(社)島田建設業協会青年部の総会に、ゲストとしてお呼びしたのは中部電力浜岡原子力発電所に勤務するエンジニアの○さんと○さん。
そして、中部電力島田営業所長とスタッフのみなさんも、ご多忙の中ご列席いただいた。
東日本大震災と、その後のFukushima原子力災害により、浜岡原発を取り巻く状況は、劇的に変化した。
以前、このBlogで紹介させていただいた よ~く考えよ~♪ 放射能で首都圏消失 で、何にも専務は浜岡原発の危険性について、新たな知見を得ることができた。
そして、その知見を基に、中部電力の方々のお話を伺ったのであるが・・・
◆自分が福島第一原発の4号機と同様に発熱し続けていると考えていた使用済み核燃料が、廃炉が決まっている浜岡原発の1号機では、研究用の1本が残っているのみ。
◆2号機においても、一番新しい燃料棒でも、反応停止後7年間が経過しているため、昨夏試験的に冷却水循環を止めた際に、60℃で安定状態になった(とはいえ、7年経っても、60℃の熱を発生させることのできるパワーは凄い!)。
◆実は、中部電力は電力生産能力が不足している九州電力にも電力を融通していて、九州電力この夏の電力不足は15%の節電程度では乗り越えることができない。のみならず、他の電力会社が管轄している地域でも、原発の長期停止が継続しているため、電力不足が発生するのは自明の理。
◆原発の停止要請は、国による“浜岡原発の非常時に対する備えは問題なし”との書簡が届けられた翌日であり、寝耳に水だった。
◆1,000ガルの加速度が生じても、配管や各種弁を含む全設備に破壊を生じないということを、今回の震災後に確認した(福島第一原発で記録された加速度は448ガルで、2年前に発生した静岡沖地震では、5号機にて488ガルの加速度が記録された)。
◆過酷な環境の中不眠不休で働く東電社員の気持ちというよりも、気概は共有できる。
◆代替発電で使用するLNGは長期契約が主体であり、スポット市場に流れる量はほんの僅かで、しかもその大部分を中国と韓国が高値で買い漁っている(両国は、LNG後発国のため、十分な長期契約を得ていないため)。
等々、なかなかマスコミが取り上げてくれない原発を取り巻く現状を知ることができた。
1,000ガルの加速度に耐えうるといった設備の試験方法等、突っ込み所は満載ではあったが、真摯に質問に答える姿には、同じエンジニアとしての共感を持つことができた。
そして、講演会終了後、『ここまでして、原発にお金や労力を注ぎ込むのであれば、その力を自然エネルギーに振り替えては如何ですか?』と不躾な意見を述べさせていただいたところ、かえってきた言葉は『原子力の利用は国策です。』という、明快な答えだった。
口には出さないものの、国策であるにもかかわらず、原子炉の『停止命令』ではなく『停止要請』であることや、原発停止に伴い不足する電力を生産するために必要な費用を、いったい国がどの程度負担してくれるか明確になっていないこと等、中部電力職員も、やり場のない怒りに溢れているに違いない(次回は懇親会をセットにして、本音を引き出すこととしよう・・・)。
今回の講演会で学んだことは、
◆事実は一つしかないはずだが、視点によって事実の見え方が全く異なってしまうと言うこと。
◆国のお墨付きがあったとしても、そのお墨付きは全く当てにならないと言うこと。
◆一般的に加害者としてみられがちな人々が、実は最大の被害者だったりすること。
そして、何十万、何百万人もの人々を振り回す原子力を制御するためには、『想定外』は許されないということだった。
今ある燃料棒を移設することができなければ、今の場所で冷温安定状態にするしかないということは、改めて確認することができた。
寝食を忘れて原子力と格闘する中部電力の原発エンジニアの方々に敬意を表すると共に、決して『想定外』の出来事が起きないように『想定』して、我々の安全を守っていただけるよう、切に希望したい。
宜敷お願い致します。
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現実世界は、実験室とは違い事実はひとつの環境にないことが事実のように思います。一般的には、視点云々よりも利害の立場から、一つしかない事実がそれぞれの事実となってるだけだと思います。
「それぞれの事実」という見方は、今の世の中そのものですね!
1号機に於ける2009年度末の59本というデータと、現在の1本というデータは、安心感と言った点では雲泥の差がありますね。
もっとも、中部電力さんのデータ更新は、年度末から○○ヶ月という決まりがあるのかも知れませんが・・・
そうなると、ますますお役所的な・・・
リンク先のご紹介ありがとうございました。