一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

男性が悪女と呼ぶ時

2000年11月26日 | 女のホンネ
 先日、親しい知人に誘われ、繁華街のバーで飲んだ。小さな店で、時々、1つの話題について客の全員が喋り合う。皆、アルコールが入っているから、放言というかストレス発散するみたいな無責任な喋り方である。
 しきりと、〈悪女〉という言葉を連発する熟年男性客がいた。
「とんでもない悪女と出会って、ぼくの人生を狂わされた」
 酔った彼は憎々しげな口調で、どんなひどい女だったかを延々と語る。その悪女というのは、離婚した妻のことらしい。
「ぼくも悪女に引っかかって、1年で600万円貢がされた。別れた後、プレゼント代返せって言いたかったよ」
 と、中年男性客が、誇らしげに言うのには呆れてしまった。
「でも、それは自業自得ってことじゃないかしら。悪女呼ばわりするのも、お金を使って損したと思うのも、彼女と別れた後でしょう? 愛し合ってる時は最高に魅力的な女で、悪女じゃない女とよりずっと素晴らしい甘美な時間を過ごしたかもしれないじゃないの」
 私がそう言うと、店の熟女ママも同意して、憤慨の顔つきになり、
「だいたい、プレゼント代返せなんて、男として最低!」
 と、蔑むような口調で言った。噂話ではなく、その場にいる客に向かってだから、気の強いママである。
 けれど、私も同感。女性が、恋人や愛人にプレゼントをねだるのは、ベッドの中が効果的と決まっている。妻や他の女から得られない快楽のひとときを味わわせてくれた女の魅力の虜になったのは自分なのだから、騙されたとか引っかかったとか被害者意識を持つ男性は、めめしいし、情けないと思う。
 実は、私は、ずっと以前、プレゼント代返せと、明細書付きの請求書を送られた経験がある。その手紙を、親しい男性に見せたところ、その送り主の知人である彼は、
「これを読むと、振られた口惜しさからの嫌がらせみたいだけど、○○さん、こんなこと書くの冗談なのか本気なのか、わからないなあ」
 そう言って、数日後に会った時、ぼくにも間接的な責任があるからと、私が請求された代金を持って来たのには驚いた。私にとっては高額。収入の多い彼にとっては、たいした金額ではないかもしれないが、
(も~ったいない!)
 そう思いながら、私は言われたとおり、明細書付きの請求書差出人に、書留小包で送った。現金書留では送れない額で、ゆうパックもないころ、わざわざ手間かけて小包にしてである。その後、私から無視され続けて、プライドを傷つけられたらしく、頻繁にあった電話もなくなったので、ホッとした。分別も理性もあるはずの熟年で、業界では活躍というのが不思議だった。
「男女関係とか恋愛関係ってわけじゃなかったのに! 週刊誌に暴露記事書きたい! あの明細書付きの請求書見せて!」
 親しい男性にそう言ったら、アハハハハと面白おかしそうに笑って、
「彼は後悔してるよ。返すに返せなくなって。きみにとっては人間関係のレッスン料」
 確かに、私は、その時、人間関係を学習した。レッスン料払って下さった彼に、今でも感謝している。
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