もう祇園祭はとっくに終わっている頃でしょうが(笑)、もうちょっとだけ祇園祭の話を。
本来ならば、7月の祇園祭とほぼ同時進行で記事更新していきたかったのですが、このところネット活動以外でも公私共に忙しいこともあって、なかなかそれだけの余裕がありませんので……。
前置きはそれくらいにして本題。
今回は祇園祭にゆかりのある場所の中でも、京都の街中に……しかも京都市街地の中心部である烏丸四条にひっそりと建つ不思議スポットを紹介します。
それが「大政所御旅所(おおまんどころおたびしょ)」です。
「御旅所(おたびしょ)」とは、神社の祭礼において神様(ご神体をを乗せた御輿など)が巡幸の途中で休憩や宿泊をする場所、あるいは目的地の場所をいいます。
祇園祭の御輿には、スサノオ(=牛頭天王)が乗る「中御座」、クシナダ姫が乗る「東御座」、そして2人の間に生まれた8人の皇子・八柱御子神 (はやしらのみこがみ)が乗る「西御座」という3基の御輿があります。
そのうちスサノオ(=牛頭天王)と八柱御子神との御輿を「大政所」といい、かつてこの「大政所御旅所」には、祇園祭の「神輿御渡」の際にはその2基が滞在していたそうです。
この場所が御旅所になった由来については、次のような不思議な話が伝わっています。
円融天皇の時代(969~984年)に、この地に住んでいた秦助正という人物が、夢の中で八坂神社の神様からおつげを受け、さらに自宅の庭から八坂神社まで蜘蛛の糸がひいているのを見て、そのことを朝廷に報告したら、助正の家が御旅所に指定されたそうです。
1591(天正19)年豊臣秀吉によって、3基の御輿の御旅所は、四条寺町にある現在の場所に統合されました。
この「大政所御旅所」があった場所は、現在でも小さな社が残り、神還祭の際には御輿が立ち寄り、神事が行われます。
まずはいつものとおり、その場所のアクセスから。
京都市の中心部・烏丸四条の交差点から2辻目の烏丸仏光寺・交差点。
京都市営地下鉄の烏丸線・四条駅の5番出入り口からそこに出られます。
そこから烏丸通りの東側歩道を少し、ビルひとつ分だけ南へ。
すると小さな社が見えてきます。
普段はビルの谷間にひっそりと立っている小さな社で、何気なく歩いているだけではつい見落としてしまいそうです。
でも、この社には先述した不思議な伝説と由緒があるのですね。
前々回と前回の還幸祭の時、この大政所御旅所の話を思い出しました。
四条寺町の御旅所から一基目の御輿、スサノオ神が乗るという中御座が出発してから、四条通りを西へ向かいます。
御旅所前の最前列に居た分、そこの人混みから抜け出すのにひと苦労しました。
その途中、四条通の歩道沿いに一頭の馬が。
面白いので、撮影してたらついつい時間が経ってしまいました。
が、大政所御旅所のことを思い出して、すぐに西へ。
もうちょっと馬の写真を撮りたかった、惜しいなという気持ちもありますが、まあ仕方がありません。
さらに西へ。
烏丸四条の交差点へ。そこから南へと。
地下鉄四条駅の5番出入口のある辺りに近づくと、既に人混みが。
私がのんびりしている間に、御輿の一団は既に到着し、神事が始まっていたようです。
烏丸通りの東側から、西側の歩道に移動して神事の様子を撮影してみました。
神事の後、再び中御座が担がれます。
再び出発です。
御輿の行列が去った後の大政所御旅所の様子です。
この後、7月31日の夏越祭で祇園祭は終わりを迎えます。
ところで、秦助正という人が「夢の中で神様からお告げを受けた」と朝廷に報告したら、自宅が御旅所に指定されたという話ですが。
今なら宮内庁か神社本庁あたりに「夢の中でお告げを受けました」とか報告したら、自宅を御旅所に指定してもらえるのでしょうか?
……いや、さすがにそんなわけないか(笑)。
そういうしょうもない話はともかくとして、朝廷や八坂神社に特別なコネとか信用のないただの一般人が「八坂の神様からお告げを受けた」などと言っても、おそらくは信用してもらえなかったでしょう。
とすると、秦助正という人は、無名の一般庶民ではなかったのでしょう。
そういえば、平安遷都以前の古代京都を形成した渡来系の有力豪族の中に秦氏という氏族が居ました。聖徳太子の側近・秦河勝などが有名です。
秦助正という人も、その秦氏の一人だったのでしょうか。それくらいの名門出身の有力者でなければ朝廷に話を聞いてもらえなかったし、ましてや自宅を神様の宿泊所に指定などしてもらえなかったでしょう。
八坂神社や祇園祭・祇園信仰などの形成にも、秦氏が関わっていたのでしょうか?
ふと、そんな推測が浮かんできました。
それでは、今回はここまで。
また次回。
「大政所御旅所」とその周辺の地図はこちらです。
祇園祭のホームページ
http://www.gionmatsuri.jp/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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