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製造プロセス改善の歴史的事例

2020-04-14 23:09:00 | 分析・観察
ズボンやジャケット、カバンまで日常にはたくさんのファスナーが存在する。
カバンも洋服も欧米で発明されたことを思えば、当然これらの市場は欧米企業に支配されているかと思えばそうではない。市場とシェアについてはNewsweekの記事に詳しい。
内容は次の通りだ。
・ファスナーの発明はアメリカだった
・ファスナーの世界トップ企業は日本企業のYKKになっている
・生産量あたりの労働力と資本の少なさが競争力の決め手の一つ

それではYKKは何をしたのかと見直したとき、プロセスの改善が連続で成し遂げられていることに気づく。
創業者吉田忠雄氏は、1977年に「私の履歴書」に登場している。
1908年に富山県に生まれ、15歳で上京して中国陶器の輸入店で働き出したところがやがて立ち行かなくなり閉店、そこで店の整理をしていたときにファスナーの半製品が多く出てきて、それを何とかお金にしようと加工を数人で手掛けたのがファスナー製造の始まりである。(借金返済については「のちのちまで言うに言えない辛い思いをした」と述べており、そのせいか今でもYKKの負債比率は極めて低い。今のような危機下では安定感があり強い)

吉田氏は手作業でファスナー製造していたときにも日本で有力企業にまでYKKを育てたが、あるとき商談で米国の機械製造品に出会い、そこで資本金を超える金額で機械の導入を決めた。
そしてそれだけでなく、

・ファスナー製造機械の国内発注と製造工程の大幅な機械化
・原料の金属調合も内製化して改良
・原料金属をファスナーに最適なものへと改良し、世界的にも優位な品質を実現
・アメリカに工場を建てて逆に進出(このときに知り合った縁でカーター大統領の就任式にも上院議員席近くで出席)
・国内販売を同業他社を卸売業者にして委任し、アジアなど世界全体へ展開

と改良を重ねているのだ。
プロセスの改善は、担い手の創意工夫の表れである。今後も効果に思いを馳せ、取り組んでいきたい。




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