昔、男、病を患って、もしかしたらという心地になり、
つひにゆく道とはかねて聞きしかど
きのふ今日とは思はざりしを
伊勢物語 つひにゆく道 百二十五段 わかりやすい訳 現代語訳
昔、男、病を患って、もしかしたらという心地になり、
つひにゆく道とはかねて聞きしかど
きのふ今日とは思はざりしを
伊勢物語 つひにゆく道 百二十五段 わかりやすい訳 現代語訳
昔、男、どのようなことを思ったのだろうか、そんな折に詠んだ。
思うことまだまだあれどもう言うまい
同じ人などいないのだから
伊勢物語 百二十四段 わかりやすい訳 現代語訳
思ふことはいはでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ
昔、男ありけり。深草に住んでいた女を、だんだん飽きてきたのだろうか、こんな歌を詠んだ。
年を経て通いし里を出て行けば
一層深い草野となるのか
女、返し、
野とならば鶉となりて鳴き居らむ
狩りそめに来もしないでしょうね
と詠んだのに感じ入って、出て行こうという気持ちはなくなった。
伊勢物語 鶉となりて 百二十三段 わかりやすい訳 現代語訳
年を経てすみこし里をいでていなば いとど深草野とやなりなむ
野とならばうづらとなりて鳴きをらむ かりにだにやは君は来ざらむ
昔、男、契ったのに約束を違えた女に、
山城の井出の玉水手に結び
頼みし甲斐もなき間柄
と言ってやったけれど、返事もなかった。
伊勢物語 井出の玉水 百二十二段 わかりやすい訳 現代語訳
山城の井出の玉水手にむすび たのみしかひもなき世なりけり
手飲み=頼みということらしい。
昔、男が、梅壺より雨に濡れて、女が退出するのを見て、
うぐいすの梅縫うという笠欲しい
濡れたあなたに着せてあげたい
返し、
うぐいすの梅縫うという笠いらない
あなたの想いその火で乾します
伊勢物語 うぐいす 百二十一段 わかりやすい訳 現代語訳
うぐひすの花を縫ふてふ笠もがな ぬるめる人に着せてかへさむ
うぐひすの花を縫ふてふ笠はいな おもひをつけよほしてかへさむ
米玖関係。やはり何かが変わっている。
昔、男が、女のまだ男を知らないと思えたのが、ある人の所にこっそりと通っていることを知って、
近江なる筑摩の祭早く来い
つれなき人の鍋の数見む
伊勢物語 百二十段 わかりやすい訳 現代語訳
近江なる筑摩の祭とくせなむよ
つれなき人のなべのかず見む
「氏子の女性が褥を重ねた男性の数だけ鍋をかぶって神輿に従う」というのだ。遊女でもあるまいにと思うがその昔は少々男女の関係に対しておおらかであったのかもしれない。逆に、いつの時代か風紀の乱れを戒めようとした厳しい掟だったかもしれない。江戸時代、ある女がそれを守らず鍋の数を減らして頭に載せ行列に加わったところ、神罰が当って鍋が破れて落ち、村人の笑い者になった。女は恥ずかしさのあまり、宮の池に飛び込んで死んでしまった。これを知った藩主井伊の殿様は「不幸な者を見せしめにするような祭りは神の心ではない」と中止させた。村人は伝統の祭りが絶えるのはさびしいと願い出て、以来、数え年八つの幼女にすることで許しが出て、現在に引継がれているのである。現在ではこのような醜い男女の関係を表現するものではないが、それでもそばには羽織袴の男衆(可愛い稚児のお父さん)が竹の棒を持って警護している。「いや、なに、鍋が落ちるといかんでな」(「鍋冠祭り」より)
「処女信仰」はなくなりませんな。対策は「姉さん女房」か。「巨根」、「名器」もそう。誰ともやってないだろうから締まりがいいと思って醜女とやったら、皆そう思ってて、ガバガバだったって話もあったね。何だったっけ。
昔、通わなくなった男が形見として置いていった品々を見て、
こんなのねぇ今となっては邪魔なだけ
なければ忘れることもできるのに
伊勢物語 形見 わかりやすい訳 現代語訳
かたみこそいまはあたなれこれなくは 忘るる時もあらましものを
モノにこだわるのは男。女はすぐに捨てちゃうよ。だから、これは男の作った歌。画像はリクエストの多い「下紐」。
昔、男、久しく音もせで、「忘るる心もなし、まゐりこむ」といへりければ、
玉かづらはふ木あまたになりぬれば
たえぬ心のうれしげもなし
