山本文緒さんが亡くなったという知らせはネットニュースで知りました。
2021年10月13日、膵臓がんのため58歳で逝去。
実はずいぶん前に山本さんの小説は読まなくなっていました。
「プラナリア」以降、結構たくさん読んだ気がするんですが
元々恋愛小説が苦手だったこともあり…
というか恋愛小説は山本さんの小説以外はほとんど読んだ記憶がないです。
亡くなったニュースがきっかけで、また山本さんの小説を読んでみたいなあと思いつつ
いつの間にか忘れていました。
たまたま本屋で「プラナリア」と出会い
それ以降、山本さんの小説をまた読み始めました。
今日は「無人島のふたり」を読んだ感想です。
と言っても、これは小説ではなく、山本さんが最期まで綴った日記です。
日記は2021年5月~9月までで、闘病記という感じではなくて
その日あった出来事をストレートに語っている…そんな印象でした。
日記を読み進めていくと、なんとなく山本さんの人柄にふれるときがある。
山本さんのお宅にお見舞いへ来る人々に対して
「余命4か月でもうできる治療のない人にかける言葉って、難しすぎる質問だ。
私だったらなんて言ったらいいかわからないと思う」
病人である山本さんが、お見舞いに来る人たちの心配をするってえらいなぁ...
本当だったら自分のことだけで精一杯のはずなのに...
それとユーモアも忘れず
『120日後に死ぬフミオ』って本を出したらパクリとか言われるかなとも考えた。
「これは闘病記ではなく、逃病記だしなあ」
それと、すでに仕事を退職されていたご主人が、自宅で山本さんのお世話をしていたんですが
山本さんの体調が落ち着いていた頃、ソファでご主人に膝枕をしてもらって
ネットフリックスやユーチューブを見たりしていたそうです。
山本さん、再婚されていたんですね(というか結婚も離婚も知らなかったのですが)
やさしいご主人で、日記の中でも仲睦まじい様子はとても伝わりました。
あと、2021年といったらまだまだコロナが厳しいときで、日記に何度か東京の感染者数も載せていたのと
東京オリンピックの年でもあったので、メダルラッシュのことも書いてあったことが印象的でした。
別に病気のことばかりではない日常もあって、カフェにいったりもしていました。
場所も軽井沢ということで緑豊かな場所で
もし私が余命宣告を受けたら
こういう場所で最期を迎えたいなぁ…なんて思ったりもしましたが
都会育ちの私ですので、静かな環境がいいのか?窓の外を見れば必ず人が歩いている街中がいいのか?
実はよくわからないです...
日記は10月4日が最後です。
文章の最後に
明日また書けましたら、明日。
最後の最後まで書き続けようとしていたんですね(涙)
今回、レビューを書くにあたり再読しましたが、前回はたんたんと読めていたはずなのに
なぜか今回は途中で涙がボロボロ出てしまい、ひとりだったからよかったですが
なんでかなあ?