気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

清流日本一・仁淀ブルーの安居渓谷(仁淀川=高知)

2016-06-10 14:12:44 | 思い出

 2016年5月5日(木)晴  かつてNHKで仁淀ブルーとして報道された安居(やすい)渓谷(県立自然公園)を目指して妻と二人で出かけて行く。

私たちは、現在、大阪に住んでいて、年に2~3回、先祖の墓参や掃除のために、実家のある高知県佐川町に帰省している。

実家は現在、空き家であるが、今回は半年ぶりの帰省である。

ゴールデンウイーク中であることから滞在期間もながく5泊6日を予定している。

実家のすぐ下には仁淀川の支流である柳瀬川が流れ、子供の時から魚とりや水泳など、大変思い出深く、親しみのある川である。

地元では柳瀬川とは呼ばれず尾川と呼ばれ、川名が地名にもなっている。

柳瀬川は、佐川町を流れ、越知町で本流の仁淀川と合流する。 その後、伊野町、土佐市、高知市へと流れ、土佐湾(太平洋)に注いでいる。

仁淀川(によどがわ)は、国土交通省の発表によると、全国一級河川の水質ランキングで、平成24年、25年、26年、27年に第1位を獲得している。

私たちの行こうとしている安居渓谷は仁淀川の支流である安居川にある。

仁淀川の本流は、その源を西日本最高峰で、愛媛県にある石鎚山(標高1982m)におき、愛媛県から高知県の7市町村を経由して土佐湾(太平洋)へと注いでいる。

流路延長124km、流域面積1560平方kmの清流で、四万十川(しまんとがわ=全長196Km)、吉野川(よしのがわ=全長194Km)と並ぶ四国三大河川の一つである。

仁淀川源流の石鎚山(標高=1982m・2011年7月撮影)愛媛県久万高原町の面河川(おもごがわ)から仁淀川に流れ太平洋に注ぐ。

仁淀川山系の瓶ケ森(かめがもり=標高1897m)UFOライン(2013年8月撮影)

石鎚山を背景に伸びる全長27kmの町道、標高1,300m~1,700mを走るルートで、仁淀川山系の山々が抜群の眺望で臨める。

 

私の実家のある佐川町を流れる柳瀬川沿いの県道を5~6分程走行すると国道33号に出る。

国道33号は高知と松山を結ぶ主要国道である。 

この国道を松山方面に走行して行くと、すぐにトンネルがあり、越知町中心部に下って行く。

越知町は高知県の中西部に位置する自然豊かな町で、町の中心には、仁淀川、坂折川、柳瀬川の3河川が合流する場所にある。

越知町の中心部には、商店や住宅が立ち並んで賑わっている。

越智町は、コスモスの名所でもあり、近くには植物博士で佐川町出身の牧野富太郎が研究のためによく訪れていた 「横倉山県立自然公園」 が広がっている。

また、この地には、源平合戦の後、安徳天皇が逃れてきたという伝説も残っている。

美しい山間部の谷間を流れる仁淀川に架かる浅尾沈下橋(越知町=2010年8月撮影) 夏場には多くのアユ釣りの人達で賑わう。

沈下橋は、大雨などによる増水時に橋が流されないように、橋の両側に欄干を造らない構造になっている橋で、橋そのものが沈むことを前提として造られている。

 

私たちは、越知町を過ぎると、仁淀川沿いに造られている国道33号を松山方面に走行して行く。 信号機もなく、風光明美で快適なドライブを楽しめる道路である。

 

 安居渓谷は、高知と松山を結ぶ国道33号線、旧仁淀川町役場近くの交差点を、右方向の国道439号線を池川町方面に走行して行く。

走行する車窓からは、山の上空に山林や斜面を利用した茶畑などが広がって見えてくる。

南国土佐のお茶どころとして知られる仁淀川町  山の斜面を利用した茶畑が広がっている。

さらによく整備された道路を走行すると、山岳風景の中に開かれた街並みが見えてくる。 旧池川町の中心部である。

 

