「けやぐの道草横丁」

身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳や歌への視点
「けやぐ」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです

#24. 椿 =木×春夏秋冬÷四季

2013年11月16日 | 植物
つばき油の自家製ガーリックオイル / by 蝉房





椿の家紋 / 水天宮椿


  一里塚との関連で「榎/エノキ」を調べていたら、木偏(きへん)に季節を表わす文字の旁(つくり)であることに気がついたので、象形文字である漢字という文字と、季節=四季との関連について道草してみました。


§1.文字の由来

  木偏の「木」という文字については、語源由来辞典によると、『一本生えているものを「立木/たちき」、何本も生えているものを「木立/こだち」というように「立つ」と共用することや、草に対してキッと立っているなど、突っ立っていることが原義であった』とする説に説得力を感じます。

  「春」という文字。由来は「草が日を浴びて生い茂るさま」から気候の「晴る/はる」が転じたという説が自然に納得できます。

  「椿」という文字は、『ユキツバキが早春に花を咲かせ春の訪れを知らせることから、日本で作られた「国字」であると考えられている』というのが解りやすいようです。


§2.ツバキ

  「木」+「春」=「椿」。訓:つばき、音:チン、英名: camellia 、学名: Camellia japonica 。ツバキ科ツバキ属の1種。日本原産の常緑広葉樹。野生種の標準和名はヤブツバキ。「つばき」の語源は、厚葉木(あつばき)または艶葉木(つやばき)。「花椿」は春の季語、「寒椿」、「冬椿」は冬の季語。

  日本内外でヤブツバキや、近縁のユキツバキから作り出された数々の園芸品種などを総称的に「椿」と呼び、日本のいわゆる「常緑広葉樹林(照葉樹林)」の代表的な樹木。花期は冬から春にまたがり、早咲きのものは冬さなかに咲きます。


§3.ツバキとサザンカとチャノキ

  ツバキの同属異種には、サザンカ(山茶花/Camellia sasanqua)やチャノキ(茶の木/Camellia sinensis)があり、サザンカとの明確な解りやすい違いは、一般的なツバキの開花期は1~4月、サザンカは10~12月。ツバキの落花は花冠ごとポトリと落ちるのに対し、サザンカは花弁がばらばらパラパラに落ちること。ツバキの果実の表面がツルツルするのに対し、サザンカの果実には毛が生えていることなどです。

  私の街歩きコースでもある、東京・文京区の東大・小石川植物園には、ツバキ園のエリアなどがあり、路地植えのツバキ・サザンカ・チャノキ合せて60種ほどの花が、11月から4月にかけて楽しむことができます。


§4.「椿」の民話

  「椿」に関連して想い出されるのが、「金の花咲く椿の木」という昔話です。ここに幼いころ北海道の伯父が送ってくれた「日本むかし話」/宮脇紀雄編著・大石哲路挿絵・沢田重隆装丁/児童名作全集・1955年(昭和30)偕成社刊/という一冊があります。

  牧歌的でバランスのとれた挿絵が大好きで、幾度かつ遠距離の引越しを生き抜いてきた愛読書。残念ながら半世紀という時間には勝てず、いまや朽ち果てようとしていますが、大切な宝物・文化財です。

   
  

  ストーリーをかいつまんでみます。
  …むかし信濃の国にたいそう短気でわがままな殿さまがいました。あるとき酒宴の席で奥方がついあくびをしてしまい、これを見とがめた殿さまは、島流しを命じました。

  奥方を乗せた小船は、椿の木がたくさん生え、まっ赤な花がきれいに咲いている島に流れ着きましたが、このとき奥方のお腹には赤ちゃんが授かっていたのでした。

  悲嘆にくれていた奥方は、通りがかった年寄りの漁師に助けられ、親切な世話を受けて十月(とつき)が経ち、元気な男の赤ちゃんが生まれ、あっという間に利発な少年に成長して、ある日、ほかの島の子らと違って、自分にはなぜ父親がいないのかたずねると、母はそれまでの一部始終を話して聞かせました。

