小生がよく立ち寄るブログで、柳家喬太郎が主演の映画が紹介されていた。また、たまたま喬太郎の独演会でも、そのことが本人から告知されていてこれはいかずばなるまいと・・・それが「スプリング、ハズ、カム」という映画である。
ということで、本日出かけてきた。場所は新宿武蔵野館。10:30~の一回だけで、18日~24日まで。25日からは渋谷18:30~というが、わずか二週間の公演だ。
小生が上京したころにはすでにあった映画館だが、さすがに施設は新しくなっていた。平日の午前とあって、さすがに混雑はしていなかった。こんな看板が迎えてくれていた。
この映画、e-girlsの石井杏奈とのダブル主演ということだが、この石井杏奈がなんともいい感じを漂わせてくれる。なんとなく真野恵里菜に似ているようにも・・・
この映画で初めて知ったが、お気に入りになってしまったぞ。そういえば初日の舞台挨拶で、喬太郎がアウェイ感たっぷりだったといっていたが、なるほどそれもかくやと。
喬太郎は、シングルファーザーのタクシードライバー、石井杏奈をずっと男手ひとつで育ててきたオヤジ役。チェックのシャツにウエストポーチそしてダウンという姿がたまらん。
この二人の主役は、大学進学で上京する石井杏奈の部屋探しから始まる。亡くなった奥さんの妹さんをはじめ、いろんな人が入れ代わり立ち代わり二人に絡んでくる。
喬太郎は不器用で、でもまっすぐに奥さんとお嬢さんを愛しているオヤジ。そのお嬢さんも、ありえないくらいにいいお嬢さん。
二人のやりとりや、表情に暖かいものが流れ続ける。また、東京といいながら、どことなく田舎の匂いのする街並みと大家さん。
すべてがゆったりと・・・そして静かに流れていく。過激なアクションシーンや、事件が起こるわけではない・・・ひたすら、静かに暖かく・・・
いつしか自分もそのストーリーの中にいた。高校を出て東京に出てきたときのこと。初めての一人暮らし・・・あのわくわくしながらも心細かった日々。
また一人娘を持つ親としての自分が、喬太郎の心に重なってきて・・・途中からこらえきれずに号泣状態となった。
もし、誰かと一緒に来ていたら恥ずかしいくらいに、顔じゅうクシャクシャになってしまっていた。最近涙腺が弱くなった小生だが、これだけやられたのは初めてだ。
喬太郎は、落語界の鬼才と言われているが、この映画を見て、ある噺家が言っていた「あの方は、『器用貧乏』ならぬ『器用大富豪』です。天才です。」という言葉を思い出した。
映画の中の喬太郎は落語を見ているようでもあり、リアルな一人のオヤジのようでもあり、まさしくこの役は喬太郎のためにある・・・いや、喬太郎にしかできないと。
この映画が、マスコミに注目されることはなさそうだが、ぜひ、もっとたくさんの劇場で上映してほしいと思った。
これだけ暖かな気持ちになった映画・・・初めてかも。最後のこちらの写真のときなんかは・・・声を出しそうなくらいだったぞ。そして、きっとこの親子はこれからも静かに時を過ごしていくんだろうなあ・・・お嬢さんが結婚するときのオヤジは・・・なんて、いろいろ想像してしまった・・・いまだに感動している小生である。
ハードル高いがお時間あればぜひ、おすすめしたい。
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