見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

救急車にETC設置の強行

2007-01-12 23:31:40 | 仕事・職業
居酒屋で、背広に身を包んだ壮年の男性たちがお酒を傾けながら話に興じていた。
「ETCを付けることが、鶴の一声で強制されるなんて恐怖政治だ」
ぼそぼそとした声だが、行政に関した話題には、思わず耳が敏感になる。
「仕方ないさぁ、あの第二助役に逆らえるヤツは誰もいない」「それにしても、税金の無駄遣いとはよく言ったものさ」

熱燗を酌み交わしているのは、消防関係者のようだった。初めて知ったのだが、救急車は、高速道路の料金が免除されるらしい。緊急時対応とすれば当然とも言える措置だ。従って、基本的には救急車両にETC装置は必要ないのだが、複数いる助役の一人が全ての公用車両にETC装置の設置を提案、「救急車両には不要だ」という声も一蹴したというような話だった。

「あの第二助役は何とかならないか」「二人も助役はいらないな」

ETC設置の強行はともかくとして、その日の酒の肴になった第二助役も哀れではある。その後も第二助役の圧政事例が続々と肴に上った。

今年4月より改正地方自治法が施行され、助役の名前も権限が大幅に変わるため、定数を増やす条例改定を行う自治体が少なくない。

現在も、札幌、横浜、京都、福岡などの大都市では、助役を3人設置しているが、横浜市は、今年4月より4人の助役(副市長)を置くことで議会の承認を得た。人口5万人余の北海道北見市が、合併経過措置とは言え、4名の助役を置いているのは珍しいが、複数の助役が並列されるのも、ご当人たちにとって精神的な苦労が多いだろうと想像する。
もちろん、職責や職務明細が明確になっていればいいのだが、日本では、担当項目程度の文章化はあっても、細かい職責や権限について明記しているものが少ない。明文化されずに、本人の意思に任せられる「裁量」の幅が大きすぎることが、周囲の感情や動きに大きく影響し、指示を受ける部下の戸惑いが各所で見え、そこに新たな権益が発生しているのも事実である。

陽気な居酒屋では、時々、思いがけない会話が耳に飛び込んでくる。壁に耳あり…、他山の石にしたい。


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