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「あなた」「なんだい」といふごと浮かれ猫
世界は君たちのために猫の恋
身体つけ行く足どりや浮かれ猫
足どりのもつれ合ふごと浮かれ猫
わが音にやっと気づくや浮かれ猫
まだ俳句を始めてないころのこと。
公園内の植え込みの前の細い道に立って木々を見ていた時のことです。
寒くは無かったように思い出すから、今頃より少し先だったかもわかりません。
ふと何か動く気配に気づくと、向こうから猫が二匹歩いて来ます。
よく見ると、茶トラと白黒のブチです。
その二匹は、身体を寄せ合うように、じゃれ合うようにしてゆっくり歩いて来ます。僕が先にいることにまるで気がつかないのです。でれでれとした感じで、ブチの雌(たぶん)が上目づかいに雄を見て「あニャたン」というように身体をくっつけると、茶トラの雄が「ニャんだい」というような顔をしてブチの顔を見つめるようにしながら、尚も僕に気づかずに歩いて来るのです。
もうすぐ目の前にやって来ました。それで僕は、気づかせるために両手を叩いてパチンと打ち鳴らしたのです。
するとその音に二匹は「ハッ」としたような顔で気づくと、慌てて離れ、植え込みに飛び込むようにして逃げ込んだのです。
様子を、逃げ込んだ先を見てると、姿はよく見えなかったけど、植え込みを抜けたところで二匹はまたくっついてどこかへ行ってしまいました。
まるで漫画などで見るアベックの猫そのものでした。雌の方は目が輝いててとても嬉しそうな目を顔をしていたのです。
俳句を始めるようになって、季語「猫の恋」を知りました。なかなか見ることの少ない光景だったからよく覚えています。
まさに「浮かれ猫」でした。