古傷は涙に変わり…あれ？

最近、かようなご時世の中にあって、業務縮小の波に襲われるのはおいらとて例外ではなく、退勤時間が一定ではなくなってしまった。

もちろん、そのおこぼれに与る形で、今年からは週末や祝日前になると、千葉マリンで試合がある時は海浜幕張まで行けちゃうという思わぬ恩恵がもたらされることがあるのでなんともはやかんともはや…といったところで、何がおかしいって、今年の観戦回数。
千葉マリン（ビジターの西武ドームを１回含む）で、この時期でもう１３回行っているってどーゆーことかと。

…これ、７年前だったら、１年間の千葉マリンの参戦回数ですよ。
元々が身体が弱い、いやさデリケートな身体の持ち主（って言ってね、分かる人←泣）なもので、若い頃から参戦回数はセーブしてきたので、千葉マリンは１年に１５、多くて２０という回数だったのだけれど、今年は週末金曜日が早く仕事がハネやすい環境下になってしまったもので、それ故に参戦回数が増えているのは間違いない。

…で、ですよ。

仕事が早く終わったからといって、そのまままっすぐ帰ればその分無駄なお金を使わずに貯められるので、節約生活を目指す向きにはそれが一番いいのだろうけれど、どうせ貯金をするなら、まとめてガッツリよりは、遊びも少しは切り詰めつつも、適度には遊んでみたいタイプ。

なもんで。

ってーことは、野球のない日だと、たまには鉄分補給にでも出かけるかと、適当なバスに乗ったりして欲求を満たしたりすることもあるわけで。

例えば先々週水曜日は…。

銀座線→田原町→浅草寿町→草３９系統金町駅行き都営バス→金町駅→京成

昨日火曜日は…。

御徒町→上野松坂屋前→上５８系統早稲田行き→早稲田→都電荒川線→町屋駅前→京成

という具合ですな。

その昨日火曜日。
なんだか無性に「ツリカケ電車」に乗りたくなり、東京近辺でツリカケ電車に乗りたい…という欲求を満たすには、もはや都電荒川線しか選択肢が残されていない。
都電に乗るとなると、上野広小路から都０２系統で大塚駅か、上野松坂屋から上５８系統早稲田行きか…と一瞬迷って、上５８系統早稲田行きに乗り込むことに。

このバス系統は、不忍通りを護国寺まで完全にトレースする。
ってーことは…。

古傷カモ～ンヽ(゜∀゜)ノ
古傷カモ～ンヽ(゜∀゜)ノ
古傷カモ～ンヽ(゜∀゜)ノ

という路線なわけ。こればっかりは分かる人しか分からないだろうけれど、つまりはそういうことなんです。動坂下とか。失恋した根津神社とか。

そんな思い出を９年間封印してきたのだけれど、乗るからには少しは腹を決めて、あの頃と不忍通りはどう変わっているのか、この目で見届けてやろうという魂胆。

…。

……。

………。

あれえ…？

覚えてないねえ…。

何度となく歩いたはずの不忍通りも、根津や千駄木界隈の光景も、道路の形はそのままでも、全く見覚えがない通りになってしまっている。
とにかく、全く記憶を揺り動かされるスポットが存在しないのだ。

あれえ…？
こりゃどーゆーことだろうねえ…？

なにせ、他人様が写真の展覧会の展示用で撮った写真の撮影場所をピタリと言い当てることが出来るくらい、街の光景に関しては少々こだわりがあるおいらでさえも、バスから眺める９年ぶりの光景は、同じ街であって、全く知らない街になっていた。

これは、ただ単に、おいらの記憶が風化してしまっただけなのか。
或いは、２０００年９月で封印した心の光景は、二度と現在の町並みとリンクしないよう、心自体がリンクを外してしまったのだろうか。
一度封印した心の光景は、二度と現実の世界に蘇ることがなくなってしまうとでもいうのだろうか。
覚えていない。
ただただ、覚えていない。
なんと言葉で表現すればいいのか分からないのだけれど、それくらい妙な感覚に、一人バスの中で襲われていたのだ。
実際に街を歩きながら、或いはクルマで走りながら、見続けた光景なのに…。

こんな不思議な感覚に襲われたのも、また珍しいことで…。

まあ、古傷はまさぐることなく終わったからいいか。