見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

治安の良し悪しの判断

2007-09-28 22:41:35 | 欧州
一晩中ライオンがほえるような豪快ないびきでほとんど眠れなかった。
ドミトリーの住人全員がベッドに入った頃に到着した男性だ。
隣りに寝ているアルトやマッティも何度か寝返りを打ったりため息をついていたから、彼らも眠れなかったに違いない。
ドミトリーの良さは、各国の旅行者と話ができることだが、時に遭遇するいびきには悩まされる。どうしようもない。
朝、目をしょぼしょぼさせて、同室の者があくびをして起き上がると、「グッドモーニング」とさわかな顔をした髭面の男性がシャワー室から戻ってきた。メキシコ人だと言う。
「メキシコ!いつか行ってみたいと思っている国のひとつ。でも、治安は大丈夫?」と何気なく聞いた私の言葉に、彼はちょっと不快そうな表情を見せて言った。
「安全かって? 少なくともこのローマよりはいいよ。昨夜20時頃に駅前に着いたんだけど、その時間ですら、もう身の危険を感じた。ローマは危ないなって、瞬時に感じたよ。もっているものを狙われるような気配をね。メキシコは少なくとも旅行者に対しては紳士だよ」

↑バチカンの存在をタリバンにひっかけたバチカン否定のデモ行進

確かに、この宿の周辺は、駅前という環境もあってか、様々な肌の色の人々が夜遅くまで路上にたむろしている。かといって、「危険な気配」を感じたという彼の感覚は何だろう。欧州の多くの国に移民が流れ込み、異文化の葛藤が処々に見える。印僑や華僑が商店や飲食店を経営する地域は、独自の雰囲気と特徴があって楽しい。ローマにはアフリカ系移民の顔も目立つ。その混沌とした喧騒にメキシコ人は不安を感じたのかもしれない。見方によっては、南米系の髭面の彼の方がずっと力強く見えるのだが、そういう不安を感じない私が鈍感ということなのかもしれない。

↑「KILL  BUSH」の落書き

イタリアに入って、街の人から注意を受けるようになった。「そんなところに財布をいれてちゃだめだよ」「パスポートは持ち歩いちゃだめ。コピーで十分」「バッグは前にかけて」

治安の良し悪しを、街を歩いているだけ判断するのは難しい。落書きは、欧州各国同様に街の各所にあり、バチカン反対の大掛かりなデモ行進が真夜中に行動を練り歩く。そういえば、インターネットカフェでは、身分証明書(パスポート)の提示を求められた。インターネットを使用する者は記録されるらしい。「テロを警戒する政府の指示だよ。イタリアでは法律化されている」とインターネットショップのオーナー。そうすると、私の氏名もイタリア警察の膨大なリストに登録されるのだろうか。

↑夜中でも明るいローマの街角


↑身分証明書が必要なことを表示しているインターネットショップ

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自立のためのサイン・アウト... | トップ | 死に鈍感にならないために »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本は (ken)
2007-10-01 19:53:04
外国人の方にとっての日本はどうでしょう。
治安はいいと感じられるのでしょうか?

東京で暮らしていますが、町でいきなり強盗にあうことはないけれど、なんだか怖いときがあります。
返信する
そう言われれば (ワイン)
2007-10-03 03:19:18
日本の地方都市に住む日系ブラジル人の友人が「ブラジルには二度と帰りたくない。夜でも安心して歩ける日本がいい」とは言っていましたが、確かに、マンモス都市東京となると別かもしれません。貧富の差の大きな社会は、治安も悪いと聞きます。日本人が「昔はよかった」という昔の社会には、どうやっても戻れそうもないのでしょうね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州」カテゴリの最新記事