  すると、少年は母の制止も聴かず、父親に会うために信州に行くといって旅立ちました。島に生えている一本の椿の苗木を携えて…。

  城下に着くと少年は、お城の周りを「珍しい椿の木…、金の花咲く椿の木…、金の花咲く椿の木…。」と触れて回りました。

  殿さまはそれを聞きつけ、少年を呼び寄せて、椿の木を眺め、
「これは、ただの椿の木ではないか。これに金の花が咲くというのはまことか?」
「はい、決して嘘は申しません。」
「万一、咲かないときは罪は重いぞ。」
「はい、咲かないことはございませんが、ただ、決してあくびをしない人が、この木を植えなければなりません。そうすれば、必ず金の花が咲くのでございます。」
「ばかなことを申すな!この世の中に、あくびをしない人間がいるものか!」
殿さまが怒っていうと、少年は凛々しくいいました。
「それではどうして、母上があくびをしたからといって、島流しにされたのですか?」
  殿さまは、驚いてじっと少年の顔を見ると、十年前に海へ流した奥方にそっくりです。

  殿さまは目に涙を浮かべ、深く悔い改めて、島へ迎えの船を出し、奥方と年寄りの漁師を呼び寄せ、めでたくみんないっしょにくらすことができましたと、サ…。





§5.ツバキ油

  ツバキ油の利用の歴史は古く、続日本紀に、8世紀末、渤海国使に海石榴(つばき)油を贈ったという記録があるそうです。

  食用としては、天婦羅油、炒め物、サラダなどに、化粧用としては、髪油(鬢付け油)、スキンオイルなどに用いられるほか、石鹸や工業用塗料などの樹脂原料、日本刀の磨き油、木刀や碁盤、木彫り、櫛など木製品の磨き・艶出しに使用されてきました。

  結構日本のくらしに溶け込んできたツバキ油ではあるのですが、菜種油や胡麻油ほど食用にはされませんでした。観賞花としては、江戸時代、将軍の愛好を機に実にさまざまな園芸品種が開発され、法外な値段で取引される珍品も出るなど、一大ブームとなったこともありました。

  菜種油や胡麻油などに比べると、食卓に上ることが少なかったのは、生産量や流通など経済性も去ることながら、「お上」へのはばかり・遠慮や、ポトリと花冠が落下することから連想される「打ち首」のゲンの悪さなど、文化的な要素が影響していたのかも知れません。


§6.生野菜サラダと日本人

  日本人には元来生野菜の食習慣はなかった。漬物やお浸しや和え物にして…、とはいうものの、魚の刺身には「つま」として魚肉とともに生野菜を食べてきたことは事実であろうと思います。

  明治時代になって洋食文化が導入され、肉料理のつけ合わせとしての野菜食・サラダに、食用油に酢と塩を合せるドレッシングという調味料が作られるようになり、それへの対応として国内で初めて工業的に作られたのが「日清サラダ油」という商品名の食用油だそうです。

  以来、サラダというと「サラダ油」というのが、日本文化であるかのように思われがちですが、その原料はほとんどが北米からの輸入に依っているようです。

  中国では北京オリンピック(2008年)のときにはじめて生食用の野菜生産が始まったと報道されましたが、日本でも1970年代の中ごろまでは、畑で取れたものが直接食卓に乗ることはなかった。寄生虫の媒介や農薬の汚染の危惧があったためです。

  そういえば、子供のころには食器・「野菜」用台所洗剤というのがあってあたりまえのように野菜を洗っていたことを覚えています。現在からみれば考えられないことですが。

  つまり、日本の生野菜食は始まったばかりの段階といっていいと思われます。ですから、ツバキ油で生野菜サラダをいただくという取りあわせも未経験・未開拓の領域ということができると思います。


§7.ツバキ油のガーリックオイル

  もともとバターやマーガリンには何か違和感があって、トーストにもニンニクの香りを擦り付けてから、オリーブ油(エクストラバージンオイル)を垂らすことが多かったのですが、小ブログ「#18.タマネギ!…のような、ニンニク !! 」で触れたショージ農園産のニンニクに出会ってからは、ボトルに、刻み「福地六片」とエクストラバージンオイルを投入した「ガーリックオイル」が風味もよく、取り扱いも簡単なので、生野菜や浅漬けなどにも愛好していました。

  今回、ツバキについて調べてみると、食用ツバキ油に関する情報に接することができたので、好奇心こらえがたく試食してみることにしました。取り寄せたのは、鹿児島県垂水市・葛迫製油所の「食用つばき油」200ml・100%桜島産。

  食してみるととてもサラサラとして食べやすく、オリーブ油特有の青臭さもないので、さっそくミニボトルで「ガーリックオイル」とはあいなりました。(▲トップの画像!○に椿のラベルは暫定的仮設工事。)

