ここに来て初めて、庭先にオスのエゾジカを見た。
これまで、庭の草を食んでいたのは、ずっとメスと小ジカの群ればかりだったのだが、求愛の季節になったということらしい。
頭の角から判断すると、まだ三歳の若いオス。
体もメスとあまり変わらないサイズで、求愛経験は少ないのかもしれない。
何気なくメスと小ジカの群れの中に入ってみるのだが、メスはさっと遠ざかる。
ゆっくり近寄ってメスのお尻に鼻を寄せるたびに、彼女はすっと遠ざかり、別の場所に移動して何ごともなかったように草を食べ始める。
何度か素っ気無くされた後、彼は一息つくように足元の草を口に咥え、情けなさそうな顔をこちらに向けた。
メスは慣れたもの。
オスが近くまで来ると、するりと体をかわして離れた場所へゆっくり移動し、子どもたちと一緒に草を食み続ける。
オスはそれであきらめたりしない。
ただ、
むやみに背後に近づかないことにしたようだ。
タンチョウが身づくろいをしている池の縁まで来て草を食むメスと一定の距離を置いて立ち止まっている。
じっとメスの様子を伺い、アプローチ方法を思案しているようだ。
彼女を見、タンチョウのカップルを見、遠くを見、そしてまた彼女を見る。
「何事も焦ってはいけない」と、自分に言い聞かせているのかもしれない。
これまで、庭の草を食んでいたのは、ずっとメスと小ジカの群ればかりだったのだが、求愛の季節になったということらしい。
頭の角から判断すると、まだ三歳の若いオス。
体もメスとあまり変わらないサイズで、求愛経験は少ないのかもしれない。
何気なくメスと小ジカの群れの中に入ってみるのだが、メスはさっと遠ざかる。
ゆっくり近寄ってメスのお尻に鼻を寄せるたびに、彼女はすっと遠ざかり、別の場所に移動して何ごともなかったように草を食べ始める。
何度か素っ気無くされた後、彼は一息つくように足元の草を口に咥え、情けなさそうな顔をこちらに向けた。
メスは慣れたもの。
オスが近くまで来ると、するりと体をかわして離れた場所へゆっくり移動し、子どもたちと一緒に草を食み続ける。
オスはそれであきらめたりしない。
ただ、
むやみに背後に近づかないことにしたようだ。
タンチョウが身づくろいをしている池の縁まで来て草を食むメスと一定の距離を置いて立ち止まっている。
じっとメスの様子を伺い、アプローチ方法を思案しているようだ。
彼女を見、タンチョウのカップルを見、遠くを見、そしてまた彼女を見る。
「何事も焦ってはいけない」と、自分に言い聞かせているのかもしれない。