一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

テレビ・ドラマ 『重婚 二人の夫を持つ女』 (テレビ朝日・1985年)

2012年03月24日 | テレビ番組
 監督=野村孝
 脚本=小森名津
 主演=山本陽子、名高達郎、河原崎長一郎
 東京と奈良で夫を持つ女性の実録ドラマ。主人公は東京と奈良に教室を持ち、フラワー・デザイナーとして活躍する女性。東京では、年下のカメラマンと同棲し、結婚。奈良では、夫と2人の子供と暮らしている。奈良では本名、東京でカメラマンの夫とは、行方不明になった妹の戸籍を使って結婚。教室のある東京と奈良を毎週、新幹線で往復し、2人の夫からも子供たちからも愛されていたが、二重生活の苦悩と疲労から自殺してしまう、というストーリー。
 今年、初めて、テレビ・ドラマを見た。最近、再放送された番組ではない。CD&DVDラックに積み重ねてあるVHSビデオ・テープを捨てる決心をし、まだ見ていない録画テープがあるかもしれないと、未練がましく、1本ずつ再生してみたのである。現在、使用しているブルーレイ・DVDレコーダーの下の段に、VHSビデオ一体型DVDレコーダーを置いてあり、まだ使用可能である。そのレコーダーでビデオ再生したのを、DVDにダビングした映画もかなりあるが、同じ映画をブルーレイ・DVDレコーダーで録画して、DVDに落としたり、市販のDVDを買ったりしたのも少なくないので、結局、無駄になってしまった。
 VHSビデオ・テープはあまり画質も音質も良くないから、再生して確認しないまま捨てようかと思ったが、やはり未練があり、一抹の期待がある。テレビで放送しそうにない映画があるかもしれないし、販売されていないDVDの映画があるかもしれない。1本のテープに2本も3本も録画してあり、どれもラベルには1本の映画タイトルと、『他・数本』と書いてあるだけだから、観てない映画が出てきそうな気がした。
 けれど、VHSビデオテープを1本ずつ再生してみると、そんな映画はなさそうだった。
 代わりに、6本目に再生したVHSビデオ・テープに録画してあったのが、このドラマである。テレビ・ドラマはほとんど見ないし、録画しないので、珍しいと思った。まず、タイトルに惹かれた。キャストもいい。とは言っても、1度見たドラマなら、このテープは捨てようと思いながら再生を続けてファーストシーンを見たら──。
(あ、見てない! 面白そう!)
 得した気分になった。ブルーレイほど画質と音質が良くなくても、テープはそう劣化していないのか、
(結構、きれいに映るじゃない!)
 予想以上に鮮明な画質で、うれしくなった。
 若々しく純真で情熱的な青年役の名高達郎が、とても素敵である。東京ではハイ・センスなキャリア・レディ、奈良の旧家では気品ある夫人を演じ分ける山本陽子の演技の見事さ。背景が、都会と、古都の違いの面白さ。ストーリーも面白くて、すぐ引き込まれた。2人の夫を欺く主人公。名前を変え、東京弁と関西弁を使い分け、化粧も髪型も衣装も、別人のような変身ぶりが、見事と言いたくなるくらい。東京で年下の夫と愛の生活を送っている時には、恋に燃える女。奈良では、良き妻、良き母になる女。
(何て理想的な生活。夫が2人いて、毎週、東京と奈良を新幹線で往復して、どちらも愛で満たされて……!)
 と、単純な想いが湧く。
(何て、〈女性〉を完全に描いているドラマかしら……!)
 女性には、恋に燃えてしまう女である自分と、妻・母としての歓びと安らぎに包まれたい自分が、常に共存している、葛藤している──そんな一面を描ききっているこのドラマに感動させられた。
 原作はなく、実録ドラマということだが、才能ある脚本家による脚本と感心もした。
 欲を言えば、ラストシーンは少し、もの足りなかった。2人の夫から疑惑を持たれ始めた主人公が、妊娠した時、
(どちらの夫の子かしら……)
 という呟きは、リアリティはあるものの、やや興醒めな感じがしなくもないが、実録ドラマである以上、無理ないことかもしれない。そのことも苦悩の1つ、さらに2人の夫からの疑惑や、欺(あざむ)き続ける二重生活に疲れ果てたことが原因で主人公は自殺してしまうというラストシーンも、もの足りない気がしなくもなかった。
(実録ドラマの結末だから、こういうラストシーンになったのかも)
 そう思い直した。
 約2時間、思いがけなく楽しめたテレビ・ドラマ。残りのVHSビデオ・テープを捨てる前の、再生確認の作業が楽しみになった。


                              

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