箱根登山線内のロマンスカーの制度について調べてみたよ(特急券なしで乗れるロマンスカー)
2017年04月27日 11時25分22秒
さて先日、箱根湯本に行ってきたのですが・・・行きは小田原から箱根湯本までロマンスカーに乗りました。車両は引退のうわさが囁かれるLSE形。今のうちに乗っておきたいものですね・・
小田原から箱根湯本間は特急券を買わなくてもロマンスカーに乗れるのでお得な区間です
と書くと、「えっ!?」と思う方もいるかもしれませんが・・・制度として箱根登山鉄道(小田原~箱根湯本間)の特急ロマンスカーは特急券がなくても乗車できます。
といっても「同じ列車の小田急線停車駅~小田原・箱根湯本」の特急券を所持している」もしくは、200円(執筆時点)の座席券を購入する必要があるので完全に乗車券のみで乗れるわけではありません。
今回はこの箱根登山線内のロマンスカーの制度上のカラクリを紹介します。
まずは小田原から箱根湯本までロマンスカーに乗る際に必要な座席券を簡単に紹介すると・・・
小田原駅では発車10分前ぐらいに7番線の小田原方エスカレーター下辺りに係員が現れ座席券を発売します。
大きながま口バックから券の束を出して1枚切って売ってくれる姿は、昔のロマンスカーの「キャンセル待ち販売」で座席を指定しない空席利用(何処かには座れる)の特急券を販売していた姿を彷彿とさせます。
余談ですが小田原駅の箱根登山鉄道の業務は完全に小田急に委託。座席券を売る係員のみ箱根湯本から派遣する形を取っているそうです。そのためか座席券は小田原発でも箱根湯本駅発行となっています
箱根湯本駅では2両目付近。特急券券売機付近で係員が発売しています。
小田原~箱根湯本間は200円の追加でロマンスカーに乗車できるこの制度。
小田原までJRで来た場合やロマンスカーが止まらない駅から快速急行・急行で来た場合でも、ロマンスカーに乗ることが出来るので箱根観光のアクセントにもお勧めですね
ちなみにこの区間は僅か6.1kmですが所要時間は約15分。所要時間を考えると意外に乗り得かも??
登山線内では追い越しがないので、先に小田原(箱根湯本)を出た列車が先に箱根湯本(小田原)に到着します
さてここからは専門的な話となります。
この「座席券」、往時の小田急やJRを初めとした有料特急列車運行会社で発売される座席無指定の特急券に似ているため、「座席無指定の特急券」のように理解している人も多いようですが、規則・制度上はあくまでも「座席券」であって「特急券」ではありません。
以前は小田原~箱根湯本間のみの乗車は出来ませんでしたが、2005~2006年頃にこの座席券制度がスタート。小田原~箱根湯本間のみの乗車も出来るようになりました。
本記事中の「有料特急」という言葉は鉄道用語であり一般的な言葉ではありませんが意味は以下の通り
乗車券の他に特急券が必要な特急列車のこと(JRの特急や小田急線内ロマンスカーなど)。対義語としては「無料特急」でこれは京急や相鉄の特急のように、特急料金は不要で乗車券のみで乗車できる特急列車のこと。
まず前提として
小田原から箱根湯本間は小田急電鉄ではなく箱根登山鉄道という別会社である(何を今更ですが一応確認で)
小田急線内各駅からの特急料金は小田原と箱根湯本で同額。
特急料金は特定区間を除き距離で決まっているので、小田急線内各駅~小田原までの距離で算出した料金が箱根湯本発着でも適用されるシステム。
小田原~箱根湯本間が運休となった場合、特急料金の払戻しはない。(小田急線内では途中駅で打ち切りとなった場合は全額返金)
小田原~箱根湯本間のみ乗車する場合、「座席料」が必要(200円)
これらは「小田急時刻表」「営業のご案内」(小田急の駅で配付)などを見てもわかる事項です。
この部分だけで、箱根登山線内に特急料金が設定されてないのでは??と推測できますが・・・
今回、箱根登山鉄道の営業規則を閲覧する機会があったので正式な制度規則としての扱いを確認出来ました。コピー等はできなかったため、メモとして以下に記載します。
箱根登山線内には特急料金の規定・設定はなし
