役所広司がカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した映画「パーフェクトデイズ」を見てきた。これだけの映画なら、本来、日本ではもっと大々的に公開という感じなんだが、地味でシネコンの上映機会も少なかった。
小生が出かけた会場も小さなスクリーンだった。内容は・・・一言でいえば、「観ている人それぞれが何を感じるのか、それぞれでいいよ」と言っているように感じた。
若い頃なら、何これ? と思ったかも知れない。だが、今の年齢になってからは、かなりしみこむものになった。
ネタバレにならないレベルで紹介するが、主人公は役所広司演じるトイレの清掃員。無口で生真面目、仕事に対しては誠実そのもの。
そんな彼の普通の日々を淡々と描いていく。こちらに、作品の共同監督になった松居大悟氏の対談記事がある。ここにある「映画って、本当は物語を追うことじゃないんだ」というセリフが、この映画を端的に語っている。
見ている間、次にこれがどう回収されるのか、気になるエピソードはいくつかあるのだが、それはご覧になってからのお楽しみだ。
彼が住んでいるのは浅草近くのアパート。こんなところも出てくる。小生にとっては、なじみのある場所が多く、そうそうここだよって・・・
ちなみに映画のキャッチフレーズが、「こんなふうに生きていけたら」というが、なるほど・・・と。
シンプルを絵に描いたような、というかシンプルすぎる部屋に、あるものとないもの・・・わかりそうで、わからない彼の過去・・・それらのすべてはおそらく、観ている人に委ねられている。
何より、これまで観た映画の中で、おそらくもっとも主役のセリフが少ない映画だったかなと・・・
といいつつ、ラストには心奪われた。そして改めて役所広司すげえって・・・
個人的には感動という言葉よりも、心を奪われたという感じの映画になった。
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