かはたれのジエン

イタチの最後っ屁 ・・・なので、コメントにも屁を垂れるしかできませぬ

魂むすび(第百十段)

2014年12月09日 | 伊勢物語 

 昔、男、ひそかに通う女ありけり。それがもとより、「今宵夢にお見えになりましたね」と言ってきたので、男、

   あなたへの想いあまって行きました 今夜も逢えたらぜひ魂むすびを

伊勢物語 魂むすび 百十段 わかりやすい訳 現代語訳

思ひあまりいでにし魂のあるならむ 夜ぶかく見えば魂結びせよ

昨日からの「短いせ物語」、前半とは趣が異なる。今回も画像は遠慮。
昨日のアクセス解析、ページごとの閲覧数は「日付毎の記事一覧」が多かった。15/50。こんなの初めて。見てみると、政治的なものがまあ多いか。いよいよ始まったか、「検閲」。


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花よりも(第百九段)

2014年12月08日 | 伊勢物語 

 昔、男が、大切な人を失った友達に、歌を贈った。

   花を待つこともなく …

伊勢物語 百九段 わかりやすい訳 現代語訳

花よりも人こそあだになりにけれ いづれをさきに恋ひむとか見し


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夜毎の蛙(第百八段)

2014年12月07日 | 伊勢物語 

蛙

 昔、女、男の心を恨んで、

   風吹けば永久に波越す岩なれや 我が衣手の乾く時なき

と、いつものように言ってきたので、男、

   宵毎に蛙の数多鳴く田には 水こそ増され雨は降らねど

伊勢物語 百八段 わかりやすい訳 現代語訳

風吹けばとはに浪こす岩なれや わが衣手のかはくときなき
宵ごとのかはづのあまた鳴く田には 水こそまされ雨はふらねど

 

男、やんなってるね。しばらく、短いせ物語が続きます。


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涙川(第百七段)

2014年12月03日 | 伊勢物語 

「光」の方

 昔、高貴な男ありけり。その男のもとにいた女に、内記にあった藤原敏行という人が夜這いした。されど女はまだ若かったので、文もしっかりとは書けず、言葉の使い方も知らなかった。まして歌など詠めなかったので、かの主である人が、案を書いて、女に書かせてやった。男はすっかり感激した。さて男が詠むには、

   あなた想う気持ちに勝る涙川
        逢うこともなく袖ばかり濡れ

返し、例の男が、女に代わって、

   袖ほどの浅さなのね涙川 流れてしまうと言ってください

と言ったところ、男は、たいそう感激して、今日まで丁寧に巻いて文箱にしまってあるという。

 男が、文をよこした。女を得て後のことである。「逢いに行きたいが、雨に降られて空模様を見て困っています。我が身幸いならば、この雨は降らなかったものを」と言ったところ、例の男、女に代わって詠んでやらせた。

   問うこともできぬ想いはそのくらい わかりましたの雨ばしゃばしゃと

と詠んでやったところ、蓑も笠も取らずに、びっしょりと濡れて慌ててやってきたとさ。

伊勢物語 涙川 百七段 わかりやすい訳 現代語訳

つれづれのながめにまさる涙川 袖のみひちてあふよしもなし
あさみこそ袖はひつらめ涙川 身さへながると聞かば頼まむ
かずかずに思ひ思はず問ひがたみ 身をしる雨はふりぞまされる

 

男、かわいい。竹取物語は究極。それにしても、ほとんど訳さなくてもいいくらい、現代の表現に近いのに驚かされる。こういったものを、国語の教科書に載せればいいのに。歌もいいし。画像は、「今年の10大ニュース」?


