一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

笑わせてくれる人

2012年05月11日 | 最近のできごと
 昨年、面白い人と知り合った。会うたびに、笑い転げるほど楽しい話し方をする人である。地方の駅前に、地元で古くからある小さな店舗を持つ不動産店の社長だが、不動産業の仕事をしている人とはとても思えないユニークな熟年男性。真顔でジョークを口にして笑わせてくれる、まるで喜劇俳優みたいな人である。
 ある時、温泉旅行のエピソードでさんざん笑わせてくれた後、
「だから○○さんて若いのね、60代に見えるわ」
 そう言ったら、
「ぼく、69」
 と、真顔で、丸い目をクリンとさせるので、私と姉は笑い転げてしまった。70代とばかり思い込んでいたので、私は慌てて、60代前半に見えると、まだ笑いの残った声で言った。
「そう」
 と、○○さんは怒ることなく不快な表情も浮かべず、キョトンとしているので、いっそう笑いが止まらなくなってしまった。
 そんな感じで、しょっちゅう笑わせてくれるので、
「○○さんて本当に面白い話ばかりする人ね。もう、おかしくておかしくて笑ってばかりだわ」
 そう言うと、
「あのね、テレビでいろんな健康法やってるでしょう? 健康に一番いいのは笑い! 笑いが一番、健康にいい! 笑わない人は病気になる。笑ってる人は健康でいられる!」
 と、断言するのである。落語や漫才も好きで、よく聴くらしい。私は感心した。面白おかしい話ばかりして、自分も笑ったり人を笑わせたり、それが○○さんの健康法で生き方なのだと。
 真顔で話す○○さんの笑わせ方に、私はいつも、アメリカの喜劇俳優ジャック・レモンを思い出す。キョトンとした時の顔つきなど、ジャック・レモンに似ているのである。雰囲気まで似ている。
 本当に喜劇映画に登場しそうなキャラクターであり、私が今まで出会った不動産業者と、全く違うタイプと会うたびに思う。
 そんな○○さんに、私と姉は亡父から譲られた土地に小さな駐車場とミニ家庭菜園を作ったので、管理してもらうことにしたのだが、ある時、ミニ家庭菜園の雑草の茂った区画を歩きながら、その何種類もの草のことを○○さんは実によく知っていて、草の名前をそれぞれ口にしては、
「これは食べられる。身体にいいんだ。漢方でも使われるんですよ」
 そう言って、何本かの草を口に入れて食べ始めた時は、私も姉も驚愕のあまり、言葉を失って○○さんを見つめていた。
 実家へ行くたび、店に寄ることを電話すると、
「どうぞどうぞ。寄って下さい。その時間は、いるようにします」
 と、○○さん。他の仕事に比べれば管理料はたいした収益でもないはずなのに、いつも歓迎してくれるのがうれしいし、どんな話で笑わせてくれるかと店舗に寄ることが楽しみになっている。


                                   


                             
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