、まさに底しれぬ恐怖というやつですね。
これは何がなんでも落ちないように気をつけないと!

押すなよ押すなよ〜は業界では押せの意味ですが、今回は特別に避けるのが賢明☝

順に並び、足元に注意しながらゆっくりとハンカチを藍に漬けていきました。


(押すなよ〜押すなよ〜)

1分✕2回ほど漬けてたら、表に出て、空気中で酸化させます。

出したばかりのハンカチは緑色しているのに、みるみる深い青色になっていきます。


これを繰り返すことで青から紺へ、紺から濃紺へと濃くなっていきます。

やりすぎると糊がゆるくなり、柄がよれてしまうため今回は4回までに。




今度は水槽の中で糊を落とします。



しばらくしたら伸子をはずし、バシャバシャと振り洗い。
いささか服を濡らしながら
おおお!すごいー!
(意外ときれいだー!!)
歓声と共に自分が彫り抜いた模様とご対面しました😳


若手の皆さんも
持参した細かめの模様が想像以上に綺麗に染まっていることに感動したり、糊が薄くてイマイチはっきりしてなかったり、
悲喜こもごもですが😂
一様に嬉しそう😆










改めて若い皆さんと一緒に染屋さんに来られて本当に良かったなぁと...😭
ばあやも嬉しゅうございますぞ。
(突然のばあや)





初めての藍染めでほくほく顔の一団。

増田さん深く感謝し、工房を後に。

せっかくなので!
と、この日は近くの芹沢銈介美術館
にも立ち寄ることができました。

(近くといいつつ増田さんが車で2往復して我々を送ってくださいました!立つ鳥跡を濁しまくり。感謝しかない😭)



芹沢銈介さんは型絵染の人間国宝のお一人。
沖縄の紅型の技法を取り入れ、着物から 日用品まで様々なものを製作されていました。

私は型紙の修行を始めた頃(だったかな)初めて京都での展示会で出会い、

おじさんが作ったものが何でこうも可愛いのか!!!

と大変に衝撃を受け(失礼)
以来、芹沢さんの作品が大好きで、あらゆるものを型染めらしいデザインに変身させるセンスに心酔😍😍😍

色も柄も本当に全部素敵なんです!

いつも小紋以外の型紙のデザインを考えるときは芹沢先生が憑依してくれるのを祈っています。



伊勢型紙たる緻密な模様だけが型染めの魅力ではない。

こんなにもおおらかで
大胆で
活き活きした染め物も
型紙でできているんだな〜 

伊勢型紙の職人の視野を広げてくれる。それが型絵染の世界だと思っています。

(必要な感性が違うので、両立するのは難しいかもしれませんが)



この日は
「暮らしにとけこむ型染―芹沢染紙研究所の仕事―」
というタイトルで紙を染めた作品を中心に展示されていました。


カレンダーやはがき、扇子やうちわなど
どれも身近に使ったり置いたりして楽しむことができるアイテムが多く、
マッチ箱の小作品がたくさん並んでいる場所では、その愛らしさにいっつまででも眺めてられるわ〜😍と幸せな時間でした。


あーこういう
人を幸せな気持ちにできるようなものづくりができたら素晴らしいな〜✨

芹沢先生。
つくり手としても学びがあるなぁ〜😌

今回も勉強させて頂きました!





いやー
にしても
ど真夏のしぞーか(静岡)は暑かった!!
美術館の隣の登呂遺跡も暑かった!!

竪穴式住居のなかは....
ちょっと涼しかった(笑)
(弥生人ライフは意外と快適そう)






登呂遺跡をバックに
夏空に映える
真っ青なハンカチをはためかせ
わたしたちの型紙職人道は続くのであった......!







−−−劇 終−−−




さておまたせした静岡旅行記もこれにて終了。

今回も駄文かつ長文を最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた今度(^o^)/



圧倒的感謝!!!
▷増田あいぜん工房さん




おまけ?

早速ハンカチをまとい、登呂の人々に思いを馳せる型屋2110
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