  私が使っていたオリーブ油は冷蔵すると半ば白濁し、凝固して使いにくかったのですが、ツバキのガーリックオイルは、冷蔵庫に入れてもサラサラのまま、安心して使うことができます。おかげで、バターやマーガリン、マヨネーズなど、作り手の「顔」が見えない食品とは、ほとんどお付き合いしない生活が続いています。

  ツバキ油にはニンニクの風味が移りやすいようで、オリーブ油にくらべ、ニンニクの量を半分に減らして使っています。とても気に入っています。

  桜島では1980年代から地元自治体が、噴火を続ける桜島の環境に適するヤブ椿の苗を配布し、農家の方々が防風林代わりに畑の周りを囲むようにして苗を植えてきたとのことです。

  桜島の椿油を販売・運営している「桜島ミュージアム」は、桜島全体を博物館ととらえ、桜島の自然・歴史・文化の調査・保存・展示活動を行い、火山や防災の教育普及や啓蒙活動につとめ、世界的にも有名な活火山である桜島の自然や文化を守り、その環境を観光や教育に活かし、これらの活動を通して桜島地域の活性化を目指しているとのことです。まったく理想的な運営ポリシーとお見受けし、桜島・つばき油愛好ビギナーとして、とても温かな嬉しい気持になります。



§8.青森・平内町の「椿山」

  青森県東津軽郡平内町の夏泊半島には、「ツバキ自生北限地帯」として国の天然記念物の指定を受け、1万数千本のヤブツバキが咲く「椿山/つばきやま」があり、半世紀以上前、小学校低学年のバス遠足で訪れたことがありました。(北限地帯としての指定は、秋田県男鹿市の能登山とともに2県にわたるものとして行われています。)

  平内町は、椿山のほか、「小湊のハクチョウおよびその渡来地」としして国の特別天然記念物の指定を受けている「浅所海岸」、夜越山森林公園、ホタテ貝などで有名です。

  個人的には父方の祖母の出身地でもあります。同町のホームページを拝見する限りでは、町内でツバキ油の生産をされているということはないようです。


§9.ツバキの実の特産資源化

  特定のご当地の新しい名産品について、いわゆる「勝手連」として空想してみることは、とてもおもしろ味のあることです。いつかどこかで「町おこし」につながるのでは?という「ロマン」があるからでしょうか。

  NHK・BSの「めざせ!グルメスター」やNHK「全国あまちゃんマップ!あなたの街おこしキャンペーン」でがんばっていらっしゃるご当地のみなさんを拝見するにつけ、ニッポン!まだまだ!まだまだ!と思います。

  平内町の「椿山」のツバキとその実を原料とする「椿油」の開発には、「町おこし」の条件がもったいないほど揃っていることに思いあたりました。その着眼・開発・運営についてのポイントを羅列してみます。

● 「ツバキ自生北限地帯」と国が認めていること

  「北限」といえばこれ以上緯度の高いところにはないという、唯一無二の状況を持ち合わせているオリジナリティが絶対の好条件。下北半島のニホンザルたちに「北限」を独占させることはありません。

● 「常緑広葉(照葉)樹林文化」vs.「落葉広葉樹林文化」

  「北限」ということには、日本の植物生態史や「常緑広葉(照葉)樹林文化」の全体を「俯瞰」できる位置にあるということができ、全国の「照葉樹林文化」による地域活性化体との連携や、県下「白神山地」をはじめとする「落葉広葉樹林文化」との対比・連携も可能と思われます。

  さまざまな価値、いわゆる「顔」を持つことは「選択肢」が豊富であるということであり、PR展開上もマスメディアに載りやすい有利さがある、ツブシがきくということになると思います。

● 照葉樹林の代表格・ツバキは「日本原産」の植物

  これはとても大切な基本的条件です。「椿山」がいつごろまでに形成されたかははっきりしないようですが、日本列島の「植生」が現在のように、北東日本のブナやナラやクリなどを主体とする「落葉広葉樹林帯」と、南西日本のカシやシイやツバキなどを主体とする「常緑広葉樹林帯(照葉樹林帯)」に二分されるようになったのは、3500年前、縄文時代晩期のことといわれます。