伊勢物語 百十八段 わかりやすい訳 現代語訳
36段に引き続き、また「玉葛」。
ほくそえんでいるのは維新の会。嘘っぽい敗北宣言。何であんなに子供みたいなことを言っている政党に投票するのだろう。まあ、思惑通りか。雪様々だったね。
昔、帝が、住吉に行幸された。
我見ても久しくなりぬ住吉の
岸の姫松幾代経ぬらむ
御神が、姿を現しになって、
むつまじと君は知らぬか瑞垣の
久しき世より祝いそめてき
伊勢物語 百十七段 わかりやすい訳 現代語訳
われ見ても久しくなりぬ住吉の きしの姫松いくよ経ぬらむ
むつましと君はしら浪みづがきの 久しき世よりいはひそめてき
そして、住吉。でも、違う。
昔、男が、何ということもなく陸奥の国まであてもなく出かけた。京の想う人に言いやった。
浪間より見ゆる小島の浜久木
久しくなりぬ君に逢ひみで
「なにごともみなよくなりにけり」と言いやった。
伊勢物語 百十六段 わかりやすい訳 現代語訳
浪間より見ゆる小島のはまびさし 久しくなりぬ君にあひ見で
文字通り、「なにごともみなよくなりにけり」だといいんだけどね。「どうでもよくなった」じゃなくて。「久木」は、「アカメカシワ」らしい。和風ポインセチア?日本共産党倍増。
昔、陸奥の国にて、男女住みけり。男、「都へ帰る」と言う。この女、とても悲しんで、せめて馬の餞をしようと、沖に浮かぶ、都島という所で、酒を飲ませて歌を詠んだ。
燠の火で身を焼くよりも悲しきは
都島辺の別れであった
伊勢物語 都島 百十五段 わかりやすい訳 現代語訳
おきのゐて身を焼くよりも悲しきは みやこしまべの別れなりけり
陸奥の国、都鳥ならぬ都島。
何もしないまま、投票日。投票に行かないということは、何をされてもかまわないということだと思っているので、また当選しない抵抗票を投じてきます。討ち入りどころではない。
「高く、堅い壁と、それに当たって砕ける卵があれば、私は常に卵の側に立つ」(村上春樹)
昔、仁和の帝が、芹川に行幸された時、今はそういうことが似合わないと思ったけれど、以前はその職に就いていたので、大鷹の鷹飼にお供させなさった。男が、摺狩衣の袂に、書きつけた。
年寄りのようだとお咎めくださるな
今日が限りと鶴も鳴きぬる
帝のご機嫌はよくなかった。男は、自分の歳のことを詠んだのだが、若くはない帝は自分のことだとお聞きになったのだろうか。
伊勢物語 百十四段 わかりやすい訳 現代語訳
おきなさび人なとがめそかりごろも 今日ばかりとぞ鶴も鳴くなる
そして、「狩衣」。
昔、男、やもめになって、
長からぬ命に比べて忘るるは 人の心の短きことよ
伊勢物語 短き心 百十三段 わかりやすい訳 現代語訳
長からぬいのちのほどに忘るるは いかに短き心なるらむ
やっぱり違う、「短いせ物語」。
昔、男、懇ろに言い契った女が、心変わりしてしまったので、
須磨の海人の塩焼く煙風吹いて
思わぬ方へたなびきにけり
伊勢物語 塩焼く煙 百十二段 わかりやすい訳 現代語訳
須磨のあまの塩焼くけぶり風をいたみて
思はぬかたにたなびきにけり
出ました、「磯物語」。でも、やっぱり前半とは違う。
世界は統合失調症。(あまり好きな言い方ではないが)文字通り、「統合する力」ではなくて、「俯瞰して考える力」を失っている。「世界」は「国際社会」という意味で使ったのだが、「世の中」でも同じ。
昔、男、高貴な女のもとに、亡くなった人を弔うようにして、言いやった。
こんなことびっくりしましたあるなんて
まだ見ぬ人と恋に落ちて
返し、
しるしとす下紐解けていませんよ
おっしゃるような恋などしてない
また、返し、
恋したともう言いません下紐の
解けた時こそそれと知るでしょう
伊勢物語 百十一段 わかりやすい訳 現代語訳
いにしへはありもやしけむいまぞしる まだ見ぬ人を恋ふるものとは
下紐のしるしとするも解けなくに 語るがごとは恋ひずぞあるべき
恋しとはさらにもいはじ下紐の 解けむを人はそれとしらなむ
出ました!「下紐」。画像も解禁。
盛り上がらない総選挙。思惑通りの総選挙。抵抗勢力壊滅状態。蓋を開けたら焼け野原。
皆でそこそこの生活を送る。自分だけが幸せになる。答は一つなのに、人間は弱いね。あっ、自分がそうか。