くまがい桂子 の  エッセイ  「木もれ日あびて」

「民報ゆうばり」に隔週で掲載している
エッセイ「木もれ日あびて」です。

本館 くまがい桂子のHPもよろしく!

教育基本法について…大江健三郎 ~「九条の会」記者会見より

2004年08月02日 | Weblog
 ある番組で中曽根元首相とお話ししたときに、最後に彼が「教育基本法を変えないといけない、日本人の教育であるから伝統というものを大切にしないといけない」と言ったんですね。

 ところが伝統というのは何を指すのか分からない。たとえば僕の人生の中での伝統というと、今の憲法というのが私の中の伝統となっていますが、中曽根さんは戦前・戦中の日本にファシズムが台頭していく過程のことを「伝統を作り出した時代」と言いたいのか、あるいは明治または明治以前なのか。

伝統についてはっきりと提示しないで、新しい教育基本法の中心に現代の憲法に対する否定として(使おうとしている)「愛国心」「伝統」という言葉も日本の国内に閉じこもる方向にあるものです。

教育基本法は憲法の前文と九条にもつながっています。憲法全体の非常に優れたエッセンスを取り出して、しかも分かりやすい言葉でみんなに伝えようとしている。世界に向かって開いていく教育というものが基本的な構想です。

日本人が世界に向かって開こうとしているわけです。
ところが、一般市民としては、例えばイラクの人質事件がありましたが、十八歳の青年と三十代の女性が、日本の一人の市民として、日本というものや時を越えて、向こうの個人と結びつく…。それは教育基本法が言うのと同じように、個人の働きにおいて世界の普遍というものにつながっていくということです。こういう個人の態度が六十年間のなかで新しく出来あがった伝統なのではないかと思います。

教育基本法を焦点にして、個人から普遍に向かっていく、国内から世界に開いていく教育、そういう日本人の生き方というものを、言葉ではっきり表現しながらやっていくという方向にしたいと思います。

世の中を変える種よ、広がれ 作家 松田解子(九九歳)

2004年07月20日 | Weblog
 来年百歳になりますが、私は世の中が一度変わったのを見ています。戦前戦争に反対していた共産党は「国賊だ」といわれたけど、敗戦で、それが全く違うことがわかった。歴史は変えることができるんです。

 だから、日本共産党が将来、失業苦がなく、生きる権利が保障される社会、一日の労働時間を短縮し、残る時間は自由に過ごし、自分の能力を生かすことができる社会を目指していることを、遠い夢とは思わないのです。

 今の政治は安心できない。イラクへの自衛隊派兵は、一言、「絶対に許せない」。
私もかつて生まれ故郷の秋田県で、初恋の鉱夫との中を徴兵で引き裂かれました。「戦争で決して死んではならない」と彼に手紙を書いたことも、今は哀しい思い出です。ところが今は、小泉首相が靖国神社に参拝して、派兵をほめたたえようというのでしょ。もう二度と若者を戦場に送ってはいけません。

 時代の曲がり角にある今、戦前から命がけで反戦・平和をつらぬいてきた日本共産党の存在は本当に大きい。

 なかでも「しんぶん赤旗」は、「戦争に誰もやらない、国民の命を守る」と真っ向から自民党に反対の論陣を張っています。戦中は持っていることが見つかれば捕まるので、息子の腹巻に入れて隠しました。それが今、全国で毎日毎週配られている。希望です。

一人でも多くの人が日本共産党と歩み、また、「赤旗」を読んでほしい。種はどこかにこぼれ、広がっていくものだからね。

赤旗日曜版 7月11日より…

種はこぼれた後、時代とともに変わる環境に適応し、進化しながら繁栄していきます。
さて、三年後…。 

無知の民族

2004年06月28日 | Weblog
6月27日の、北海道新聞「はなし抄」ビル・トッテンさんの記事は、「目からうろこ・・・」でした。

 日本経済は15年前より衰退している。それは米国と同じ規制緩和、民営化をしたからで、現状はジャングル、弱肉強食の状態。

 人類が文明社会を築いた一つの理由は、規制で弱肉強食を防ぐこと。なのに、日本はなぜ弱肉強食を許すのか。財界はマスコミを広告で、政治家を献金で買収しているから、一部の政府寄りのマスコミと政治家が、大手企業の味方をするのはわかります。

