「一人暮らしーわたしの孤独のたのしみ方」2019/8/8
曽野綾子
過去に書かれたエッセイを集めた本です。タイトルは「一人暮らし」ですが、実際は、昼は秘書が雑用をしに来て、夕方からはお手伝いの女性とおしゃべりする時間があるというので、ひとりきりになるのは、朝と夜だけでしょうか？それでもご主人を亡くされた喪失感はいかばかりなことか．．
以前、曽野さんの書いた「夫の後始末」を読んだ最後のほうで、ご主人を亡くされて4か月を過ぎたころ、ペット売り場でスコティッシュフォールドの牡の仔猫を買ったくだりを読んだときは、かなりびっくりしました。(名前は直助くん)。
85歳で仔猫を飼う？体力的な問題もそうですが、飼い主が先に死んだらどうするの？と心配になりましたが、いらぬお世話でしたね^^;その後に迎えた牝猫の雪ちゃんともども、今では曽野さんちの立派な家族になっているようです。曽野さんが眠るとき、直助ちゃんはふとんの足の部分で眠り、雪ちゃんは枕の脇に寄り添って眠る．．すると曽野さんの耳が痒くなってしまう。猫毛アレルギーなのだそうだ(;^_^Aそれは大変だが、なんだか幸せそうに感じます。
P46
夫が亡くなって3か月ほど経った或る晩、私は本を読む気力を失った。そういう静かな夜、私たち夫婦は会話をして時間をつぶしていたものなのである。
相手のいない夜、友だちに長電話をするという人もいる。
私はそれだけは自分に禁じていた。自分の虚しさを埋めるために、お酒を飲んだり、麻雀をしたりするのと、長電話は同じようなものであった。
このどん底の気分も、私は現実的な方法で切り抜けた。
テレビで、少し硬派の番組を見ることにしたのである。
訳はついていたが、多くは、外国語の番組だった。
そして自分の知らない世界が、あまりに多いことを覚えると、私は単純に感傷的になっていられない乾いた気分になれたのである。
☆感想☆
夜、友だちに長電話をするということ．．今だったらラインやメールになるんでしょうか？これ、私も絶対にしません。相手の時間を奪うことになりますから．．．
ところで、テレビの硬派の番組ってケーブルテレビでやっているディスカバリーチャンネルとか、ナショナルジオグラフィックとかでしょうか？
P209
雨が降って路傍の雑草の艶やかさにはっと気づく能力こそ、多分幸福を生み出す才能なのである。
☆感想☆
雨あがりなどは、花や葉っぱが瑞々しく、艶やかで、とても美しいです．．私はいつも感動しています。気が付かないのはもったいないと思います。
P31
私の目的は、多くの場合、実に小さい。今日こそ入院中のあの人に少しは退屈紛らしになるような手紙を書こう。
冷蔵庫の中の長ねぎ2本を使ってしまおう。引き出しの3段目の中で散らかっているクリップやメモ用紙を整理しよう。その程度のものだ。そしてそれだけ果たすと、私は満足と幸福で満たされる。
我ながらかわいいものだ、と思う。
☆感想☆
私の場合、やらなくてはいけないことはたくさんあるのですが、気力、体力が続かない。大病をしてから体調のいい日がない。何をやるにもすぐに疲れてしまう。しかし最近断捨離を始めている。毎日少しずつモノを捨てている。いっぺんにやろうと思わず、できる範囲でやっている。今日やることを決めて一日をスタートすると、生活にハリがでますね！