「それじゃあ、もう一度目を開けてごらん」
「本当に化け物はいないの?」
「化け物もゆうれいもいないわよ。目を開けたらすぐ分かるから」
お千代が口にしたおまじないの言葉を信じて、勘太はふたたび目を開けることにしました。
「あっ、本当だ! 化け物もゆうれいもここにはいないぞ!」
勘太は、便所のあなが開いているところにまたがるようにしゃがみました。
「ジョボジョボジョボ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」
ずっとガマンしていた勘太のおしっこは、いきおいよく便所のあなの中へ向かって出し続けています。小さなお寺へやってきてから、夜中におしっこをすることができたのは初めてのことです。