裕子は一度自分の部屋に戻ったがまた部屋を出た。
廊下を歩いて一つの部屋の前で止まった。
マを小さく叩いたら何も言わずドアが空いた。
「お邪魔します」
と入ってゆく裕子。少し経ってから廊下で裕子の声が聞こえた。
「あっ、そこです。至福の夜〜たまりませんわ」
廊下の壁の時計は10時30分を指していた。
部屋にいる裕子以外の声は聞こえなかったから一人でおしゃべりに夢中になる裕子だった。
「始めは片山さんだったのにいつの間にか裕子さんに変わっていて」
そう言ってはクスクス笑っていたがまた急に声が変わった。
「あっ そこで〜す あぁ シアワセ」
と叫んだ。