 でもなぜ、一般国民は許すのか、それは国民が政治に無関心で、政治家に任せてしまっているから。
 問題はその政治家がチンプンカンプンだということ。政治家に会うたびに日米安保条約を読んでいるかきいたら、読んでいたのは共産党の志位委員長だけだった。

 日本の政治家は安保条約で日本の保護が約束されたという。でも、条約にそんな約束は書いてない。
 自民党は国を守るために憲法9条を変えたいといっているが、食料自給率4割では国をまもれない。国を守るなら、敵は誰で、なぜ日本を攻撃するのか考えるべき。欧州は敵を減らし、軍事費も減らしている。

 日本の政治家は、日本は輸出中心の国なので円高は困る、といい、マスコミも記事にし、国民は信じる。しかしこれはウソ。

 日本の国内総生産の輸出分はたった1%。その1%の企業が納める税は、全企業のわずか3%で、従業員数は全産業の1%。

 でも、政府は円高になると円安に誘導する。車やテレビを安く輸出できるが、食料などの輸入品は高くなる。

 昨年、日本政府は円高阻止のため21兆円もの米国債を買った。日本が米国にお金を貸した形になってはいるが、差し上げているのと同じ。
   
日本人はいつの間にか、論理やデーターではなく、印象で物事を判断する民族になってしまった。それは無知の民族になるということです。 …札幌市内の講演から…

無知の民族~悲しいですね…。

投書を下さった一市民様

2004年06月15日 | Weblog
 市民の方から投書が寄せられました。
 内容は、まず、「民報ゆうばり」の内容については、いつも賛同すことばかりであること、
そして敬老パスが百円から二百円に倍増されることについて、さらに通院バスが片道無料から二百円に有料化されることについて

「本当に腹が立ちます。百円玉は一体、昔の一銭くらいにしか思っていないようですね。一割・二割でも反対する時代に、百円を二百円に、無料から二百円にとは、百円玉に対して一体どう考えているのかと思います。」

さらに、
「批判されるだけでなく、是非中止させるとか、改めさせるとか、他党派と一緒になって市民のために努力してほしいものです。
市民の福利につながることには、他の議員さんも一緒になって理事者を納得させるようにお願いします。」とも・・・。

 さて、もちろん議会というのは、市民のために議員が協力しあって物事を決めていく場所ですから、当然私たちは、今までも今後も、他の議員さんたちに協力を求めています。

 しかし、議員それぞれの考え方もあるでしょうし、また、会派としての考え方もあり、少数派の主張はなかなか通りにくいのが実情です。

 民主主義といっても、話し合いがまとまらないときは、多数決で決められますから、自分の考えを反映してくれる議員を増やすしかありません。

 選挙の際の公約だけでなく、任期中どんなことに賛成し、反対したかを調べて慎重に投票することが大切です。

 年金法、有事関連法が成立し、国の舵取りを決める参議院選挙が近づいてきました。
現実をあきらめず、「政治を変えるために、選挙に行く」人を増やすことが重要です。

 もちろん、私たちも全力でがんばります。

簡単ホームページ keikumax@goo

2004年06月01日 | Weblog
 先月二十二日付の朝日新聞の記事「ホームページの簡単作成術」で「無料で簡単に作れ、専門用語も必要ない」とのことだったので、早速チャレンジしてみました。

