ある男性と、久しぶりに喫茶店で会った。私は夕方から忘年会で、その前の1時間だけ。以前、単行本の担当編集者だったYさんは、退社して現在は文筆業。東京の近県に住んでいるが、月に数回、都内に出て来ると、電話をくれる。当日の電話だと、私はたいてい予定が入っていて、会えないことに。
そんなふうに、なかなか互いの予定が合わず、先日会ったのは約3年ぶりだった。
「元気そうだね」
相変わらず紳士的な魅力を漂わせたYさんが、独特の微笑を私に向けて言った。
「うれしいわ。今日、Yさんに会えて」
予想以上に、なつかしくて、うれしくて、幸せな気分!
Yさんという男性は、一緒にいると、女性をフワッと包み込んでくれるような、独特の雰囲気を持っている。
そのことを言うと、
「そうか。ぼくは、安全な男なんだ」
そう、苦笑する。
「危険な男じゃないって言いたいのね」
「うん。女性にとってね。だけど、このトシでもまだ、男の欲望ってあるんだよね」
「ふふッ」
「たとえば朝から、そのことを考えてる時なんかあってさ」
「ええッ、朝から?」
紳士然としたYさんに似合わない、大胆なことを言うのが、いかにも彼らしいのである。
「うん、朝から。だけど相手の女性は誰でもいいってわけじゃないんだ」
「そう」
「一条さんとなら、したいなって思うね」
「えッ、何したいの?」
と、トンチンカンに聞き返してしまった。すぐ意味がわかり、私は顔が熱くなった。しばし、Yさんと見つめ合って、無言のままクスクス笑い合う。
こんなことって、初めての経験。まだ夕方前。場所は、ほぼ満席の喫茶店。アルコールではなく、コーヒーを飲みながら、ジョークとは言え、「したい」なんてセリフを口にしたYさんが、その夜、眠りにつくまで忘れられなくなってしまった。
そんなふうに、なかなか互いの予定が合わず、先日会ったのは約3年ぶりだった。
「元気そうだね」
相変わらず紳士的な魅力を漂わせたYさんが、独特の微笑を私に向けて言った。
「うれしいわ。今日、Yさんに会えて」
予想以上に、なつかしくて、うれしくて、幸せな気分!
Yさんという男性は、一緒にいると、女性をフワッと包み込んでくれるような、独特の雰囲気を持っている。
そのことを言うと、
「そうか。ぼくは、安全な男なんだ」
そう、苦笑する。
「危険な男じゃないって言いたいのね」
「うん。女性にとってね。だけど、このトシでもまだ、男の欲望ってあるんだよね」
「ふふッ」
「たとえば朝から、そのことを考えてる時なんかあってさ」
「ええッ、朝から?」
紳士然としたYさんに似合わない、大胆なことを言うのが、いかにも彼らしいのである。
「うん、朝から。だけど相手の女性は誰でもいいってわけじゃないんだ」
「そう」
「一条さんとなら、したいなって思うね」
「えッ、何したいの?」
と、トンチンカンに聞き返してしまった。すぐ意味がわかり、私は顔が熱くなった。しばし、Yさんと見つめ合って、無言のままクスクス笑い合う。
こんなことって、初めての経験。まだ夕方前。場所は、ほぼ満席の喫茶店。アルコールではなく、コーヒーを飲みながら、ジョークとは言え、「したい」なんてセリフを口にしたYさんが、その夜、眠りにつくまで忘れられなくなってしまった。