久しぶりに映画を見て参りました。「永遠の0」です。
生徒さんから借りて原作小説を読んでちょっとはまってしまい,電子コミック版,関連模型を購入した挙げ句,映画鑑賞。
ストーリーはざくっと言えば,「凄腕とも臆病者とも呼ばれた零戦乗りが,なぜ特攻を選んだか」。
ざくっと言えばこれだけなんですが,実際には人それぞれ様々な事情がある訳で。
祖父が語った「もう一人の,本当の祖父:宮部久藏」について調べ始めていく姉弟,そして戦友達の「帝国海軍一の臆病者」「お命大事」などの揶揄の言葉。一方で,「凄腕」とも「宮部を臆病者という奴に話すことはない」という戦友も居てどうにも不可解な宮部像。
そんな祖父宮部久藏について調べていく姉弟がついにたどり着いた事実,そして二人が受け取ったメッセージ,とまあ,そんな話です。
原作小説では「実話戦記物の切り貼り」とも言われた戦史に関わる部分をばっさりカットして,「人間:宮部久藏」に絞った映像化になっていて,とてもまとまった話に仕上がっています。また,臆病者とも呼ばれた宮部が特攻を選ぶまでの心理的変遷にあわせて,孫 健太郎の変化もていねいに描かれていてとても解りやすい。
一方で回想シーンとなる宮部の戦闘ではハリウッドもかくやという圧倒的な映像が描かれますが,これがまた良い。ハリウッド的な馬鹿馬鹿しい派手さはなく,実に,実際に即した淡々とした映像です。記録フィルムにあるようなシーンでさえていねいに映像化されていて,これだけでも一廉の価値があるのではないかと思いました。
個人的には映画を見て終わってしまうのではなく,コミック版(これもまたとても良いです。映画化でばっさりカットされた戦史についてコミックですので図入りでわかりやすく紹介されています),それから原作小説(実録戦記から引用されたエピソードが多々あり,ゼロ戦の入門書として良いかも知れません),そして様々な記録や戦記に触れて,私たちの父祖が戦った歴史について一人でも多くの人に知って欲しいなと思いました。
二度と日本が戦争などしなくてすむためには,一人でも多くの日本人が「戦争とはなんだ」と考えることが必要なんだと思います。何よりも,戦争というのは一国だけで起こせるものではなく,必ず「敵となる別の国」が必要なのですから。「自国さえ平和なら余所はどうでもいい」というのでは,その余所の国から要らぬ恨みを買うことになりかねませんので。
この十二月は「太平洋戦争の始まった月」でもあります。宮部機の模型が完成したなら,ここで紹介できるかも知れません。
戦争を背景にした、人間そのものドラマですか。
でも、戦争を知らない世代にはぜひ観てほしい作品なのではないでしょうか。
60年の時空を超えた物語のようですが、そういう戦いがあったということではなく、生き切った(!)人間の心情を扱っているようで、どんな実写映像か、興味がわきますね。
主役の俳優人気もあってか,劇場では多くの若い人たちが目頭を押さえておりました。個人的にはそれだけでもかなり「映画化した意味があった」のではないかと思ってます。
戦争という記憶が風化して歴史になってしまう前に,是非。