 つくり方にしたがって作業を進めると、本当に簡単に作れてしまいました。
 メインページに

「平和と暮らしと自由をまもる」文字にするとかたいけど、今、とても必用な気がします。ゆるやかなネットワークをつくりませんか。

と書いてどの程度の人が見に来てくれるのかなと思っていたら、 作った当日だけで51人が、一週間ほどで200人あまりの人が見に来てくれました。

 来てくれた人が掲示板にメッセージを残してくれたり、紹介しあったり、同好の士が集まるといった感じでしょうか。

掲示板や各自それぞれのページにはイラク、年金、教育、憲法、現在の日本、小泉内閣に対する不信・不満が渦巻いています。新聞もテレビも報道には編集がつき物ですが、これはつくった本人以外の編集はありません。(他者による悪意の意図的なアラシは別として。)

内部告発をして会社を首になり、裁判闘争をしている人、「恥ずかしい歴史教科書を作らせない会」というページを運営している人、70近い一庶民という人、本当に様々です。

数日前にこの会社のホームページだけで1万件を超えたとの発表がありました。
アメリカや韓国の大統領選挙にも影響を与え、出版業界にも影響を与える、「不特定多数に向けての電子口コミ」といったところでしょうか。

 中学・高校では生徒のインターネットの使用がかなり自由になってきたようです。
他市なみに、一般市民がインターネットを夕張の図書館や公民館でなどで使えるようになるのは、さて・・・。

戦争になるの?

2004年05月17日 | Weblog
天気の都合と自分の都合を見はからって「年金問題」と「イラク問題」、党のミニパンフ「こんにちは 日本共産党です」の街頭宣伝を続けています。

 いつものように一通りの話を終え、マイクを片付けていたところに、遠巻きにしていた小学2~3年生の女の子が二人寄ってきて、「この辺も戦争になるの?」と心配そうな顔できいてきました。 

この幼い少女たち、私の話だけを聞いて、心配になったのではないと思うのです。
イラクへの自衛隊強行派兵、そして民間人が巻き込まれていくイラクでの戦闘のようす、さらに日本人人質事件、そのうえ、イラク人捕虜の虐待・拷問事件。

報道規制されているとはいえ、次々と起こる平和を脅かす出来事が断片的にでもテレビを通じて映し出され、少女たちの小さな胸に暗雲が立ち込めていたのでしょう。

その不安げな顔がいじらしくて、つい「ううん、この辺はまだまだ、ぜ~んぜん大丈夫!」と笑顔で答えてはおいたのですが・・・。

前回もこの欄でふれましたが、「憲法9条があるから、日本は絶対大丈夫!」これはなんと心強い、そして何にも勝る、幸せな響きだったことでしょう。

つい、過去形で書いてしまいましたが、憲法が危ない!特に9条が危ない!
高遠菜穂子さんがイラクで人質にされた時、武装勢力と交わした平和論がインターネットで伝えられています。

「なぜ、あなた方は対話による平和を目指さないのか。日本は五十年非戦を通してきた。インドにも非暴力主義がある。こういう世界の現実をあなた方は知っているのか。」ときくと、武装勢力のイラク人はもっと聞きたいと近寄ってきたそうです。

 平和への願いは万国共通です!

憲法五十七歳に

2004年05月04日 | Weblog
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、・・・中略・・・政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」

日本国憲法前文の冒頭の文章です。
最初にこの憲法を知ったのは小学校の社会科の授業でした。
むずかしいことはわからなくても「戦争放棄」だけはよくわかりました。

当時、テレビでも新聞でも頻繁にベトナム戦争の報道がされており、その悲惨な映像や写真を見るたびに「日本に生まれてよかった。日本は戦争を絶対にしないって決めたんだから・・・。」と安心しつつ、隣人の不幸に胸を痛めていました。

私が小学校入学の年から二十一歳まで、十五年間続いたこの戦争報道によって、枯葉剤によるダイオキシン被害も含めた戦争の悲惨さと、圧政に命がけで立ち向かう人々の誇りや勇気を教えられたように思います。