旧池川町の風景 道路脇には、「池川ふれあい公園キャンプ場」の施設の屋根が見え、安居渓谷のある安居川が流れている。

国道438号線と平行して流れる安居川と、川沿いにある 「池川ふれあい公園キャンプ場」、 夏場には多くの人たちで賑わう。

調理施設やトイレなども完備されており、夏には大勢の人達で賑わいをみせるようである。

さらに、このキャンプ場脇の道路(国道439号)を5分ほど走行すると、下記の安居渓谷の案内図があり、左方向に行くと安居渓谷である。

仁淀川の支流、安居川にある安居渓谷案内図

私たちは、国道439号線から安居川沿いを走る県道382号線の狭い道路を北上して行く。

そうすると左側の眼下に安居川千仞峡(せんじんきょう)と呼ばれる、安居渓谷屈指の切り立った絶壁が続き美しい渓谷美を見せている。

ただ、残念なのは、木の枝が伸び、少し見づらいことである。 時々車から降りて絶壁の眼下を流れる渓谷の眺望を楽しむ。

川幅の狭い安居渓谷の絶壁を清流が流れ、渓谷の美しさを見せている。

安居渓谷の絶壁の下には、段差の凹凸や、青みがかった、色彩豊かな岩場を真っ白い泡をたてながら流れ、際立った美しさを見せている。

 渓谷の眺望を楽しみながら少しずつ車を進めて行くと瀑布の轟音が耳に入ってくる。

 その個所には小さな駐車があり、その真向かいには広沢谷という支流があり、二段の滝となって安居渓谷の谷間に流れ込んでいる。

 

支流の広沢谷から安居渓谷に2段になって流下する見返りの滝

見返りの滝名には、「立ち去る時に思わず振り向いて、もう一度見たくなる」 ということから名付けられたという由来がある。

広沢谷から2段になって流下する 見返りの滝、この一帯は、断崖絶壁が続き美しい渓谷美を見せる「千仞峡」と呼ばれている。

美しい奇岩の谷間を透き通った清水が美しい渓谷美を醸し出している。

安居渓谷を流れる仁淀川の支流、安居渓谷は、流れる川の透明度の高い清流で、青みがかって見えることから「仁淀ブルー」とも

呼ばれ、NHKをはじめTV番組等で紹介されている。

色彩豊かな岩間を真っ白な泡を立てながら流れる安居渓谷の清流

美しい渓谷を流れる清流を楽しみながらゆっくりと走行していると、駐車場のある 「安居渓谷 宝来荘」に到着する。

目の前には、宝来荘の名前の由来になった宝来山が聳えたっている。

安居渓谷沿いに聳え立つ宝来山(標高=1051m)

渓谷の谷間に造られ、しっとりとした落ち着いた雰囲気が漂う「安居渓谷 宝来山荘」宿泊設備やバンガローなども整っている。

宝来山荘は地元の豊かな自然環境から、素朴な山の幸や、川の幸が味わえる人気のスポットになっているようである。

私たちは、愛車を駐車場にとめると、すぐにカメラを持って妻と二人で渓谷の散策に出かける。

安居渓谷の美しい清流の側に建つ宝来山荘、宿泊棟のほかにファミリーやグループに人気のあるバンガローの施設もある。

食事や宿泊もできる宝来荘の前を通り過ぎると、美しい渓谷をまたぐ紅い吊り橋の逢菜橋が架けられている。

新緑につつまれ、美しい山容を見せる宝来山と、渓谷を流れる透き通った清流が、岩場と緑と一体となって見事な風景を醸し出している。

渓谷沿いの遊歩道近くに咲いていたアザミの花, 何とも言えない紫色の美しさが伝わってくる。

紅い吊り橋の逢菜橋から上流側にある滝を撮影する。

私たちは安居川に沿った道を渓谷美を楽しみながら上って行くと、乙女河原という美しい河原に出てくる。

日本一の清流といわれる仁淀川、その支流である安居川の上流域にあたる乙女河原、新緑の山々と共に高い透明度を誇っている。

透明度の高い清流に、太陽の光や空の青さが入り混じって神秘的な色合いを見せる、これが仁淀ブルーと名付けられた。

仁淀ブルーは、時期的に8月中旬頃から1月中旬頃まで見られるようである。

従って、私が撮影したのは、今年の5月上旬である為に、仁淀ブルーの色とは時期的にずれている。

仁淀ブルーが良く見られる場所として、「にこ淵」 「安居渓谷」 「中津渓谷」が有名である(いづれも高知県)

