何だか例年と違う。暖冬の気配のせいだろうか。来月はもう師走とか年末という感慨も感傷もほとんどないのである。エアコンの暖房をつけても衣替え整理をしても、例年のように晩秋は去り、冬支度という自覚も希薄である。原因は、暖冬の気配ばかりではないようだ。私にとっての今年のトップニュースといっていい、耐震強度偽装問題が一日の多くの時間、雑念となって頭を占めている。といっても、私は被害者というわけではない。ただし、マンションに住んでいる。このニュースを知ったばかりの時、価格の安さに驚愕させられた。専有面積の広さがウリのディベロッパーとは後日、知ったことだが、初めてその広さの数字と価格の数字を見た時は、
「この場所でこの広さでこの価格……!」
こんなに現在はマンションが低価格なのかと単純な私は思ったものだ。不動産の相場という意味である。ところが、そうではなかったのだ。問題が発覚して以降、都知事や友人知人の言葉で、被害者は気の毒だけれど何故そんなに低価格かを考えてみるべきだというような発言に、うなずける気もするけれど、やはりそれは残酷である。建物の建築設計に構造計算書というものがあり、それを購入の検討時に疑える人間なんてプロでない限りいないのではないだろうか。大丈夫かと眼で見て判断できるものではないし、ディベロッパーや施工主が大手か中小かで選択する余地があるくらいで、しかも大手だから100%信用できるとも言えないわけで、そうなるともう、購入者は賭けみたいな気持ちで大金を使い果たすことになる。
というわけで来月はもう師走だなんて想いに浸る余裕もなく、テレビのニュース、報道番組、友人知人と会っての話題もそればかり――という日々を過ごしている。一級建築士の知人女性に電話して、意見を聞いてみたりもした。
国会での参考人招致の質疑応答は日中だったので、ビデオに予約録画しておき、夜、見たら、まるでドラマをみているようだった。テレビドラマを全く見ない私だけれど、一人一人のキャラクターがまるで脚本家によって創られてでもいるような……というのは言い過ぎかもしれないし、周囲の人たちの意見を聞くと、
「そんな人間ている、こんな人間もいる、そう驚くことではない」
ということらしいが、ビデオに録画してしまったために繰り返し見ては、本当に何とも言えない気持ちになる。被害者たちは本当に可哀相だ。明日は我が身という言葉があるが、私だっていつどんな被害者になるかわからない。私たちが税金を払って雇っている人間たち(という言い方もある。)は、もっと誇りと責任と義務を自覚して一生懸命働いて欲しい! そう言いたい気分である。
「この場所でこの広さでこの価格……!」
こんなに現在はマンションが低価格なのかと単純な私は思ったものだ。不動産の相場という意味である。ところが、そうではなかったのだ。問題が発覚して以降、都知事や友人知人の言葉で、被害者は気の毒だけれど何故そんなに低価格かを考えてみるべきだというような発言に、うなずける気もするけれど、やはりそれは残酷である。建物の建築設計に構造計算書というものがあり、それを購入の検討時に疑える人間なんてプロでない限りいないのではないだろうか。大丈夫かと眼で見て判断できるものではないし、ディベロッパーや施工主が大手か中小かで選択する余地があるくらいで、しかも大手だから100%信用できるとも言えないわけで、そうなるともう、購入者は賭けみたいな気持ちで大金を使い果たすことになる。
というわけで来月はもう師走だなんて想いに浸る余裕もなく、テレビのニュース、報道番組、友人知人と会っての話題もそればかり――という日々を過ごしている。一級建築士の知人女性に電話して、意見を聞いてみたりもした。
国会での参考人招致の質疑応答は日中だったので、ビデオに予約録画しておき、夜、見たら、まるでドラマをみているようだった。テレビドラマを全く見ない私だけれど、一人一人のキャラクターがまるで脚本家によって創られてでもいるような……というのは言い過ぎかもしれないし、周囲の人たちの意見を聞くと、
「そんな人間ている、こんな人間もいる、そう驚くことではない」
ということらしいが、ビデオに録画してしまったために繰り返し見ては、本当に何とも言えない気持ちになる。被害者たちは本当に可哀相だ。明日は我が身という言葉があるが、私だっていつどんな被害者になるかわからない。私たちが税金を払って雇っている人間たち(という言い方もある。)は、もっと誇りと責任と義務を自覚して一生懸命働いて欲しい! そう言いたい気分である。