見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

民主主義が育つ環境(その2)

2007-07-31 00:51:41 | 欧州
「スウェーデンは、社会システムがどんどん変わっていくんです。」と高見幸子さんは明るい表情で言った。
「法律もどんどん変わり、戸惑うこともありますが、多くの場合、より良い方向への変化なので、市民は大方満足するんですね。でも、もし場当たり的な判断で法律や条令が策定され、結果として社会課題が大きくなってしまったとしたら、国民は選挙でその判断に『NO』を示すことができますよね」
王国であった1700年代から、すでに議会の卵が存在していたスウェーデンの民主主義の歴史の長さを、高見さんは指摘する。
実際、昨年、長く政権を握っていた社民党が選挙で負けた。失業者保護を手厚くし過ぎて国民の不満を買ったのだという。政策について国民ひとりひとりが意思を伝える方法のひとつが選挙。マスコミも国民の政治参加の過程や結果をしっかりと追求し報道していく。

「民主主義の基本である選挙権の行使について、スウェーデンはとても敏感です。投票率80%を切ることがあると、マスコミも行政も課題と責任の所在を論じて大騒ぎ。民主主義を育てるジャーナリズムの力を、この国では感じますね」
日本では、各党の政策に国民を魅了する哲学やビジョンが感じられない、と高見さん。無党派層が増えているのは、同タイプの揃った政治家とそれを批判しないジャーナリストたちの責任ではないか、と。
政府や自治体は、高い選挙投票率を維持するための努力を常に模索している。乗降の多い駅に臨時投票所を設置するという策も試みた。そして、行政をそう動かしているのは、多くの国民やマスコミの努力でもあるのだと。
自分の教育経験の反省から、「日本の学校教育の責任も大きいと思うのですが」と投げかけると、高見さんは、「娘の成長を通して、スウェーデンの教育を見て来ましたが、日本の教育との違いをはっきり感じますよ」と大きく頷いた。
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