木の上
榎本 栄一
うぬぼれは
木の上から ポタンと落ちた
落ちたうぬぼれは
いつのまにか
また 木の上に登っている
昔 難攻不落といわれた城があったが
どんな堅固な城といえども
姿 形のないうぬぼれの難攻不落にはとうてい及びそうもない。
不死鳥という伝説の鳥がある。
焼かれても焼かれても その灰の中から
元の形をしてよみがえってくるという強烈な生命力だ。
自慢の鼻がへし折られるということばがあるように
うぬぼれの時にこっぴどくやっつけられて 再起不能と見うけられても
その生命力の強靭なこと不死鳥もかくやと思われるばかり。
別に整形手術をうけなくても
たちまち鼻たかだかとなるから不思議である。
これに陰性うぬぼれというのがあって
私などは至らぬ人間で とても他人(ひと)様の前へは ・・・
と殊勝らしく口で言いながら
どうしてどうして 謙遜という美徳を知り 且つ実践できる私も
これでまんざら捨てたものではない
・・・ といううぬぼれがシネシネと伸びてくる。
「それ誰のこと」
「たよりないなア あんたのことを言っているんじゃないか」
「オヤ 私はまた 話しているあんた自身のことかと思った」
「参った 語るに落ちるか」
有頂天になったら必ず落ちます。
これは物理の法則です。
* 2010.11 東ブータンで
榎本 栄一
うぬぼれは
木の上から ポタンと落ちた
落ちたうぬぼれは
いつのまにか
また 木の上に登っている
昔 難攻不落といわれた城があったが
どんな堅固な城といえども
姿 形のないうぬぼれの難攻不落にはとうてい及びそうもない。
不死鳥という伝説の鳥がある。
焼かれても焼かれても その灰の中から
元の形をしてよみがえってくるという強烈な生命力だ。
自慢の鼻がへし折られるということばがあるように
うぬぼれの時にこっぴどくやっつけられて 再起不能と見うけられても
その生命力の強靭なこと不死鳥もかくやと思われるばかり。
別に整形手術をうけなくても
たちまち鼻たかだかとなるから不思議である。
これに陰性うぬぼれというのがあって
私などは至らぬ人間で とても他人(ひと)様の前へは ・・・
と殊勝らしく口で言いながら
どうしてどうして 謙遜という美徳を知り 且つ実践できる私も
これでまんざら捨てたものではない
・・・ といううぬぼれがシネシネと伸びてくる。
「それ誰のこと」
「たよりないなア あんたのことを言っているんじゃないか」
「オヤ 私はまた 話しているあんた自身のことかと思った」
「参った 語るに落ちるか」
有頂天になったら必ず落ちます。
これは物理の法則です。
* 2010.11 東ブータンで