  前者は1万年以上前、後者は遅れて6500年前に形成が始まったとされています。有名な三内丸山遺跡は5500年前から4000年前に営まれていたことで知られています。

  三内丸山では落葉広葉樹であるクリの生産を主体とする社会だったといわれますが、その衰退について、南方から徐々に進出してきた常緑広葉樹の森との関連に想いを寄せるのは楽しいことです。

  つまり、日本列島の「ゆりかご」の素材が、数千年という時間の経過に伴って変化していた。そのゆりかごに、さまざまなグループの人々がやってきて、生活を営んでは去っていった、あるいは消滅していったという状況があったわけで、「椿山」には日本文化のゆりかごの証拠の北限として現存している、貴重な「基層」のひとつであるという重大な価値があります。

  さらに、「日本原産」ということは、日本ならではの、天から日本人に与えられた、日本人が日本人としてのくらしを営むための大切な素材であるといっていいと思います。

  イタリア料理全盛の今日、どちらのスーパーマーケットでも数種類以上のオリーブオイルとパスタが並んでいます。オリーブ Olea europaea は、地中海原産、モクセイ科の常緑高木です。かたや食用ツバキ油は、まず見かけることがないのは残念なことです。

  日本では、サラダ油は日本農林規格(JAS)により定められています。したがってJAS規格のある原材料を用い、なおかつJAS認定工場で製造されたものでなければ「サラダ油」を名乗ることはできません。

  サラダ油の規格がある植物油は、菜種、綿実、大豆、ごま、サフラワー(紅花)、ひまわり、とうもろこし、米(米糠)と落花生です。オリーブ油やツバキ油単独での「サラダ油」は存在しません。

  確かに生野菜用食用油としてのツバキ油の歴史は黎明期にあるのですが、なにもヨーロッパの食文化で培われた、オリーブ油の背中を追いかけ、振り回されることはありません。

  「照葉樹林の主役、日本原産自生ツバキの北限の大群落から搾油したツバキ油」です。オリーブ油とは全く別な価値として、納得のいく原材料、独特な成分によるおいしさ、青森・平内町の里山「椿山」の「ひとしずく」を逆に欧米へ届ける日がやってくるかもしれません。

  折しも、日本食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されようとしています。日本独自の食材の足もとを調べなおしてみる絶好の機会でもあります。地産・地消運動のさらなる浸透を期待したいものです。

★ ちなみに、身近な「日本原産栽培植物」には、つぎのような野菜があります。

・ウド/独活/ Aralia cordata /英名:Japanese spikenard
・セリ/芹、根白草(ねじろぐさ)/ Oenanthe javanica /英名:Japanese parsley または Chinese celery
・フキ/蕗/ Petasites japonicus /英名:Fuki
・ミツバ/三つ葉/ Cryptotaenia japonica /英名: Japanese honeywort
・ミョウガ/茗荷/ Zingiber mioga /英名:Myoga
・ヤマノイモ/山の芋、自然薯(じねんじょ)/ Dioscorea japonica
・ワサビ/山葵/ Wasabia japonica Matsum. /英名:Wasabi

● 原材料の初期投資(イニシャル・コスト)や農作業が不要

  ツバキの苗木を購入する必要がありません。手付かずの天然の大群落がそこにあるのです。

  セイヨウアブラナ(西洋油菜、 Brassica napus 、英名: Rapeseed、アブラナ科の二年草)や、ヒマワリ(向日葵、 Helianthus annuus 、英名:Sunflower、キク科の一年草)のように圃場を確保・整備して、その都度「種蒔き」や「刈取り」をする必要がありません。

  1万数千本のヤブツバキは毎年確実に大量の実を結ぶので、国の天然記念物「生息区域」として「入山」が禁止されない限り、無料で原材料が入手できるはずです。もし、ツバキの実がオオハクチョウたちの好物だったならば、ごめんなさいね。

● 収穫は社会教育の一環としても

  ツバキの実の収穫は、児童・生徒の社会実習の場にでき、地産・地消や食育の教材としても活用できそうです。子供は十年経てば大人です。特産物の優れた消費者・ふるさと応援者になってくれることでしょう。

● 山管理・ツバキ油製造の雇用創出

  自然災害や病虫害の看視を続けて椿山の環境を維持し、ツバキの生態系を円滑に保つ専門職の雇用が不可欠となります。また、製油施設で製造・管理・出荷業務などに携わる担い手も必要になります。