湾岸戦争もアフガニスタンもイラクも、どの戦争も悲惨さは同じはずなのに、最近は戦地の悲惨な状況や、劣化ウラン弾の被害もめったに報道されません。厳重な報道規制が敷かれているからです。

世界中のほとんどの人々が戦争はしたくないと思っているのに、ほんの一握りの(戦争によって莫大な利益を得る)人たちによって、戦争への道が準備されてきました。
報道規制で、国民の目や耳が今なおふさがれています。

「政府の行為によって再び戦争」に巻き込まれないために、そして本当に信頼できる「国会における代表者」を選ぶためにも、私たち国民の「不断の努力」が不可欠です。

イラク人質事件から

2004年04月19日 | Weblog
今回の「自己責任」「かかった費用を払わせろ」には驚きました。
諸外国からも、ましてアメリカからさえも誉められたというのに・・・。

 だいたい憲法違反の自衛隊派兵をしていなければ起こらなかった事件ですよね。「憲法違反をし、人質事件を誘発し多額の費用を無駄にしている政府の責任」「自衛隊派遣にかかった費用を返還させろ。」といいたいです。

 今のバッシングは「お上に逆らうやつはこうなる」という見せしめでしょうか。
この国の主権者は国民のはずです。平和を守ろうとする人たちに向けてのこの攻撃は、本当に「戦争する国づくりが始まっているのだなー」と改めて思わされました。

 イラクの実情を知ろうにも、報道規制がされ、多くの国民は目も耳もふさがれた状態です。この人質事件に対するバッシングには、さらに口までもふさがれ、手足の自由さえも奪われかねない恐怖を感じます。

 ジャーナリズムの本質を忘れ去ったマスコミにも腹が立ちます。
今現在の状況は「日本のお上」と「良識派の国民」の対決という構図でしょうか。

 政治はその国の国民レベルの現われだとか・・・。ならば私たちが口コミで良識派に属する国民をうんと増やしていくしかありませんよね。

 この緊急アピールをどんどん多くの仲間に知らせて世論を盛り上げていきましょう!
 高遠さん、郡山さん、今井さん、負けないで一緒に良識が良識と認められる日本にしていきましょう!

あれから一年…

2004年04月05日 | Weblog
昨年の統一地方選挙から早一年、三月議会も終わって、ホッとする間もなく七月には参議院選挙です。

昨年の十一月には、衆議院総選挙がありました。
マスコミのつくった二大政党制の大キャンペーンのもと、自民・公明の小泉政権が続投となり、「三位一体の行財政改革」「骨太の方針」などのかけ声のもと、地方交付税の大幅減額による厳しい財政状況が全国的に広がっています。

 人口激減の当市では、山積する行財政諸課題に加え、産炭法の失効を目前に控え福祉政策もままなりません。

そして、多くの国民が憲法違反と反対するなか、莫大な費用をかけてイラクの占領軍に派兵された、道内各駐屯地の自衛隊員は、常時生命の危険にさらされています。

さらに国内では相次ぐ医療事故に児童虐待、激増する犯罪や殺人事件。
また、企業の人件費節約のためのリストラを応援する政策と、失業者への無策。
派遣業者や請負業者による労働者の酷使と使い捨て。

 そして、効率を優先させた回転ドアは、十年前から各地で事故が頻発し、とうとう幼い命が犠牲になりました。

老後の暮らしを保障してくれるはずの年金も、今後給付は減額、保険料は増額になり、しかも「国会での論議を抜きに決めていこう」という策略。

他の国では意味する言葉がなく国際語になった「過労死」は、日本の異常さを浮き彫りにしています。

生命と暮らしが粗末にされ、切り捨てられ、先進国の中で自殺率は第一位。

異常な経済効率最優先の日本社会が、心底不安です。

明日の日本は「このままアメリカの属国のように戦争に参加し、大企業最優先の国」それとも「経済大国よりも、平和で人間の暮らし最優先の国」ですか?

