荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

永井淳の巻。

2013年06月15日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を
先日【訃報ドットコム】なるサイトを眺めていたところ、永井淳が2009年6月4日に亡くなっていた事を知りました。享年74歳。

永井淳とは翻訳家です。ジェフリー・アーチャーの作品などはほとんどを手がけておりました。

僕はジェフリー・アーチャーが好きで、10年ちょっと前までは随分と読みふけったものです。

新潮社より刊行されている文庫本の、茶色から黄色へのグラデーションを施した背表紙が印象的でした。

【百万ドルをとり返せ!】でドキドキし、【ケインとアベル】&【ロスノフスキ家の娘】の壮大な物語に胸を打たれました。

【ロシア皇帝の密約】はスピルバーグによる映画化の噂がありましたが、現実には至らず実に残念でなりませんでした。

確か【チェルシー・テラスへの道】刊行時だったと記憶しておりますが、ジェフリー・アーチャーが来日して講演会が催されました。

場所は今はなき新宿の朝日生命ホール。現在、モード学園コクーンタワーが建ってるトコですね。

その時に永井淳も関係者として当然来場しておりました。

司会者から紹介された時の、はにかんだ挨拶が記憶に残っております。

ある晩、新宿ゴールデン街で飲んでいた時の事、アメリカ文学の翻訳をしているおじさんが隣に座っていました。

しばらくアメリカ文学の話しをしていたのですが、やがて翻訳者業界の話しに移りました。

僕が知っている翻訳家は永井淳のみなので、そのおじさんに永井淳の事を聞いてみたら『あのヒトはプロの翻訳家ですね』と言っていたものです。

翻訳家ってみんなプロだと思っていたのですが、存外そうでもないようですな。

職業翻訳家って呼ばれるみたいです。

いずれにせよ永井淳の翻訳の存在が、ジェフリー・アーチャーの人気を支えていた事は間違いありません。

遅きに失しましたが、ご冥福をお祈りします。

【盗まれた独立宣言】以降は読んでいないので、久し振りに彼らの作品を手にとってみたいと思います。


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