11月6日(木)の稽古の様子
(福岡県京都郡苅田町「合気道 真風会」)
宮本武蔵の話です。
豊前小倉に滞在していた時に、一人の兵法者が面会を求めて来ました。
武蔵は会って話を聞き、その体つきを見て、「なかなかのお腕前のようで、これなら、どの大名につかえて指南してもいいでしょう」とほめました。
ところが、ふと相手が自分の木刀を見せて、「これは諸国をまわって、試合を望まれた時に使います」というのを聞くと、武蔵は「その程度の腕で試合をするなどと、バカなことをいってはいけない」と言い、その家の小姓をそこに座らせ、その前髪に一つの飯つぶをつけ、太刀を抜きました。
そして「見よ」とふりおろすと、その飯つぶだけが、みごと真っ二つに切れていたそうです。
それをその兵法者に見せて、「これができるか」と聞くと、もちろん「できません」と答えました。
すると武蔵は「これほどの腕があっても、なかなか敵には勝てないものだ。試合などめったにするものではない。試合を望む者があれば、早々にその所を立ち去るのが、真に兵法の真髄を知った者といえるのだ」といましめたということです。
ここで言う試合とは”死合い”、命のやり取りのことだと思います。
また、合気道開祖、植芝盛平翁先生は次のような言葉を残されています。
”真の武は、いかなる場合にも絶対不敗である。
すなわち、絶対不敗とは、絶対に何ものとも争わぬことである。
勝つとは己の心の中の「争う心」に打ち勝つことである。”
生涯六十を越える勝負をして、一度もおくれをとらなかった宮本武蔵と、神がかり的な強さがあった植芝盛平翁先生。
この偉大な両武道家が”争わずして勝つこと”を説かれているのは実に興味深いことです。
合気道は”和の精神”、”争わない心と技”を稽古します。
血気盛んで、すぐにカッカして、むやみやたらに人と衝突しないように、気をつけましょうね。
とは言え、その前に強さがなければ何の説得力もありませんので、私を含め”合気道真風会”のみなさん、まずは強くなれるように、これからも一緒に精進しましょうね!(笑)