前々回と前回の続きで、“生の六道”こと、嵯峨・薬師寺の話です。
普段は非公開のこの寺も、年一回、8月24日の「地蔵盆」の日だけは一般公開されます。
今回は、その地蔵盆に参加した時の様子を記事にします。
午後3時から法要が始まりました。
せっかくですので、私も一緒に参加させていただきました。
小野篁が創ったという生六道地蔵菩薩像に向かってお経を唱える住職さん。
僧侶や檀家の皆様、地元の方々と共に、私も一緒に座ってました。
正直言いますと、私の家は薬師寺さんとは宗派がちょっと違ったのですが(注:薬師寺さんは浄土宗知恩院派のお寺で、私の家は浄土真宗です)。
でも、貴重な写真までいくつも撮らせていただいて拝まずに帰るのも失礼かな、と思いました。
それに、親切な檀家や地元の皆様とお会いできたのも何かのご縁です。
貴重な経験にもなるだろうと思って、参加させていただきました。
お経を唱え終わった後は、皆で本堂の外に出ます。
法要の後は、「送り火」が行われます。
準備もすっかり整っているようです。
段ボール箱の中から、何かが取り出されます。その中身は、多くの水塔婆(みずとば)でした。
ところで、水塔婆とは何かをちょっと説明しましょう。
卒塔婆(そとば)あるいは、塔婆(とうば)というのは、上部を塔の形に刻んだ細長い板で、経文や戒名、施主の名を書くものです。塔婆を立てるということは、お骨をおさめている所、「霊域」であることを表しているわけです。
水塔婆といわれているのは、普通、経木(きょうぎ)とも呼ばれる最も簡略な板の塔婆に、お経の一節や死者の戒名や俗名などを書いて川に流したりして、水死者や魚の霊をとむらうものです。
なお、宗派によっては卒塔婆を用いません。
参考までにシリーズ第52回で紹介しました「六道珍皇寺の六道まいり」の水供養の写真を以下に。
お香の煙で清められていたり、「水回向」と書かれた桶に納められているのが水塔婆です。
話を戻しましょう。
ここにたくさん集められた水塔婆を、住職さんたちがお経をあげる中、火にくべることによって供養します。
一年間に回向した水塔婆を梵くことによって、「精霊(しょうろう)と呼ばれる死者の魂を見送るのが、「送り火」です。
その様子を以下に。
もちろん私も参加し、水塔婆を火にくべました。
この時はまだ残暑のきつい8月であったので、勢いよく燃える火に水塔婆をくべるのは、熱くてなかなか大変だったです。
「送り火」が終わった後、元の静かな様子に戻った境内の様子です。
これでご先祖などの死者の魂が帰り、お盆も、今年の夏も終わりを迎えます。
薬師寺と、参加者の皆様やに別れを告げ、私は次の目的地である「千灯供養祭」の行われる化野念仏寺へと向かいます。
最後にもう一度、全くのよそ者であった私を暖かく受け入れてくださった、親切な薬師寺と檀家の皆様、地元の方々に、改めてお礼を申し上げます。
皆様、本当にありがとうございました!
では、今回はここまで。
また次回に。
嵯峨・薬師寺のホームページ
http://yotsuba.saiin.net/~saga/yakusiji/index.html
薬師寺・清涼寺付近の地図は以下を参照(楽天マップより)。
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm