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「したたかな植物たち」秋冬編 多田多恵子

2024年09月10日 | 本 レビュー

「したたかな植物たち」秋冬編2019/11/8

多田多恵子

「したたかな植物たち」春夏編を読んでみてとても面白く、秋冬編も購入して読んでみました。

私は写真撮影が趣味で、主に花の写真をよく撮ります。

花は好きでも、写真を撮るようになるまでは、花の名前にはあまり興味がなかったんですが、自然と名前を覚えるようになり、公園や植物園に通ううちに、どこの場所にいつ頃咲くのかわかるようになり、それが楽しみでまた通い続けるようになりました。

本書は、私がよく出会う植物たちについて興味深い説明があり、読み終わった後、夫にこんなことが書いてあったよ!と話さずにはいられない内容でした。

そこで、私自身が昔撮った写真をはり付けて感想を述べてみたいと思います。

 

セイタカアワダチソウ盛衰史

(セイタカアワダチソウ)

最近は昔ほどセイタカアワダチソウの勢力がない気がしていましたが、それもそのはず、天敵が現れたり、菌類による病害があちこちにみられるようになったそうです。

花粉アレルギーの犯人として疑われていたのも覚えています。でも実はブタクサやオオブタクサが犯人で、その説明にセイタカアワダチソウは虫媒花(花粉が虫によって運ばれる花)なのだと知って、悪者にしてごめんなさいって思いました。

 

マンリョウの深謀遠慮

(マンリョウの実)

(ナンテンの実)

「深謀遠慮」って言葉、知りませんでした。調べてみたら「将来のことまで深く考えて、綿密な計画を立てること」なんですね。

冬になるとあちこちでマンリョウやナンテンなどの赤い実を見かけるようになります。目にも鮮やかでいかにもおいしそうですが、実はまずいそうです。多田先生は実際に食べてみたそうでびっくりしました。だって毒があるって書いてあるじゃないですか(大丈夫でしたか?)


もし赤い実がおいしくていくらでも食べられるなら、鳥はその場にとどまり、一気に食べ尽くしてしまう。でもそうなれば木の真下に糞の山が築かれて、種子はちっとも運ばれないというのです。赤い実は目について気になる。つい食べる。まずい。飛び去る。でも気になる。つい食べる...。
結果的に種子を広くばらまくことになるということですね。
「食べてね、でもちょっとだけよ♡」ということで、これを「ちょっとだけよの法則」と呼ぶことにしたというところで、思わず笑ってしまいました(笑)

 

ツバキの赤い誘惑

(ツバキの花)

ツバキの花の花粉を運ぶのが、虫ではなく鳥だと知って、そういえばツバキの花が咲く冬の時期って、虫がほとんどいないと今さらながら気がつきました。ツバキの写真を撮っていていつも思っていたのが、花びらが傷んでいるものが多いなということでした。実はこれには理由があって、花びらに残された点状の変色は、メジロの爪痕であるそうで、体の小さなメジロは下側の花びらにしがみついて蜜を吸うとのことです(てっきり雨にやられたとか、病気かなと勘違いしていました)。ツバキが横向きに咲くのは、ヒヨドリが花の横側から蜜を吸うためということで、そうだったのかと感心しました。ここでも最重要ポイントは「赤」で、鳥類がヒトと同じく赤い色を最も強く感受するからこそツバキは赤いのだということです。

 

全体を通して、面白かった!の一言です。知らなかったことがわかって、これからの花の撮影がさらに楽しくなりそうです!!