(小雨降る日に見かけた冬の薔薇)
冬本番に備えた雪吊り・雪囲いの作業が始まりました。12月半ばになると、このあたりでは雪が降り出すので、その前に作業を終えねばなりません。
何年か前の冬は天候不順で雪吊り・雪囲い作業が大幅に遅れ、ある家には年明けの1月3日に訪ねました。
するとそこのご主人が怒りをあらわにして、「今時来てなんだ!あんたらそんなにお金が欲しいのか!」とシルバーの皆々に罵声を浴びせたとのこと。
事情を知らないヤツ、いやお客さまです。
雪吊り・雪囲い作業は雨だと縄が濡れてしまい、できないのです。しかたなく仕事はお休みになります。こちらとしては、できれば12月半ばまでにすべて終わらせたいのですが、その年は雨や雪が続いて作業が予定通りに進みませんでした。病気で休んだ人も1人いましたし。-こちらも焦っているのです。
そういう高飛車な物言いをする客は断ればいいのです。2倍のお金を払って民間の造園業者に頼めばいいのだ。
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そんなことを思い出しながら小雨のある日、庭先で冬のバラを見かけました。枯れかけて花びらが散り始めており、なんとなく侘しい風情。
ふと思い出したのが、思想家・新渡戸稲造(1862-1933)のあるエッセイです。新渡戸稲造全集(19巻)から引用します。
「茎の上で朽ち果てるバラの花のようではなく、たとえ、その栄光の極地にあっても一陣の微風の招きに応じて生命の木から離れ去る、あの桜花のように、あるいはまた、光彩に満ちた衣装のまま、秋のそよ風に誘われて舞い落ちる楓の葉のように潔く散ることである」
味わいがある文章ですね。流石、『武士道』の作者です。
引用文に楓が出てきましたので、仕事先で見かけた綺麗なイロハカエデの写真をアップします。
(ある公園のイロハカエデ。カエデの下は竹を使った雪囲い)
新渡戸稲造は外交官でもあり、国際連盟の事務次長も務めました。
前の5000円札の肖像画としてもお馴染みかと思います。 <続く>
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