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龍田川(第百六段)

2014年12月02日 | 伊勢物語 

おいしそ

 昔、男、親王達が逍遥されている所に伺って、龍田川のほとりにて、

   神代にも聞いたことはありませぬ
             韓紅に括り染めいて

伊勢物語 龍田川 龍田河 ちはやぶる 百六段 わかりやすい訳 現代語訳

ちはやぶる神代も聞かず龍田川 からくれなゐに水くくるとは

これまた有名な一首。この3月に龍田川を渡った。鯨の竜田揚げには、小学校の頃にお世話になった。この前食ったやつ、最高においしかった。それにしても、流行語大賞、選挙前に「集団的自衛権」はないんじゃないの。リューコーゴ。誰も死ぬ気はないか。


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白露(第百五段)

2014年11月29日 | 伊勢物語 

追いかけたい

 昔、男が、「このままでは死んでしまいます」と言ってやったのを、女、

   消えるなら消えてしまえば白露の
           消えぬとて糸通す人いず

と言ったので、ひどすぎると思ったけれど、女への想いは強まるばかりだった。

伊勢物語 白露 百五段 わかりやすい訳 現代語訳

白露は消なば消ななむ消えずとて 玉にぬくべき人もあらじを

 

「男と女のお話」復活。いや~、女は強いね。逃げるから、追いかける。


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賀茂の祭(第百四段)

2014年11月28日 | 伊勢物語 

斎宮なんで

 昔、さしたる事情もなくて尼になった女がいた。尼にはなったけれど、心惹かれるものがあったのか、賀茂の祭を見に出かけたところ、男が、歌を詠んでやった。

   世を憂い尼となりし人見れば
       目配せしてよと言われたみたい

 これは、斎宮が物見していた牛車に、こう申したものだから、途中で引き返したという話だ。

伊勢物語 百四段 賀茂の祭 めくはせよ わかりやすい訳 現代語訳

世をうみのあまとし人を見るからに めくはせよとも頼まるるかな

海藻(みるめ)食わせよ、ってことなんだって。海藻物語、久々。


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寝ぬる夜の夢(第百三段)

2014年11月24日 | 伊勢物語 

儚き景色

 昔、男ありけり。大変真面目で実直で、軽薄な心がなかった。深草の帝にお仕えしていた。魔が差したのだろうか、親王達の寵愛していた女に手を出してしまった。そして、

   あなたとの夜の夢のはかなさよ
         募る想いはただはかなさよ

と詠んでやった。後朝の歌にしては、どうも…。

伊勢物語 百三段 わかりやすい訳 現代語訳

寝ぬる夜の夢をはかなみまどろめば いやはかなにもなりまさるかな

 

クロザル、人間そっくり。いや、人間より利口。


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背くとて(第百二段)

2014年11月23日 | 伊勢物語 

背いてます

 昔、男ありけり。歌は詠まざりけれど、男女の機微をよく知っていた。ある高貴な女が、尼となって、世の中を疎ましく思って、京にもあらず、遥かなる山里に住んでいた。元親族だったので、詠んでやった。

   背くとて雲には乗らぬものなれど
       世の憂きことはよそになるという

と詠んでやった。

 かの斎宮である。

伊勢物語 百二段 わかりやすい訳 現代語訳

そむくとて雲には乗らぬものなれど 世の憂きことぞよそになるてふ

 

69段の後日譚?地震で犠牲者なくてよかった。学ぶこと多そう。


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藤のかげ(第百一段)

2014年11月22日 | 伊勢物語 

ノルウェーの議員さんだそうで

 昔、左兵衛督の在原行平という人がいた。その人の家によい酒があると噂になって、高位の左中弁の藤原良近という人を主賓として、その日はもてなしの宴を開いた。行平は風流な人だったので、瓶に花を生けていた。その花の中に、あやしいほどの藤の花があった。花の房が三尺六寸くらいあった。それを題にして詠んだ。読み終わる頃に、主の兄弟が、客をもてなしていると聞いて来たので、つかまえて詠ませた。もとより歌のことは知らないのでと、断ったけれど、無理に詠ませたら、こう詠んだ。

   咲く花の下に隠れる人多く
       ますます大きく藤の陰かも

「どうしてこんなふうに詠むのか」と言ったので、「太政大臣が栄華の極みにいらっしゃるので、藤原氏が大変栄えていることを思って詠みました」と言った。人は皆悪く言わなくなった。

伊勢物語 百一段 藤のかげ わかりやすい訳 現代語訳

咲く花の下にかくるる人おほみ ありしにまさる藤のかげかも

 

為政冶物語。


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忍ぶ草(第百段)

