「ふはははは! にげるなら今のうちだぞ」 不気味な化け物の顔つきに、勘太は腹掛けを右手でおさえながらにげたくなりました。そんな勘太の心の中にあらわれたのは、お母さん代わりであるお千代のすがたです。「勘太くん、化け物がいないと思っておしっこをすれば大じょうぶだよ」「本当に大じょうぶなの?」「目をつぶってごらん。そうしたら、化け物なんか気にしなくなるでしょ」 勘太は、お千代のことを信じて目をつぶってみることにしました。すると、今まで耳にしていた化け物の声は聞こえなくなりました。