私たちの一票が決します。

イラク開戦から一年 3・20国際行動

2004年03月23日 | Weblog
「イラク撤兵を」世界巡る…
数百万人が「米英侵略ノー」という見出しに米、マディソン街を埋め尽くすデモ参加者の写真。(二二日付日刊赤旗)ローマに約200万人、政権交代後のスペインではバルセロナで二十万人、マドリードで6万人、ロンドンでは10万人、ニューヨーク、ロサンゼルスなど全米三百ヶ所で数十万人、ほかにはエジプトなどの中東諸国、ベネズエラ、エルサルバドルなどの中南米諸国、インドなどなど世界各地で反戦行動が取り組まれました。
 
東京では三万人、札幌、旭川、函館、釧路、室蘭、帯広、苫小牧、岩見沢など日本全国で約40万人の人たちが「戦争と占領に反対する地球的行動の日、3・20共同行動」に参加しました。
数百万人が目的を一つにした、この地球規模での行動に対して、日本のマスメディアはどう報道したでしょうか。

道新・朝日とも一応は載せてはいたものの、この規模に見合う記事とは言いがたい。
NHKでは二十日、夜7時のニュースで東京の様子をほんの一瞬だけ(私のみた限りでは)。

 二三日日になって、朝日の『ポリティカにっぽん』という欄で「スペインはテロに屈した、日本は屈するなという政治家や新聞の議論について、スペイン国民の大多数が反対していたのにブッシュ支援にしゃしゃりでた政権への怒りに火がついたということではないのか。「テロ、ノー」のプラカードを掲げて、スペイン全土で一千万人の人々。

あれは「テロとの戦い」がテロを生み出す不条理な戦争はもうやめようという怒りではなかったか。日本の反戦デモって三十人か五十人くらい?って僕に聞く人もいるけれど、1万人も2万人も歩いたよ。

しかし報じないテレビや新聞もあるからね。みんな普通の人々。おや、薬害エイズの川田悦子さん、龍平君の母子も。生ぬるいと笑う人もいるけれどいつ何時、スペインのように爆発しないとも限らない。」(朝日新聞 早川透)

黄色いハンカチから平和憲法へ

2004年03月08日 | Weblog
前回、香山リカさん(精神科医)の「イラク派兵を感情問題にすりかえて、追認していることが問題。」というコラムと、山田洋次さん(映画監督)の「黄色いハンカチが派手でイベントのようになる中で、イラク派兵が憲法違反ではないかという重要な論点が消えてしまうのが不安」というコメントを紹介しました。

その黄色いハンカチ運動が、ある自衛官の一言から端を発し、自衛隊OBを通じて経済人有志が触発される形で始めたこと、そして旭川のみならず、東京では「海外派遣自衛隊員を支援する国会議員の会」が発足。

案内書には旭川同様に「派遣の是非を論ずるのではなく、自衛隊員が無事に帰国することのみを切望し・・・」と。イラク派遣反対を主張した民主党の三十一人を含む超党派の国会議員で、現在約二〇〇人を超える。

山口二郎教授(北大大学院)は、石破防衛庁長官までも名を連ねる会について、「ブッシュの戦争に加担したという批判を封じ込めるため(派遣の是非論から隊員の無事を祈る心情論に)問題をすりかえた」そして「自衛隊員たちは(国会議員に対する批判の)弾よけに利用されている」と運動の政治利用を批判。

吉田裕教授(一橋大大学院)によると、開戦後戦争追認の流れが強まるのは、日本に限らない現象だが、「常に本質的な問題を考え直さなければいけない。無事に帰ってきてほしいという心情論だけに流されてはいけない。」(三月八日付道新より)

・・・「人類進化の歴史がDNAに刻まれているとすれば、人類の英知の歴史は憲法にこそ刻まれていると言うべきでしょう。」これは一九九五年九月の第四回憲法国際学会世界大会でのある挨拶の一節です。

いま、憲法がとても軽く扱われています。 (中略)日本国憲法には、この国の過去を踏まえながら未来を見通した様々なメッセージが包み込まれています。それを再発見し、読み解くことは、この国の将来のためにとても大切なこと。複雑な国際環境のもとで、この国が誤ることなく歩んでいくために(後略)・・・水島朝穂教授(早稲田大学)HPから。

憲法を護るのは?

