能登半島地震で倒壊した古い戦争慰霊碑を見ました。
碑文を読むと、明治時代の戦争で功績を挙げた軍人の霊を慰めるものでした。
このあたりには、過去の戦争で活躍した軍人をたたえる碑が少なくありませんが、これはかなり古い方です。
ふと、作家・新田次郎の有名な小説『八甲田山死の彷徨』を思い出しました。映画やテレビドラマにもなりました。
日ロ戦争前の冬、日本陸軍が青森県の八甲田山で行った雪の中での訓練で、多くの犠牲者を出した実話を元にしたものです。
もっとも印象に残っている場面-。
この雪中行軍の訓練に加わった一人の軍人。彼は、かろうじて生還できたのですが、周囲の人たちは日が経つにつれ、八甲田山の雪中行軍事件のことを話題にしなくなります。
そうした中、彼は「酒の奴隷」と化します。そして妻に見限られてしまいました。
ある日のこと。一人酒場で大酒を飲んでいた時、同じ店にいた客の若い男に、「オレは八甲田山の生き残りの勇士だぞ」と告げたのですが、その男性は八甲田山事件の時、まだ生まれていなかったこともあり、「なんだい、八甲田山の生き残りっていうのは…」と言われ、ショックのあまりそのままテーブルにうつ伏せになって絶命したとのことです。
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過去の戦争を忘れてはならない、との意味を含めて碑にロープがまかれているのだと思います。
以上