仕事。
ロッカーは、風が通りそんなに暑くはなかった。同僚とだべっていたら、テナントのパートさんが出勤。他はすべて穏やかな方なのだが、彼女はエアコン無しではいられない。エアコンが入ってないとわかるや、荷物をドサっと置き舌打ちとため息。慌ててエアコンのスイッチを入れる。ふと休憩スペースの方を見たら、休憩中の上司がTVのリモコン握りしめたままうたた寝してる。おまけに、無意識に時々チャンネル変えてる。
いやはやいやはや・・・
仕事終り帰宅したころは、すっかり涼しくなっていた。
鈴虫たちの鳴き声聴きながら・・・昔の日本人はなんと粋だったんだと、しみじみ思う。
火鉢や甕で飼っていたという。つぼ飼いというらしい。鈴虫の習性を見事にとらえた飼い方である。
と、ばかり思っていたが・・・声の響きにも、とても合理的な飼い方だったのだとも、気がついた。
実は、養子に来た時から我が家の鈴虫クンたちは声が悪いと感じていた。
里の父が一時飼っていた。それはたいそうな美声であった。
が・・・そうか。そういうことだったんだ。
里もふつーのプラスチックの容器で飼っていたのだが、置かれてる場所が、玄関の吹き抜けの階段脇であった。音響効果でたいそうな美声に聞こえたのだ。
つぼ飼いとは、天然の音響の仕掛けでもあったのか。
そして・・・
鈴虫は10月にはもれなく命が絶える。が、そのつぼのまま保管しておけば、翌年には、子供衆がまた美声を響かせる。年配の同僚女史が、え?鈴虫って越冬するんでしょ。死んじゃうの?と驚いていた。彼女は秩父の旧家の出でお父様が飼っていたそうだ。秋に土蔵にしまって翌年また鳴くからてっきり越冬してるんだと60を越えるまで思いこんでいた。
これは、不老不死の体現だよなぁ・・・命のバトンは続く・・・親は子を知らず子は親を知らない。でも、同じに鳴く。
なんとも私たちの先祖は素敵であったな。地球に優しいなんてヘンなスローガンは胡散臭いよな。既製品の人工空間が最高の快適と生きているんだから。だろ。
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