見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

「やわらかい生活」の寺島しのぶ

2007-02-02 00:46:43 | 文化・映画・演劇・音楽
懇親会の2次会を断り、急いでコミュニティシネマNPOの上映劇場へ向かった。今夜は、寺島しのぶX豊川悦司 が主演する「やわらかい生活」

先月、同じ二人の主演する「愛の流刑地」を観たばかりだったが、全く別の印象の作品だ。

キャスティングで比較すれば、「やわらかい生活」の方が、寺島しのぶの雰囲気が活かされていたかもしれない。「愛の流刑地」を日経で愛読していた友人は「寺島しのぶは嫌いだから映画の方は観たくない」と言っていた。

二つの映画に共通していることは、「残されて生きる者の苦悩」。
「やわらかい生活」の主人公橘優子(寺島しのぶ)は、両親と友人を事件・事故で失って躁うつ病の薬に頼る生活。「愛の流刑地」の主人公村尾菊治(豊川悦司)は愛する女性を絞殺した罪で被告席に座っている。

いや、単に同じ俳優が主演したという理由だけで二つの映画を比較するというのも無理がある。

今夜の「やわらかい生活」の橘優子は、一人暮らし。躁うつ状態に落ち込み、薬を常用しながらも、自分の弱さに正直に生きている。人間の精神はもろく、周囲の何気ない温かさに癒されたり、ちょっとしたしぐさに傷ついたりするのだと映画は語る。
優子のいとこの祥一(豊川悦司)が、優子の髪をシャンプーしたり温かな食事をつくったりする場面にふんわりとしたのは、自分が乾いていたからかもしれない。
映画の結末はとても悲しい。けれど、優子が様々な男性とのかかわりの中で癒され、回復し、未来に希望がもてる最後の銭湯のシーンが印象的だった。
映画館を出ると凍てつく夜空。近くの銭湯に寄りたくなったが、すでに夜の11時を回っていた。


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2 コメント

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Unknown ()
2007-02-03 14:18:44
「愛の流刑地」はカップルで見ましたが、情感豊かなセリフに男女の深層が伺えて新鮮でした。
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行くも戻るも地獄 (ワイン)
2007-02-04 10:08:20
「ボクは、選ばれた殺人者だったのだ」という主人公の台詞にはやや違和感がありました。
家庭も相手との逢瀬も、両方とも捨てられずに、女性は決断しましたが(あるいは、捨てられない苦しさに押しつぶさたのか)、出口のない道に彼女を引き込んだ男を道連れにした気持ちを考えると、切なくなります。彼女の愛は「奪う愛」ということでしょうか。
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