NHKで5月~8月の日曜日23時から放送されていた韓国歴史ドラマの「100日の朗君様」をやっていて見ていたのですが、今回はこのドラマの話を・・
朝鮮王朝時代、陰謀により襲撃され記憶喪失となった世子(王位継承者、日本でいう皇太子)のユルが兵役帰りの男(ウォンドク)として、村の女性ホンシム(イソ)と夫婦として生活するエピソードを中心に、世子嬪の不倫など種々のエピソードと王宮の陰謀と絡みながら展開していきます。
チャングムなど他の歴史ドラマのようにモデルとなる実在となる人物はなく完全な創作。王様やその周辺人物も架空の人物だそうです。
日本の時代劇で架空の将軍や有力戦国武将出てくる。というのはそう見ないと思うので珍しいスタイルですね。
韓国歴史ドラマはチャングムも50話近くありましたが、大河ドラマ級の長いものが多くて見るにも決意がいりますが、この100日の朗君様は全16話。
NHKでの放送は1話60分×16回ですがDVDでは第1巻(1・2話で138分)、第8巻(15・16話で168分)と1話につき9~24分カットされてる状態のよう。
1話の放送分数が一定しないのは韓国の番組スケジュールはどうなってるのか気になりますが、それはともかくこのカット量は行き過ぎでは・・、テレビ放送でもカット量が多い終わりの方の回は駆け足感があって物足りなさも感じたので、DVDを借りて最初から全部見直すことにしました。
借りてきたDVDは吹き替えと字幕両方で見てます。字幕版もずっと見てるとだんだん単語が分かってきたり勉強??になりますが、吹替版の吹替の声優の上手さも際立ちますね。特に悪役の左議政キムチャンオンの企んだ風のなどドラマを引き立ててます。
ここで少々朗君様ロス状態な私が想像でストーリーを補完&その後の物語を考えていきます。ただ私は朝鮮王朝の仕組みや朝鮮半島の地理・韓国語は殆どわからないのでこの解釈も話半分もあってるか自信がないですがまぁ面白ければ・・またドラマなので脚色もそれなりにあるとは思いますが・・
このドラマに限らず他のドラマでも朝鮮王朝の王族は王宮で庶民とは比べ物にならない豪奢な生活を送る一方で生活の細かい部分までいわば慣例に規定され、その上常に陰謀が渦巻き目の前の人物は敵か味方か喰うか喰われるかの世界で心労が絶えなさそうです。もっとも陰謀がなく平和な状態ではドラマにならなそうですが。
☆ソンジュヒョン村と漢陽(都)の位置関係
ソンジュヒョンやチョヌ山という場所は何処かモデルがあるのかさっぱりわかりませんが、ドラマの以下の台詞などから勝手に推測すると「近くはないが何日もかかるほど遠いわけでもないのかなと推測します
「ホンシムは毎月十五夜に漢陽のモジョン橋に行っている」
「世者が夜中に宮殿を出て馬を飛ばしてソンジュヒョンまで行って帰ってくる」
「『都は遠いのでたくさん歩いて大変。ワラジが擦り切れるぐらい』というホンシムの台詞」
距離として都からは30~40km程度の場所を推定。休憩時間を除いて徒歩で6~8時間程度、早朝に出れば夕前頃に付ける距離。馬を飛ばせば1時間30分程度なので夜の22時に出ても夜中の2時ぐらいに戻れる計算です。
現代の東京からだと横浜市の外縁ぐらいの距離感。矢倉沢往還(大山街道)で三宅坂から大和市の下鶴間宿が36㎞程度です。
ただ第13~15話辺りではもう少し近そうな雰囲気もありますが・・
「チョヌ山の麓には20以上の村がある」「500軒を超える村」という台詞や市場があり県衙が置かれているからに、ソンジュヒョンはチョヌ山周辺では中心的な村であると想像します。
☆世子(ユル)の求婚を受け入れたイソ(ホンシム)のその後
廃位された世子嬪に代わり新たな世子嬪になるわけですが、格式と慣例に規定され、世子ユルと好きな時に一緒にいれるわけでもない、王宮での生活は活動派のホンシムには息苦しい場所になりそう。
一方で国母とも呼ばれる王妃(皇后)は歴史的にも庶民(特に貧困層)や難病患者への救済に尽力したエピソードは日本でもいくつもあるようです。王妃となったイソ(ホンシム)もこの分野で名声を得そうですね。
☆チョンジュユン
準主役級といえるチョンジュユン。庶子の出と相貌失認で顔が判別できないというハンディがありながら、一方で仕事熱心で能力はありそうに描かれています。常に出世を考えている風な台詞は庶子で地位が低いからか、それともその場を収める方便か・・。
