今回紹介するのは大和市教育委員会が平成2~6年(1990~1994)にかけて刊行した「まんが大和の歴史」を紹介します。
第1巻 先土器時代
第2巻 縄文・弥生・古墳時代
第3巻 奈良・平安・鎌倉・室町・戦国時代
第4巻 江戸時代
第5巻 明治・大正・昭和時代
として全5巻で人類誕生の頃から昭和34年の市制施行までの通史で紹介されています。通史の内容に関しては実際に読んでいただくとしてこの漫画で独特なのが世界観。この記事ではこの漫画の世界観を中心に紹介します。
第4巻江戸時代編、富士山大噴火の描写が凄い!
漫画は横田とくお氏、学研の学習漫画などを多く手掛けた作家故?に漫画のタッチは往年の学研の学習漫画を思わせる雰囲気です。
主人公は13歳で中学1年生の「渋谷やまと君」とやまと君の幼馴染で同じく13歳の「さがみちゃん」の2人、他に大学の先生で大和市史研究や発掘の指導を行っている山本孝先生、更にはやまと君の父親で大和市の文化財保護担当の職員である「渋谷茂氏」が登場します。
やまと君とさがみちゃんの2人が知り合いの先生(博士)に誘われて歴史の世界をめぐるという学習漫画ではあるあるの展開。
やまと君が寝ていると山本先生によく似た自然と歴史の神様が夢に現れ過去の世界にタイムスリップ・・・は学習漫画で見た展開ですね。
この「やまとの歴史」の世界観で特徴的なのがやまとくん、さがみちゃんの2人(+よく似たやまと君のお父さんとお母さん)はタイムトラベラーである傍観者の立場ではなく、実際にその時代に生活する人として登場します。やまと君、さがみちゃんの2人は歴史を経ても歳をとらないサザエさん的設定。
やまと君、さがみちゃんの2人は切りがいいところで現代(1991年頃)の世界に戻り、現代での山本先生とのパートを経てまたタイムスリップ。
縄文時代草創期後期になぜかこの地を大和と呼んでる!!
やまと君達が歴史を改変してしまったのか???
第4巻江戸時代編の冒頭では整備途中の郷土民家園のシーンも登場。
ちなみに2~5巻ではページ下に本文のストーリーを補足する「物知り豆辞典」もあります。
江戸時代編ではやまと君は江戸幕府による長州征伐にも出兵。さがみちゃんに心配されながらも無事帰還したり、結城四郎と関わりあいを持ちます。
結城四郎は新選組の近藤勇と同じ天然理心流の剣術家。討幕をもくろむ薩摩藩の浪士隊に加わり大和・厚木市域で暗躍。厚木市荻野で山中陣屋焼討事件が起こします。これがのちに鳥羽伏見の戦いに繋がり倒幕へと至ります。
明治時代になりタイムスリップには汽車も登場。
1891年ついに大和誕生!!
そして大和市の市制施行を見届けて二人の歴史の旅は終わります。最後の現代パートでは、今までの歴史の旅の伏線が回収され、その時代を一生懸命に生き抜いた人々の想いが繋がれます。
「どんな街にも懸命に頑張ってきた人たちのかけがえのない歴史があるんだよ」
近現代になって大きく発展した大和市域。有名なお城があるような歴史的に有名な街ではありません。しかし市域には多数の先土器時代をはじめ古代の遺跡が発見されています。そして奈良・平安時代からの屋号をいまに受け継いでいる人たちもいます。
一つの街の歴史を調べていくと過去の時代を生き抜いた多くの人たちの生きざま、功績、文化の一端に触れることができ、歴史を記録して継承していくことの重要さも知ることができます。そしてそれは他のどんな街でもおなじなはずです。
この夏は是非みなさんの街の歴史に触れてみるのはいかがでしょうか。
今回紹介した「まんが大和の歴史」この記事執筆時点で残念ながら第1巻は絶版になっていますが2~5巻に関しては1冊1000円で頒布されています。
また大和市内図書館、主要公共施設などで閲覧できるほかに、神奈川県内各自治体の公共図書館でも配架されているところがも多々あるようです。
ちなみに大和誕生以降の1991年頃までの歴史が紹介された別の世界観によるまんが「やまと100年」もあります。こちらは大和市内図書館、公共施設で閲覧できます。
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2021/7/26 11:31(JST)