京都の闇に魅せられて(新館)

京都妖怪探訪(195):妖怪絵師・葛城トオル




 今回は本シリーズにふさわしい、「京都」「妖怪」という2つのキーワードで語るにふさわしい、非常にユニークな人物を紹介します。

 独特のタッチで描かれた妖怪画などの作品を作り、世に発表してきた「妖怪絵師」。
 独自の視点で妖怪やその背景にある歴史などを研究し、それを世に広める「妖怪伝道師」。
 京都市内で「妖怪堂」という店を営んでいた店主。
 そして、「妖怪の子孫」を名乗る人物。「妖怪」として歴史の闇に葬られた「まつろわぬ民」の末裔でもあるという人物。
 そんな人物が居たのです。

 その人物の名は「葛城トオル」。
 「葛城凶」と名乗っていた時期もあったようですが。
 現在でも「妖怪講座」や、京都にある「魔界」や「妖怪スポット」の案内などのイベントを開催したり。
 妖怪画などの作品や、妖怪画の描かれたバッグやTシャツなどのグッズを販売していたり等、いろいろとご活躍のようです。

 そして何と今夏(今年の8月末まで)、豊臣秀吉の正妻ねねが建てたという京都市内の名刹・高台寺圓徳院で開催されています「百鬼夜行展」にて、作品展示や妖怪講座などのイベントも開催されるという話です!


 まずは、そんな葛城トオル氏のプロフィールから紹介しましょう。

 葛城氏のブログ記事に書かれているプロフィールから。


>妖怪堂店主。古物商四代目。1961年 東山三条にて生まれる。母方は堀川下立売 祖父の渡辺弥平は着物柄の発案師であり、宮に仕える絵師の家系と伝わる。嵯峨美大から大手印刷会社デザイナーを経て、家業を継ぐが、ある日、自分が妖怪の子孫と気づき、妖怪伝道師となる。独自の切り口で、京都の魔界や妖怪伝承を解明している。現在、僧侶になるべく修行中。

>能・歌舞伎・狂言・謡曲などで語り継がれている「土蜘蛛」。
土蜘蛛が源頼光・渡辺綱と闘う口上にて
汝知らずや我昔、奈良の葛城山にて年を経し土蜘蛛の精魂なり
というくだりを聞き、これこそが古代豪族葛城氏を指すと認識し
それ以来妖怪の起源伝承を伝えることに使命を感じています。


(引用ここまで)


 まず葛城氏の出自から。
 「母方は堀川下立売 祖父の渡辺弥平は着物柄の発案師であり、宮に仕える絵師の家系と伝わる」とありますが、その家系をさらに遡ると、土蜘蛛や酒呑童子などの鬼・妖怪を倒したとされる英雄・源頼光配下の「四天王」の一人、渡辺綱の子孫・渡辺氏にあたるそうです。
 そして、父方の葛城氏。古代からの妖怪伝説において、「鬼」や「妖怪」として倒され、闇に葬られた者たちの正体は、朝廷(中央権力)によって潰された豪族や先住民など「まつろわぬ民」であるという説があります。
 つまり、源頼光や渡辺綱があまたの鬼や妖怪を倒していく伝説の背後には、彼ら朝廷側の人々が、朝廷に従わない「まつろわぬ民」を武力によって討ち滅ぼしていったという歴史的事実があるのです。
 妖怪「土蜘蛛」とされた人々の正体も、かつては天皇以上の勢力を誇りながら滅ぼされた古代豪族・葛城氏だったというのです。

 次の写真は、祇園祭の「役行者山」の前で解説する葛城トオル氏です。





 「神すら支配・使役するような恐るべき力で朝廷とも戦った」との伝説のある「役行者」も、葛城の民の出身だそうです。
 ということは、葛城トオル氏は……。
 母方は「妖怪退治の英雄」の末裔。父方は「鬼」「妖怪」として闇に葬られた者達の末裔……などと、両者の血を引く末裔という、生まれからして凄い設定の人物なのです。
 ファンタジーに喩えて言えば、「伝説の勇者と魔王(魔族)との血を引く人物」ということになりますが、そんな「厨二病」みたいな(失礼!)設定の人が本当に居て、しかも実際にお目にかかれた。
 それだでも、私にとっては驚きなのです。

 葛城トオル氏ご自身も、そんな自分の出自に運命的なものを感じられたのでしょう。
 独自の視点で妖怪研究を続け、それを「妖怪講座」や「京都魔界ウォーク」などのイベントの形で発表・解説をし続けておられます。

