見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

サービスを最小限まで削ぎ落とした欧州航空会社

2007-09-23 07:49:39 | 欧州
欧州ではここ数年に新規参入した格安航空会社が人気だと、大手紙の記事で読んだ。どこかで試してみたいと思っていたのだが、ようやくそのチャンスが来た。
この旅では、経費の節約と手軽さという理由で長距離移動にバスを利用している。小さな街の日常生活を車窓に見える楽しみがある反面、長時間の乗車はやや体に堪えるので、できるだけ隣接した国を移動し、乗車時間が短くなるように努めてはいる。
実際、欧州の鉄道料金はとても高い。若者のユーレイルパスは便利だが、私の年になると長期旅行用のユーレイルパスですら、10日分利用パス(2ヶ月以内有効)が98,700円だ。もっとも、日本でも列車の長距離移動は安くないから驚いてはいけないのだが。

バスを使って東欧の国々をもう少し渡り歩こうと思っていたのだが、予想以上に早い秋の訪れに気持ちが軟弱になった。まだセーターの気候には早い。陽気で暖かな地中海に近づきたい。陽気といえば、イタリア。

早速、ブダペストからイタリア行きの航空券をネットで探してみた。
確かに安い。
ハンガリーに拠点を置くWIZZ AIR では、ローマまで税込10,410Ft(約6,600円)の日がある。曜日や時間帯によってその価格に4倍以上の差が出るところに需要と供給のバランスの変化が見えて面白い。


6,000円台となると、ブダペストからローマまで南下するバス代より安い。迷わずネット上でクレジットカード決済、WIZZ AIRに乗ってみることにした。

低価格の基本は、人件費削減ということなのだろうが、無駄な動きとオプショナルサービスの撤廃らしい。
■チェックイン
空港のチェックインカウンターでは、パスポートを提示するだけ。通常必要な予約チケット、バウチャー、予約ナンバーといった予約を証明する書類は一切必要とされない。従ってチェックインにかかる手間と時間が半分以下になる。
■座席
パスポートの名前だけで予約を確認すると、係員が搭乗券を発行してくれる。「窓際の席をお願いします」といつものようにお願いすると、「フリー・シートです」とあっけない応えが返ってきた。
搭乗券は、これまでのものと同じ様式だが、よく見ると座席番号欄が空欄になっている。「この番号があなたの番号ですからね」と、係員が付け足して言った。搭乗券の片隅に小さく「078」と番号が打たれている。
どうやらチェックイン順らしい。搭乗は、1番から順番に並ぶのかと思ったが、実際には、「0-60番」の一群を先に入れ、その人たちが搭乗し終わる頃に、61番から残りを搭乗させるという方法をとった。
■シンプルな機内装備・設備
座席は私のような小柄な人間にとってはゆったりした、一般的な欧米人向けサイズの座席である。が、通常見られるような装備・付属品はほとんどない。
ないもの:機内販売雑誌、防水性ゴミ袋、イヤフォンジャック、座席ライト、機内モニターテレビなどなど
■機内サービス
もちろん、なければ済むものはサービスしない。
ないもの:飲み物、おしぼり、新聞、ブランケット(ひざかけ)などなど
2ヶ月に一度発行されている機内紙に、「スナック、飲み物などを用意していますので、どうぞお気軽にご注文ください」と販売商品の写真が「Wizz Cafe」と称して表示。例えば、缶コーラやミネラルウォータは2ユーロ(約320円)。ローマ便では、注文した人はいなかった。


ブダペストからローマまで、1時間40分。航空機材は、WIZZ AIRのロゴが入った明るいデザイン。この価格で飛べるのであれば、フリーシートやドリンクサービスなしが気にならない納得のフライトだった。
次の移動からは、格安飛行機も選択肢のひとつに入れてみよう。試しに、ローマからスペインまでネット検索してみると、スペインの大手IBERIA航空までが、バルセロナまで56ユーロ(約8,900円)のネット価格を出していた。
日本では、JALも風前の灯火の様相。欧州のようなダイナミックな航空運賃の価格破壊は期待できそうにない。
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