今回はシリーズ記事
〜紋様が生まれるとき〜です!
型屋2110では「今新たに型紙を作るならどんな図柄にするべきか」を考える事を大切にしています。
伝統紋様はそのままで充分素晴らしい。
紋様の図録を見てるだけでハッとさせられたり、やられたー!と思う事たびたび。
しかし現代の目の前の皆様に身に着けて頂く、楽しんで頂く為には
今私がその柄で型紙を彫る理由が欲しいのです。
型屋2110オリジナル紋様
「紅白梅」
実は最初は「曲水の庭」というタイトルをつけようと思っていました...
あれは2019年11月。
中部を代表する美術館である、名古屋の徳川美術館で凛九の展示会をさせて頂けることになりました!😳
その際の展示テーマは「源氏物語」
展示会タイトルはその名も
工芸で読む源氏物語
〜花九つ凛と光りて〜
/バァァァン!!\
でした!
凛九メンバーで一人ずつ“推し姫”を選んで工芸作品で表現しよう!という
楽しくも難しいコンセプトで企画がスタートしました。
もともと古典に詳しいわけでもない私。
こりゃ悩むだろうなあと心配していたのですが、いくつか資料を眺めるうち
「君に決めた!」
と確信を得た一人の姫が居ました。
主人公光源氏の息子の妻となる
『雲居の雁』(くもいのかり)でした。
源氏物語はたくさんの恋の物語が展開されますが、多くは男性側からの一方的なものばかり。唯一、雲居の雁と光源氏の息子夕霧の幼なじみから発展した恋愛結婚は一番私の中でしっくりきて応援できるカップルでした。
紅白梅という紋様は、そんな二人の子供時代を表したものです。
小さな手をつなぎ、連れ立って歩いた庭。
春には香る梅を
秋には真赤なもみじを愛で
きっと当時の二人の世界の全てであった庭(曲水庭園)をイメージしています。
曲水というのは貴族が住まう邸宅にはよく見る、庭に人工的に作られたくねくね曲がっている小川。
主題は梅と水の模様ですが、背景に小さな梅と紅葉をぎゅっと並べました。
ひとつひとつのモチーフは古典柄らしいシンプルなものですが、敷き詰め方やレイアウトを工夫して完成した模様全体からは、そこはかとなく二人の歩く庭の風景が浮かびませんか??
(あなたの想像力を全力応援!!!!!)
ちなみに着物では桜と紅葉など春と秋にあるものを一緒に入れて、通年着れるように工夫したりすることがよくあります😌
このようにこの紅白梅は、
展示会に出すオリジナル作品のための、人やテーマを表現する手段として新たに生まれた紋様でした。
さて、まずは模様を考えてはみたものの...
🤔🤔🤔
一体何の形で作品を仕上げようかと考える段になり、伊勢型紙だからと単純に着物にするのもよいのですが、もっと広く伊勢型紙をお伝えできる
『お部屋に飾るインテリアにしよう!』
とパネルにしてみました😄
でもお部屋に飾るなら四季のバリエーションがあった方が楽しいのではないか?
私が推したい雲居の雁は可愛いだけの女じゃない!その部分も作品に込めるべきではないのか?
と悩みに悩んだ挙句、徳川美術館の展示会には別の作品を仕上げて出品することになりました。
わーん😵
結果として美術館では日の目を見ることができなかった紅白梅ですが、この度マルシェルで皆様にお目にかけることができてよかったです!!✨
(まだ白梅しか載せられてませんが紅梅もぼちぼち頑張ります😅)
型紙の仕組みについて
繊細な梅の花芯や大胆な水の文様は、型紙1枚で全て彫り上げてしまうと染める際、刷毛で引っ掛けやすく、強度が足りないため、ひとつの絵柄を2枚の型紙に分けて彫って、染める際にまた柄を合体させています。
型紙の上からは実は白しか染めていません。
型紙を染める前に、下地に梅の赤や水色を刷毛でぼかしながら摺り込んでいます。
台紙の色や下地に染める色を変えることで、ひと組みの型紙から紅梅と白梅の2種類の作品を作っています。
模様の話を聞いて、皆さんも少しだけ源氏物語や雲居の雁に興味が湧いてくれたら嬉しいです😆
かなり個性的で、飾らず、ありのままの女性なのできっと応援したくなるはずです。
ちょっと特殊な経緯の作品。
なかなか話す機会がないものですが、このようにブログで書かせていただけたので、アナタにひっそりと伝える事ができてよかったです。
これからもひっそりと話を聞いてやってくださいませ。
長くなりました(^_^;)
今日も駄文をお読みくださりありがとうございました😍
それでは皆様良い一日を〜(^o^)/