小田急線内からの乗りとおしではなく、登山線内のみを乗車する場合は「座席券」が必要。
「座席券」は制度上は『夜のあじさい号』等の乗車時に必要な「座席券」と同じもの。(57条)
あくまで座席券であり特急券ではないので、JR・小田急など有料特急列車運行会社でよくある「座席無指定の特急券(無指定の指定席特急券)」とは別物と言える。
乗車前にホーム上で座席券を購入せずに乗車した場合の取扱い(13条ー2)
(規則上は)車内で車掌から購入することを定める。小田急線内のような車内料金の規定はなし
さらに車掌から座席券の購入もしなかった場合(不正乗車)はさらに増運賃2倍(267条)
箱根登山線内で1時間以上遅延した場合は座席券料金は返還(289条)
小田急線小田原までの特急券を所持している場合、そのまま箱根湯本まで乗車可能。
小田原と箱根湯本は特急料金が同額なため。
(営業関係単項規定)
小田原までの特急券を所持していれば登山線内も乗れる。「サービス区間」のようなもの。
登山線には特急料金の制度はないが、登山線内も席番を指定していることや案内上として箱根湯本駅表示の特急券を発行していると思われる。
なお券面表示が箱根湯本ではなく小田原発着の特急券を所持している場合でも、同じ列車で箱根湯本まで乗車可能。(座席券の追加購入は不要)
ex.特急券を「新宿→小田原」で購入したものの乗車中に気が変わった場合など。
これらのことから、箱根登山線内では特急料金の規定・設定がないため、まず箱根登山線内のロマンスカーは有料特急列車ではないと考えられます。
しかしながら乗車対象を小田急線内からの特急券を所持している場合と座席券を購入した場合。に限定していることから、JRのホームライナー号のような存在に近い列車であると言えると思います。
ただ私が今回話を伺った箱根登山鉄道の関係者氏に「ライナー号のようなものか?」と仮定をぶつけたところ「箱根登山鉄道としてはれっきとした特急列車と考えている」とのことでした。
有料特急列車ではないものの、京急や相鉄の特急(無料特急)とも違う、便宜的に表現すれば「有料特急列車のようなもの」である。と考えられると思います。
ロマンスカーのあさぎり号やメトロホームウェイ号、JRと伊豆急を直通する踊り子号などをはじめ、複数の会社に跨って運行している有料特急列車は数多くあります。
直通元・直通先それぞれの会社で特急料金を設定していて、通しで乗る場合はそれぞれの料金を加算する。(場合によっては割引料金の規定も)というのが一般的です。
今回紹介した登山線内ロマンスカーの取り扱いは箱根登山鉄道が小田急グループの完全子会社になる前からのもので、さらに2005年頃以前は登山線内のみのロマンスカー乗車は取り扱っていませんでした。
「箱根登山線に特急料金の設定がない」と書きましたが、なぜ特急料金の設定がないのか??100円程度でも別途取ってもおかしくはないのに??とも思います。
私が今回話を伺った関係者氏は「小田原~箱根湯本間は小田原までの特急料金で乗れるサービス区間のようなもの」と例えていました。小田原~箱根湯本間は6.1kmで所要約15分程度。のこの区間、別途特急料金を取るほどの距離でもない。ということで特急料金設定を見合わせたのでしょうか??正に「サービス区間」ですね。
ということで・・
「小田原から箱根湯本までのロマンスカーに特急券を買わないで乗った」というのは、規則的にも全く問題ない通常の乗車です。(といっても・・座席券は買ったよ)というある意味トンチ的な話の解説でした。
乗車券だけで乗れないんだし、「座席券」と名乗ってるだけで特急券と同じじゃん。といえばそうかもしれませんが、特急券と座席券、似ているようで全く違う存在なのです。
注:本記事の解説では新宿から箱根湯本方面の下り方向を基準として表記しています。上りの箱根湯本から新宿方面に関してはこれの裏返しとなるので適宜読み替えてください。
2017/4/27 11:25(JST)
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