一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

俳優・池部良さん

2011年06月08日 | 最近のできごと
 先日、テレビで『映画俳優・池部良 -女優が語る二枚目スタアと昭和-』という番組を見て、昨年10月に亡くなった池部良さんのことを、いろいろ知って興味深かった。若いころの池部良さんの写真や映像を初めて見たが、共演女優たちが、スマートで素敵な人だったと絶讃していたのが印象的だった。
 昨年の12月、池袋の映画館で池部良さんの追悼上映があるのを知り、観たいと思ったが、行きそびれてしまった。
 池部良さんと個人的に親しかったわけではないが、一時期、ある会で時々、会ってお喋りする機会があった。20何年前のことで、5、6年の間に、10回か10数回ぐらい会った。紹介された時、
「知ってる? 池部良さん。一世を風靡した二枚目俳優」
 と言われても、私はピンと来なかった。名前は知っていたが、映画やテレビで見たことはなかったし、主役クラスの俳優とは知らなかった。雑誌のエッセイか何かで、名前と写真を見た記憶があった。もうすぐ70という年齢より若く見えたし、スタイルが良くて魅力的な熟年紳士という感じだったが、俳優であることを意識させられるような雰囲気はなく、気さくで親しみやすくて、気軽にお喋りできる人だった。
 その会は、故・豊田行二先生が、「面白い会があるから一緒に行こう」と誘って下さった。会場へ行く前に書店に入ると、私の文庫本を買って下さり、その本を会の主宰者に紹介の時に渡して、この次は彼女に賞を、みたいなことを言うので、最初、喜んでいた。ところが、あとで聞くと、主宰者が選んだ数人の作家や詩人に賞を与えるのだが、賞金はなく、受賞者がパーティ費用などの代金を負担すると聞いて、「ええっ!」と、私は驚愕した。その代金は、人によって違うらしいが、○○万から○○○万と聞き、さらに驚愕して言葉も出ないほどだった。
「お金を出すのなら、賞は欲しくないわ。普通は受賞する人が賞金貰えるんでしょう?」
 豊田先生に、そう言うと、
「それはそうだ、逆だよね、アハハハハ」
 と笑い出したのを、今でも楽しく思い出す。
 面白い会というのは、そのことだけでなく、その会の主宰者は比較的高齢の歴史小説作家だったが、著名な文学団体の名称を1字変えた、会の名称だったこともある。一種のパロディみたいなものと思っていたら、そうでもなく、何かの記事でプロフィールにその受賞を載せている有名人を新聞で見た時には驚いたが、本を出す芸能人にとっては宣伝の意味合いもあったのかもしれない。
 その例会に、池部良さんのほかにも何人かの有名人が来た。年1度の受賞パーティでは、映画やテレビで見たことのある芸能人の受賞者や招待客たちが集まったので、結構、楽しかった。テレビ映りと実物とは、こんなふうに違うのねと、驚いたり感心したり。立食式なので、同じテーブル席で言葉を交わした芸能人も何人かいて、後日、テレビで見た時に思い出したりした。
 例会の通知は隔月ぐらいに来たが、出席したのは、年に数回だった。新宿の店の宴会場に50人ぐらい集まって飲食しながらの談笑を交わす。2次会が飲み屋で、3次会が喫茶店という日が多かった。出席者は男性が多かったが、偶然、池部良さんと隣り合った席に座ることが多く、楽しいお喋りをする幸運にめぐまれた。池部良さんは、アルコールはあまり飲まなかったが、女性を喜ばせるような言葉というか、うれしくなるような言葉を冗談混じりで口にすることもあった。喫茶店では、ほかのテーブル席の客で、ファンだという熟年女性たちから騒がれ、サインを求められて、そんな時は池部良さんが俳優ということを感じさせられた。
 ある時、パーティ会場から、いつもより早く帰る池部良さんに、
「もう帰るんですか?」
 と、驚いて聞いたら、
「うん、またね」
 と、いつもは握手での別れの挨拶が、思いがけなく、違う挨拶をして貰ったことが、ちょっとうれしい思い出。
 今後、映画館で上映されるかテレビで放映されたら、池部良さん主演映画を、ぜひ観たいと思っている。


                                   
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