このあたりは「白絹の滝」「白糸の滝」「不老の滝」「九段の滝」の四滝が並ぶ。これが白絹か白糸かは分からなかったが水の翠(みどり)と樹々の緑を前景に枯淡の味わいの飛瀑を後景にと当地らしい趣だ。
対岸には「双白髪(ともしらが)の滝」や「姉妹の滝」もあったようだが私には見えなかった。
不老の滝。「不老」とは「老いない」ことで元は縁起の良い意味だが文字面(もじづら)のせいか老いているように感じる。実際枯れた感じのする滝である。
流れが岩にぶつかり砕け渦巻くその白が周囲の緑と黒と相照らし鮮にして清。
川中岩上樹木(せんちゅうがんじょうじゅもく 命名 by 私)としてはこれが最も高さがあったかもしれない。15mほど。
「カエデ」は秋に紅葉して「モミジ」と呼ばれる樹木の総称。樹種としてはムクロジ科カエデ属の総称である。≪このあたりには奥入瀬で最も一般的なヤマモミジ、オニイタヤ、ハウチワカエデなどが見られます。/ハウチワカエデは天狗の団扇(うちわ)、ヤマモミジはいわゆるモミジ、オニイタヤはカエルの手のひらのような形をしているのが特徴です。≫カエデもいろいろ種類があるようだ。
細い木の幹が上へ上へと伸びていく。
流れの中に自然の段差ができている。
九段の滝。これは名前通り九段になっているから九段の滝。本当に九段かどうかは数えていないのでわからない。
切り立った岩壁に萌黄(もえぎ)色が映える。
流れはどこかで枝分かれしているのか狭くなり蛇行した浅瀬が続く。
森の彼方から轟音が響く。
銚子大滝。勢いよく流れ落ちる迫力ある滝だ。轟音を立てながら滝は周囲に飛沫(しぶき)を撒き散らす。奥入瀬渓流のクライマックス。これは爽快極まりない。
スタート時より心持ち痩せたかもしれない(苦笑)。
流れの真ん中あたりの水の色はエメラルドグリーンがさしている。
脇からも湧き水が流れ込んでくる。
子ノ口へ出れば十和田湖畔である。渓流も残りわずか。
力強く清浄な水の流れが続く。
≪…このあたりも江戸時代からすでにケヤキの巨木が伐(き)り出され、大きなものは残っていません。現在、こうしてところどころに見られるケヤキは、じつはその末裔(まつえい)なのです。≫たしかに樹木は多いものの巨木は見られない。十和田火山の最後の大噴火(西暦915年、延喜15年、平安時代)で火砕流が周囲20kmを焼き払ったとのことなので元々老樹は少ないのだろうが人為的な影響もあるのだろう。
最上流であるこのあたりは専(もっぱ)ら動の流れだ。
これが子ノ口の水門か。
湖側は打って変わって静かだ。
水底の水草が静かに流れに靡(なび)いている。
≪十和田湖の水利用 奥入瀬に流す水の量や時間、流す季節などはこの水門によってコントロールされます。/もともと湖水の流出は奥入瀬だけなのですが、じつは青撫(あおぶな)に取水口が設けられ、そこから山の中のトンネルを通って焼山の十和田発電所まで水が引かれています。水はそこで発電に使われ。下流にあるいくつかの発電所をさらに経由したのち、最後は農業用水として利用されます。/十和田湖を貯水池として、奥入瀬に流れる水をコントロールすることで観光と発電、そして灌漑(かんがい)という3つの利用を可能にしています。≫十和田発電所は遊歩道のスタート地点=渓流館近くにたしかにあった。どんなに大雨が降っても渓流が増水しないのはこの水門が流量をコントロールしているからで岩上の苔も草木もその御蔭をこうむっているわけである。
≪十和田湖の水草 十和田湖は水深が深く、水草の生育にはあまり適していません。/それでも遠浅の宇樽部(うたるべ」)や大川岱(おおかわたい)などのこうした浅瀬にはヒロハノエビモやバイカモ、エゾノヒルムシロ、センニンモなどが繁茂していて、水鳥たちの格好の餌場となっています。バイカモは下流の馬門橋(まかどばし)付近でも見られます。≫バイカモが生えていることから水のきれいさがうかがえる。「馬門橋」は石ヶ戸と雲井の滝の間にあり今回はバスで通過したあたりにある。
ついに終点に到着。この時14時54分。出発から約5時間20分。
そしてこんにちは十和田湖。
十和田湖からみた奥入瀬渓流。
子ノ口橋。
JRバス東北の子ノ口駅。右が公衆トイレ。左が土産物屋。
土産物屋は開いていなかった。
遊覧船の乗船発券所。
桟橋から見る子ノ口橋。
しばし湖のぐるりを見渡す。
今回は南側と西側を訪れたが北側も遊歩道などの観光スポットがあるようだ。
遊覧船の発着所。
こちらのお店も開いていなかった。
JRバス東北子ノ口駅の内部。駅といってもバスの発着所である。売店があり軽食をとることもできる。
そういうわけで恒例の…。ハイク後のソフトクリームは最高である。
風花舞うかのように花粉舞うのか黄瀬橋の風景。
森の果てから緑の水が煌めきながら渾々と流れ寄る夢の風景。
穏やかな流れと猛り狂う流れが併走し合一する奇跡の風景。
木橋の縁(ふち)に川中の岩に倒木に至るところに苔生(こけむ)す鮮やかな緑の風景。
苔を突き破りて生える苔の奇観。
川中の岩上に屹立(きつりつ)する緑樹。
緑と白と青と透明とに変化(へんげ)する水。
緑の木漏れ日のシャワー。
世界の秘密を目撃したような。
われわれの知ることのできない秘匿されたエネルギーの湧出場を発見したような。
見るものの目を果てしなく驚かせ続ける森林渓流のこの景観を私は生涯忘れないだろう。
20240901 奥入瀬渓流を歩く(その3)-白糸の滝〜銚子大滝〜十和田湖休屋-青い森への旅の記録04
20240901 奥入瀬渓流ー夢で見た風景 ー青い森を歩いてきた1
付記1
付記2
つぶやいた曲
The Weeknd, JENNIE, Lily-Rose Depp - One Of The Girls (Official Video)
Traveling Boy - Art Garfunkel
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