2004年02月23日 | Weblog
北海道新聞の日曜の生活面「働く女の胸のうち」という連載エッセイの筆者、香山リカさん(精神科医)の文章は的確で共感することが多く、楽しみに読んでいます。

その香山さんが二月二三日の朝日新聞道内版「イラク派遣こう思う」の中で、自衛隊イラク派遣に賛成する国民が増えつつあることに対して、「報道番組で自衛官や家族の顔を映し出すことで、問題を大枠で捉えることから感情的な問題にすり替えている」「イラク戦争が起きてしまったから協力するしかないとか、あまりにも現実追認が気になる。」と。

自著でサッカーのワールドカップで日の丸を振る若者が、それを国のために振ることになりかねないと警鐘を鳴らしてきた香山さん。

「九十年以降、経済状態が悪化して、若者たちは自信とよりどころを失い、最後のよりどころとして『強く誇りある国であってほしい』という願望が強い。

憲法九条を変えて、国際社会の中で日本の存在感を示す必要があるといった、強硬な意見に魅力を感じるのでは。『抵抗勢力』が弱すぎ、気がついたらとんでもないことになりかねません。

派遣が続けば自衛官以外の人も派遣されるかもしれない、というように、我が身に降りかかってくる問題と思っていない。具体的に言っていかないとだめだと思う。」

映画監督の山田洋次さんは、赤旗と朝日新聞の中で「『黄色いハンカチ』が派兵の見送りに使われとても気になる。派手で、イベントみたいになる中で、イラク派兵が憲法違反ではないかという重要な論点が消えてしまうのが不安。

自衛隊が出かけ、そのために巨額の税金を支出する前に、僕たちが郵便局や銀行に預けているお金は本当に大丈夫なのか、老後や病気になったときの『保険』は大丈夫か、それこそが心配。」

平和を保障する憲法九条も、国民年金の土台となる憲法二十五条も、護るのは国民の不断の努力(十二条)です。

七十年後の地球は?

2004年02月09日 | Weblog
二年前にブームになった絵本「世界が100人の村だったら」(池田香代子再話)のルーツは、生物物理学や資源管理の専門家であり、環境問題の古典的名著「成長の限界」(共著)ドネラ・メドウズさんがアメリカの新聞数紙に書いた連載コラム「村の現状報告」が一冊の本となり、その中に収録されなかった内容が、もとになっています。

「世界が今と同じように動き続ければ、今から七十年後、私たちの子どもや孫の時代には地球上の資源がなくなり、食糧も足りなくなる。その前に、エイズや原発・核兵器・その廃棄物の被害で人類滅亡の可能性も。」

 こんな内容が、一人から数十人・数百人へとメールで次々に送られる間に、おびただしい人びとの気持ちをたっぷりと吸い込んで、世界の貧富の格差が主題となりました。
〇一年九月十一日のテロ以来、急激にインターネットを通じて世界中に広がり、日本では絵本になり、その後、韓国・台湾・中国やフランスでも翻訳出版、ついに「世界の教科書」に。
 
 このメールによって、ある種の世界意識のようなものが目覚め、おなじ地球上で膨大に開いた貧富の差に危機感を覚えたその矢先に、不吉な予感が的中!あのテロが・・・。

 米大統領が「これは戦争だ!」と叫び、なぜか日本の自衛隊が平和憲法を破ってイラクに・・・。
「現状に憲法が合わないから改憲‣創憲を!」の声。

 現状に合わないのは、憲法ではなく、無責任な政治家たちでしょう。
七十年後の子どもや孫、そして地球、どうします?