  なお、搾油する際に発生する、果肉(殻)や搾り「かす」は、椿山へ蒔いて戻し、自然の循環に沿うようにする配慮も、当然ですが必要なことと思われます。

● 顔と素材の見える商品

  現在、食用油業界は全国的なシェアを誇る大企業による想像を絶する生産量によって賄われていると思われます。

  大量に生産するためにコストを下げることができ、広く隅々まで商品が行き渡るなどというメリットがある反面、作り手の顔が見えない、商品の個性に乏しい、万一の場合の影響範囲などというデメリットもあり、安心・安全性に不安が残ります。

  しかし、調べてみると、前述の「桜島つばき油」をはじめとするいわゆる「地あぶら」で地場産業に貢献している事業体が結構あるようです。「地粉」や「地酒」や「地ビール」ということばはポピュラーになっていますが、「地あぶら」もあるのです。

  生産量やシェアは限られるものの、毎年再生産される地元の原料を使って、ほかにはない個性豊かな価値を創造し、常に地元の「顔」として責任ある商品作りを行い、使い手と作り手との信頼ある関係を構築することで、互いに実感のあるフレッシュなくらしを営むことができるのです。これが「地産地消」の原点なのではないかと思います。



ツバキの種子と殻化した果肉


● オレイン酸

  ツバキ油にオリーブオイルや他の食用油に比べて酸化されにくく固まりにくい性質(不乾性油)があるのは、「オレイン酸」を比較的多量に含むためだそうです。

  オレイン酸には、余分なコレステロールを運び出す善玉コレステロールは減らさずに、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らすといわれています。素材の長所は最大限大切にしたいものです。

● トランス脂肪酸

  トランス脂肪酸は、天然の常温の植物油にはほとんど含まれませんが、水素を付加して硬化した、部分硬化油を製造する過程で発生するため、それを原料とするマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれているそうです(商品によって大きな差があるようです)。

  ただ、植物油を高温で処理するとトランス脂肪酸を形成しやすくなるため、精製工程においてできるだけ熱を加えない、「コールドプレス」ともいわれる「圧搾加圧」によって種子から液状の油分を分離する方法が最善とされ、本来の味や成分も、より保持される製法とされています。

  トランス脂肪酸を一定量以上摂取すると、悪玉コレステロールを増加させ、心臓疾患のリスクを高めるといわれ、2003年以降、トランス脂肪酸を含む製品の使用を規制する国が増えていて、最近はアメリカ合衆国もその規制に乗り出すとの情報がメディアを賑わせています。

  時流に目と耳を凝らし、不安要素には常に前向きに即応して、使い手に喜ばれ、作り手には生きがいになる事業展開が望まれます。

● ツバキ油のボトリング

  食用植物油のボトリング(瓶詰め)は、まずボトル自体の材質が問われます。油が光により劣化しない材質、ボトル自体の成分が油に混入しない材質などについて、キメ細かな研究と適切な選択が行われなくてはなりません。

  さらには、輸送に合理的に対応するボトルの形状と強度が要求されます。食卓での利用に関しては、ユーザーの個性、ライフスタイルを優先するということで、過度な造形にコストをかける必要はありません。主役(油)以外の補助的コストは極力抑えてユーザーに負担を掛けないことが肝要です。

  ただ、地産・地消の見地から、一部高級なイメージを演出する場合には、地元「津軽びいどろ」の手づくりボトルとのコンビネーションはありえると思われます。

● ツバキ油の商品展開

  オリーブ油文化に追随するわけではありませんが、やはり地元・青森といえば、ガーリック(にんにく)とのコンビは外せないところです。「セット」でも、「ガーリックオイル」としても即戦力となることでしょう。

  調理品としては、さまざまな「リンゴのサラダドレッシング」、「ホタテや蜆貝のオイル漬け」、「マグロやホタテとのカルパッチョソース・ドレッシング」、「海峡サーモンとのマリネドレッシング」・・・などなど、くれぐれもメニューの「偽装」はなさいませんよう・・。

  日本海・津軽海峡・太平洋と三方を海に囲まれた地勢から、恵まれた豊富な食材を駆使して、地元のシェフや料理研究家、学生・生徒のみなさんの自由・奔放なアイデアから、オリジナリティあふれるレシピと製品の開発を進めていただきたいものです。



予備校の祈願にきたら落ち椿  蝉坊




《 関連ブログ 》
● けやぐ柳会「月刊けやぐ」電子版
会員の投句作品と互選句の掲示板。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0123
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575


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