 
 高台寺圓徳院にて行われる、今夏の「百鬼夜行展」の案内ポスターです。





 毎年夏に、高台寺にて開催されるイベントです。
 本シリーズ第51回には、一昨年の「百鬼夜行展」の様子を書きましたが。
 今年は、両寺院で葛城トオル氏の作品展と妖怪講座があります。
 詳細は、両寺院のサイト内で解説されておりますが、ここでも紹介しましょう。






高台寺HP:『百鬼夜行展など夏の行事のご案内』より

妖怪絵師―葛城トオルの世界
2012年7月20日(金)~8月31日(金)
葛城トオル製作の妖怪画とオブフェを使ったインスタレーション
場所/高台寺 北書院、圓徳院
展示作品/「百鬼夜行」「目ひとつ坊」「輪入道」「土蜘蛛」など

高台寺妖怪講座
日時/8月4日(土)、8月11日(土)
時間/午後7時~  場所/高台寺本堂
受講料/無料 ※拝観料が必要です。
*圓徳院でも妖怪講座を行います。(不定期)

高台寺 夏の夜間特別拝観 燈明会(とうみょうえ)
2012年8月1日(水)~8月18日(土)
期間中、夏の夜間特別拝観をいたします。
受付:午後9時30分まで(午後10時閉門)
日没後ライトアップ。


(引用ここまで)


 ところで高台寺の「夜間特別拝観」ですが、第51回の時みたいな百鬼夜行アニメの上映とか、またやってくださるとうれしいのですが。






圓徳院HP:『百鬼夜行展など圓徳院夏の拝観案内』より

百鬼夜行展
◆日時 平成24年7月20日(金)~8月31日(金)
◆場所 高台寺・圓徳院
◆拝観時間:高台寺/午前9時から午後6時受付終了
          (6時半閉門)
      圓徳院/午前10時~午後5時受付終了
          (午後5時30分閉門)

>◆◆◆ 夜間の一般拝観は行っておりません ◆◆◆
圓徳院 夕暮れからの特別拝観
客 殿 に 微 涼 生 ず
――― 百鬼夜行 ―――
2012年8月1日(水)~8月18日(土)
午後5時30分~午後9時(日没後ライトアップ)

主催/高台寺・圓徳院
協力/アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc


夕暮れからの特別拝観をご希望の方は・・・
下記条件に該当する方限定の圓徳院の夕暮れからの特別拝観です。
◆高台寺・圓徳院の諸行事に御協力いただいているホテル・旅館にご宿泊のお客様は、フロントにお申し込みください。
◆アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード会員の方及び、クラブ エッセンシア メンバーの方は、圓徳院に直接お越しください。
◆京・洛市「ねね」のお客様は、各店舗にお問い合わせください。


(引用ここまで)


 圓徳院の方の夜間イベントに参加するには、特別に予約とか手続き等が要るようです。


 講座の内容は、一例を挙げれば以下の通り。

>★妖怪・鬼・幽霊・オバケ・モノノケ・妖精の区別とは
★妖怪の発祥について
★河童と祇園祭
★鬼と地獄絵
★百鬼夜行絵巻
★過去の妖怪・現代の妖怪


 この他にもいろいろあるそうです。






 ところで先日、両寺院に行ってきましたが、葛城氏の発表作品を含む内部の撮影は禁止されておりましたので、せっかくの面白い作品をここで紹介することができません。

 いや、ひとつだけ写真に撮れた作品があります。
 高台寺・圓徳院で発表されているものではありませんが。
 以下のTシャツに描かれている妖怪・犬神です。





 これは、先日の祇園祭の時に葛城トオル氏主催のイベント「妖怪講座・ウォーク」の参加者の方が着ておられたTシャツに描かれた作品です。
 その作者と同じく、ユニークな絵です。
 現在でも葛城氏は、こうした作品を製作・販売もしておられるようですが、何しろいろいろとお忙しい方なので、運良く注文を受けてもらえても、完成して手元に届くまでは長い時間がかかることを覚悟した方がいいでしょう。
 うーん、妖怪ヲタクとして、こういうシャツの一着くらいはほしいのですがね。



 以上。
 今回は、葛城トオル氏のユニークな人物と作品、そしてイベント等について紹介してきました。
 京都と妖怪のヲタクの一人として、今後も葛城氏のご活躍を期待します。

 なお、今後の葛城氏のイベント等については、文末で紹介します葛城氏のサイトとブログをご覧ください。



 それでは、今回はここまで。
 また次回!




*妖怪堂のHP
http://www.maekake.com/yokai_index.html


*葛城トオル氏のブログ
http://blog.livedoor.jp/maturowanumono/
(葛城氏主催のイベント等について詳細は、こちらをチェック!)


*高台寺のHP
http://www.kodaiji.com/index.html


*圓徳院のHP
http://www.kodaiji.com/entoku-in/idx.shtml





*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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