「汚れた弾丸」 劣化ウラン弾に 苦しむイラクの人々

2004年01月21日 | Weblog
 以前にもこの欄で紹介した、イラクでの劣化ウラン弾の被害の実情が漫画化され、少年マガジン誌上で大反響をよび、単行本として出版されました。

 原発の燃料や核兵器を作るには、天然のウランを濃縮させます。その際に残りかすとして出る放射性物質が劣化ウランで、原子力が開発されて半世紀の間に、生産された劣化ウランは百十万トン。

 これらの放射性廃棄物は厳重に管理しなければならず、莫大な費用がかかります。
一方でアメリカの軍事産業は、ウランは自然界の物質の中で比重が最も重く、また硬いことに目をつけ、劣化ウランを兵器に使うことを考えます。

 放射性廃棄物だから、材料費はかからないし、兵器として消費し他人の土地に捨ててしまえば、保管の手間も省ける!(放射能の被害は?)

 劣化ウラン弾は戦車に命中すると分厚い装甲を貫通し、一気に焼き尽くし、さらに、燃焼の際、煙や霧のようになった放射性ウランは気流に乗って広範囲に拡散します。

 人体内に入ると排出するのはきわめて困難。これらの放射線は、ガン、白血病、腎臓障害、腫瘍、先天的な障害児の出産の原因となります。

湾岸戦争で消費された劣化ウランは三百~八百トン。
 広島に落とされた原爆の一万四千倍~三万六千倍の放射線がペルシャ湾岸に。戦後、バスラなどでは乳幼児から大人までがん患者が爆発的に増加し、たくさんの人が苦しんでいます。放射能の半減期はなんと、四十五億年!

 昨年のイラク戦争でも米軍は危険を承知の上で、劣化ウラン弾を使用し、反対のキャンペーンを張るものは米国の敵とまで明言しています。

 さらに小型核兵器を開発するという米国。地球上のいたるところで、広島・長崎が繰り返されるのでしょうか。

子どもはお国のためにあるんじゃない!

2003年10月27日 | Weblog
「子どもと教科書全国ネット21」の代表委員で北大出身、現在は東大教授の、小森陽一さんの「教育基本法を生かすということは・・・」という講演を聴いてきました。

教育基本法の内容は、戦争へと突き進む勢力を止められなかった、痛烈な反省から、新憲法を受けて、教育基本法の前文では「民主的で文化的な国家」を建設し、世界の平和と人類の福祉に貢献する決意。

そしてこの理想の実現は教育の力にまつべきであること。
個人の尊厳を重んじ、真理と平和を求める人間の育成と、あたりまえでしかも個性ゆたかな教育の普及・徹底。

教育は、人格の完成を目指し、平和的な国家および社会の形成者を育成。
先生たちは、上からの命令であったとはいえ、軍国少年・少女を自ら育て、送り出した痛恨の教訓から、「教え子を二度と戦場に送らない!」と固く誓い合い、憲法で定めた恒久平和・民主主義・人権・自由・平等を日本中に根付かせるために、学校が憲法とその精神にもとづく国づくりの発信基地になりました。

そして、今また、「国民の権利としての教育」のはずが、「改正」案では「国家の統治のための教育」へと大きく逆転です。
さらに、大企業が国際競争に勝つために、エリート教育だけに予算配分をし、国の歴史を直視せず「愛国心」の教育。

さらに憲法を変えるための、国民投票に向けての準備(マインドコントロール)でもある
…背筋が凍ります。

 子どもも、私たち大人も、「お国のために」あるのではなく、国民のために政治があるはず。
そのための決まりである日本国憲法も教育基本法も、世界で高い評価を得ながら、十分には生かされていません。

今こそ、憲法と教育基本法に基づく、国民のための政治と教育を取り戻しましょう!