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前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。
久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。
『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。
そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。
航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。
だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。
☆☆☆☆☆
悪意~その7
〈譲二〉
玲さんは窓に目をやり、窓を流れる雨を眺めながらつぶやいた。
玲「そのうちに手が空いたアンタ達は歴史の話題で盛り上がって…。」
玲「昔、アタシが小さかった頃によく聞かされた歴史のエピソードを父さんがアンタに楽しそうに話して、アンタはそれに的確に受け答えしてた。もう2人の世界って感じだったわ」
譲二「そうか…」
玲さんが話す俺とマスターの姿はあの頃の日常そのままだった。
だから、玲さんがクロフネを訪ねた日がいつだったのか、俺には窺い知ることはできなかった。
玲「その時、アタシ気づいたの。アンタは父さんの自慢の息子なんだって。」
玲「父さんがアタシになって欲しかった理想の息子がアンタなんだって…。男か女か分からないような息子なんていらない、アンタがいればいいんだって」
譲二「そんなことはないよ…。確かに、浦賀さんは小さい頃に別れた玲さんを俺に重ねてたのかもしれない。だけど、本当の息子に会えたら、それが一番嬉しいんじゃないのか。」
玲「そんなことあるわけない。その日結局父さんはアタシに気づかなかった」
玲さんの目から溢れた一筋の涙が白い頬を伝った。
玲「それからも時々覗きに来たのよ。流石にもう店の中には入れなかったけど…。」
玲「アンタはホント、入り浸ってたわね?店の前に水撒きしたり、看板を出し入れしたり…窓から覗けば父さんと楽しそうにおしゃべりするアンタが見えた」
譲二「ああ、あの頃は暇さえあれば、黒船に通ってたからね」
玲「でも、アンタはバイトですらなかったそうね…」
譲二「どうしてそれを?」
玲「色々調べたの。だから、アンタがあの茶堂院グループの御曹司だってことも知ってるのよ…」
玲「ちょっとタバコを吸ってもいい?」
そのふてぶてしい態度にまた苛立ちが募ったが、その気持ちをぐっと抑えて言った。
譲二「どうぞ」
その8へつづく