「100日の朗君様」を別の視点で見るとこのチョンジュユンの出世物語とも言えます。漢城府の役人だったのが、左議政が陰謀を手助けをさせる為にソンジュヒョンの県監に任命(キムスジの「お前、県監になったぞ」の台詞から異例の出世の雰囲気)
更には王宮に戻った世子の腹心の部下として侍講院司書と順調に出世していきます。じきにユルが王になることを思えば、もはや兄の大司諫チョン・サヨブに並び左議政クラスになってしまうのではないかと思うほど。
一方で初恋のホンシムとの恋は世子のユルに負ける形で叶わぬ恋となりますが、「ユルとイソ(ホンシム)は幼少の頃からの仲」「女真族との戦」のエピソードから最終回の縁組はユルの背中を押すためで既に諦めていたのかなと。
余談ですが「庶子」という言葉を神奈川県松田町の地名以外で聞くのもなかなかないですね
☆ソウォン大君
叶わぬ恋といえばソウォン大君と世子嬪の方も注目。
常に野望の為に策を練る母である王妃に反してソウォン大君は権力への野望がないように描かれています。一方で王宮に戻った世子との会話で「世子様は私が欲しいものをすべて持っています」という意味深な台詞も・・
最終回で世子嬪を助けだそうとするも王様に捕まりますが、ラストで隠れ住みながら子を産んだ世子嬪を訪れるソウォン大君の姿が。
世子の従事官のクォン・ヒョクとともに、世子嬪を生かそうとした世子の意思を汲んで「自害した」という形をとって秘密裏に生かしたのでしょう。
その後の展開で大君は反世子派の拠り所となりそうですが、王宮を出て世子嬪と一緒に暮らしつつ、世子を支える隠密のような形で活躍するという展開も面白そうですね。
☆暗行御史(アメンオサ)
物語中盤第7話で(前)県監チョブヨンとパク令監の横暴からウォンドク・ホンシム夫婦の危機を救った暗行御史のホ・マンスク。暗行御史という役職はこのドラマで初めて知りました。庶民に扮して隠密のように内偵を行い有力者の不正を処罰するという、例えて言えば日本でいえば(ドラマとしての)水戸黄門の役割を正式な役職にしたようなもの。
よく見ると第5話のパク令監の宴の他に第6話でも街の人に紛れて内偵している姿が見れます。おそらく事前に県監やパク令監が疑わしいという情報を得て内偵していたところにウォンドク・ホンシムから決定的な決め手となる「夜関門」を受け取り逮捕に踏み切ったというところでしょう。
暗行御史は相応の地位と名誉ある仕事のようですが、貧しそうな姿に扮しての内偵には苦労も多く色々大変だったようで・・。ホ・マンシクは最終回で盗賊団を撲滅した功績で任務を全うして漢陽に呼び戻されています。
色々書いていると長くなりますが、この他にソンジュヒョンの村人をはじめ脇役となる多数の周辺の登場人物もまた特徴的なキャラクターであったり脇役も丁寧に描かれています。昨今の日本の話題のドラマもそうですが、周辺の登場人物をも丁寧に描くというのが「面白いドラマ」の一つの要素なのかなと。
「なぜ為政者が国を治める権利・資格があるのか?」という問いの答えは国や時代によって様々ですが、現代日本での憲法では、例えば総理大臣は国民に選ばれた国会議員により代表として選出された故の地位であり、世襲である天皇陛下には国を治める資格はなくあくまで象徴としての立場に留まっています。
朝鮮王朝の場合は「王は他の者よりも資質に優れた能力が高い者であるから」という考え方によっていて、これ故に資質に欠けたとされた王は政変で廃されたり、日頃の政務での大臣の「王がそのようでは民の信頼を失い、信頼を失えば国を失います」のようなのドラマ内の台詞にも現れてるなと思いました。
ということで、私もそんなにテレビを見る方ではなく、ドラマもいちからちゃんと見るのは年に何本あるか・・・というレベルですが、見ると面白いもので。
私は韓国には行ったことがないのですが、来年あたり海外旅行に行けるようになったら「ハングルが分からないから不安」とか喰わず嫌い?(๑´ㅂ`๑)せずに行ってみたいですね。やはりぜひ王宮に行きたいですね。また歴史ドラマの撮影セットも見学できるらしいのでそこも(๑´ㅂ`๑)
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2020/10/2 18:03(JST)