2014年11月21日 | 伊勢物語 

壮観ですな

 昔、男が、清涼殿と後涼殿の間を渡っていたら、あるやんごとない女君の部屋から、忘れ草を「これが忍ぶ草?」と、差し出させたので、受け取って、

   忘れ草生える野とでもお思いで? 忍ぶ草です大丈夫です

伊勢物語 百段 忍ぶ草 わかりやすい訳 現代語訳

忘れ草おふる野辺とは見るらめど こはしのぶなりのちも頼まむ

 

ついに、(ようやく?)100段。また「しのぶ」。初段に。タカタ、来ましたな。


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ひをりの日(第九十九段)

2014年11月20日 | 伊勢物語 

お馬の稽古

 昔、右近の馬場のひをりの日、向こうに停まっていた牛車に、女の顔が下簾からほのかに見えたので、中将だった男が詠んでやった。

   見えそうで見えないあなた誰かしら
          一日ぼーっと過ごすんだろな

返し、

   知る知らぬどうしてそんなに気になるの?
              想いの火こそ道しるべでしょ

後で誰かはわかったけれど。

伊勢物語 ひをり 九十九段 わかりやすい訳 現代語訳

見ずもあらず見もせぬ人の恋しくは あやなく今日やながめ暮さむ
しるしらぬ何かあやなくわきていはむ 思ひのみこそしるべなりけれ

 

ひをり=仕上げの騎射試乗。よくわからん。後で簾は上げられた。酔って現代語訳を読んだ時は、本質をついてる!と思ったのだけれど、ちと違うのかも。でも、「分け隔て」が、悪とか面倒とかの始まりだろう。まあ、おもしろさの始まりでもあるが。


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梅の造り枝(第九十八段)

2014年11月14日 | 伊勢物語 

紅白梅図屏風

 昔、太政大臣であられる方がいらした。お仕えする男が、長月の頃、梅の造り枝に雉をそえて、献上するというので、

   頼りとする君のためにと折る枝は
      時季でもないのに咲くものですね

と詠んで差し上げたので、たいそう深く満足がられて、使いに褒美を与えた。

伊勢物語 九十八段 梅の造り枝 わかりやすい訳 現代語訳

わが頼む君がためにと折る花は ときしもわかぬものにぞありける


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四十の賀(第九十七段)

2014年11月13日 | 伊勢物語 

アラフォー

 昔、堀河の大臣と申す方がいらした。四十の賀を、九条の邸でされた日、中将の翁が、

   桜花散り交い曇らせ老いの来る
         という道まぎらわせるように

伊勢物語 四十の賀 九十七段 わかりやすい訳 現代語訳

桜花散りかひ曇れ老いらくの 来むといふなる道まがふがに

 

  

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 今の40歳は、こんなことをしてます


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天の逆手(第九十六段)

2014年11月12日 | 伊勢物語 

姫の逆立ち

 昔、男ありけり。女を何かと口説いているうちに月日が経った。石や木ではないのだから、かわいそうだと思ったのだろうか、次第に男を想うようになった。時は水無月の望月の頃、女の体にできものが一つ二つできた。女が、「あなたに対しては何もありません。できものが一つ二つできました。とても暑いですね。少し秋風が吹くようになったら、必ずお逢いしますから」と言いよこしてきた。秋を待つ間に、あの男でいいのかという声が聞こえてきた。そこで、女の兄が突然迎えに来た。すると、女は楓の初紅葉を拾わせて、歌を詠んで書きつけてよこした。

   秋にはと約束したのにすみません
          木の葉積もるほどの縁です

と書きおいて、「あの人から使いが来たら、これを渡して」と言って去っていった。そして、そのまま、その後の消息は今日までわからない。幸せなのか、どうなのか、行った先もわからない。かの男は、天の逆手を打ち振って呪っているということだ。恐ろしいことだ。人の呪いは、身に降りかかるのか、どうかは知らないが、「今に思い知れ」と言っているそうだ。

伊勢物語  天の逆手 九十六段 わかりやすい訳 現代語訳

秋かけていひしながらもあらなくに 木の葉ふりしくえにこそありけれ

 

くわばら、くわばら。繰り返すけど、ストーカーにならないための「ウンコ」ね。「天の逆手」は「古事記」。調べてみてチョ。


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