世の中、ひとつの事を極めるヒトは当り前ながらオーラがあるなぁ、と。
そんな事をぼんやり考えていましたら【久住有生】の名を思い出しました。
このヒトは左官職人。
おそらくニッポンでもっとも有名な左官職人でありましょう。
あの、ちょっと有名になったら超出演したくてたまらなくなる【情熱大陸】や【ソロモン流】にも出演を果たしました。
僕も一時期イタリアの漆喰【スタッコ】の施工請負をしていた事があるので、左官には反応してしまいます。
左官職人ったら、まぁ、言ったらフツーの職人さんたちなわけですよ。
型枠大工とかとおんなじ。
エロ系劇画マンガ雑誌を読んじゃう様な。
象印あたりのランチジャー持ってる様な。
ところが腕のあるヒトはランチジャーはともかく、エロ系劇画マンガ雑誌は読まないんですな。
これも当り前ですが、求道に身を置くヒトってのは中はともかく、外にそういう煩悩を晒しません。
ましてや久住氏の場合、立派な経営者としての顔もありますから。
てか芸術家ですね。
完全に。
確か【ソロモン流】で観たのですが、久住氏の女房が佐藤可士和の女房・悦子と全く同じタイプだったのには笑えました。
『わたしの主人は天才クリエイターなの。でもフツーの事はなんにも出来ない浮世離れしたヒトなの。わたしがいなければ、ひとりじゃバスにも乗れないの。だから、わたしが必要なの。わたしは夫婦である前に優れたパートナーなの。そしていっぱいお金が入って来るからセレブなの。凄いの。凄いの。凄いの。ねぇ、凄いって言って凄いって言って』
という感じ。
要するに亭主の秘書役って事ですね。
ビックマックより分厚い手帳を持っています。
【出来るオンナ】を演じるのも大変ですな。
久住氏自身はクセのなさそうなヒトなんで『へー、こーゆーオンナ選んじゃうんだー』と思ったものです。
久住氏は作業着に着替えません。
なぜなら『汚れないから』です。
プロフェッショナルの左官職人らしい、自信が垣間見えるエピソードです。
料理人の着る調理服が白いのも同じ理由だと聞いた事があります。
プロフェッショナルの世界のお話は実に面白いですな。
『どんな芸術家でも最初は素人だった』ラルフ・ワルド・エマーソン(米国の思想家・1803~1882)
考えてみれば、ランチジャーって応量器っぽいっすね。