仁淀川が 「仁淀ブルー」として、知られるようになったきっかけは2012年3月25日に放映されたNHKスペシャル 「仁淀川 青の神秘」からである。

2015年10月9日 日本TV系 「沸騰ワード10」 では、日本一の清流が生み出す奇跡の光景「仁淀ブルー」が紹介されている。

仁淀川の原流域には広大な原生林があって、豊富な雨と共に原生林から流れ出る川は、当然、透明度が高くなってくる。

安居渓谷の美しさは、清流のほかに、青みを帯びた美しい石がたくさんあり、これらが緑の森と共に、渓谷の美しさを引き立てている。

安居渓谷は、山と山に挟まれ谷間の絶壁を育みながら渓谷を形成しているが、乙女河原は渓谷内唯一の広い河原である。

この乙女河原は、訪れた人達の憩いの場として古くから親しまれている。

写真上部の橋を渡ると飛龍の滝へと続く遊歩道の入口になっていて、二つの川が合流している場所でもある。

河原には青い美しい色の石が、ころがっており、清流と共にその美しさを見せている。

川の中央では、母と娘が岩にすわりながら、渓谷を流れる清流を見たり、川水に触れたりしながら一時の余暇を楽しんでいる。

川底には色々な石や岩があり、清流とともに美しさを見せている乙女河原の流れ。

乙女河原からは小さな沈下橋が架けられている場所があり、その場所から支流に沿って10分程歩くと飛龍の滝がある。

透き通った清流が、小さな段差のある滝に流れ落ち、渓谷の情緒を一層高め、私たちを楽しませてくれる。

安居渓谷の支流にあるこの道は、原生林のような森におおわれ、朽ち果てた枯れ木が、横たわったり、枝間にあったりしている。

そういった状況が、まるで、もののけ姫のような雰囲気を漂よわしている。

こうした雰囲気のある川と森に囲まれた遊歩道を進んで行くと、目の前に乙女の像が見え、私たちを出迎えてくれる。

私たちを出迎えてくれる乙女像

乙女象の裏側には、 「乙女の象ー泉ーは山紫水明の地の象徴として、多くの方々の御好意により建立する」 と書かれている。

つまり、「この地は自然の風景が清浄で美しく、谷間に射す日の光の中で、山は紫にかすみ、川は澄みきった美しい所である」 の意である。

山の谷間にある渓谷には、大木が生い茂り、その緑の枝間が太陽光線を遮っているが、

青い色彩の岩や、石・清流が見事に調和し、美しい風景を生み出している。

奇岩の谷間を清流が流れ落ち、周辺の風景になじんでいる。 奥行きの木立のある風景から、もののけ姫の世界を感じさしてくれる。

緑と茶色い枝の幹、でこぼことした岩間から、幾筋かに分かれて滝のように流下している、美しい光景を見せている。

その先からは、安居渓谷のシンボル的な存在である 「飛龍の滝」 が見えてくる。

 落差25mの2段の滝、龍が身体をくねらせ飛び立つような姿から 「飛龍の滝」 との名前がつけられている。

滝の流下する水流が風を伴い、しぶきとなって少し離れていても私たちに向かってやってくる。

滝流独特の冷気が、滝つぼ周辺に漂い、この冷気がマイナスイオンを発生させ、心地よさを感じさしてくれる。

滝はひとつの流入口の岩場から、真っ白な泡を立てながら豪快に流下し、下の段差の部分にあたり、左右に分かれて滝壺に落ちてくる。

滝壺の右側には、小さな虹が発生している。

その前では、犬を連れた女性が、90度に右手を上に折り曲げて、写真のポーズをつくっている。

豊富な水量をもった滝が、途中の岩場にあたり、豪快に流下している光景は、まさに圧巻である。

清らかな清流が真っ白な泡を立てながら流下し、下の段から二つに分かれて、ひとつの滝壺に流下している飛龍の滝。

滝の側は、マイナスイオンが豊富に発生し、訪れた人達を心地よい環境の中においてくれる。

私たちを、暫くの間、豪快に流れる滝の姿を楽しんだ後、元来た道を駐車場の方に帰って行く。

日本一の清流として名高い仁淀川。

その支流にあたる安居渓谷県立自然公園の水や、渓谷の美しさは、私の想像以上の美しさであった。

この時期は、仁淀ブルーといわれる水色は、時期が違うようで見ることはできないが、

秋の紅葉した渓谷や、青い空などから想像すると目に浮かんできそうである。

また、違う季節に訪れてみようと、思いながら帰路について行く。