右足内転筋肉離れで出遅れていた福谷浩司(慶大・右投右打・183/95)が4月15日(日曜日)に行われた慶応大対法政大1回戦にリリーフ登板した。「今季絶望的」と紹介する記事もあっただけに大丈夫かと思ったが、ストレートは神宮球場のスピードガンに最速「146」を映し出した。力感もちょっと見には以前と変わらず、胸を撫で下ろしたが、何となくせっかちな投げ方にも見えた。そこで家に戻って昨年の大学選手権当時と「投球タイム」を比較すると、投球フォームに大きな差があることがわかった。
「投球タイム」とは、右投手なら左足が動いた瞬間から、投げた球が捕手のミットに収まるまでの所要時間のことで、福谷のタイムは次の通りである。
◇2011年6/8(大学選手権、東農大生産学部戦)2.45~2.65秒
◇2012年4/15(リーグ戦、法政大戦)1.95~1.96秒
およそ0.5秒速くなっているのがわかる。ともに投げ方はワインドアップで、見た目の差異はない。ストップウォッチを使わなければこれほど大きな違いがあることに気づかなかっただろう。
軸足に体重がたっぷり乗ってそれ以降の体重移動がスムーズだった昨年夏と、軸足への体重の乗りが不十分なため上半身が前に(せっかちに)行きたがり、投げ終わったあと体が一塁側に流れ、結果的にボールが右打者の外角方向に集中していた昨日の差異――もし右足内転筋肉離れが原因なら、完治するまでマウンドに上げないほうがいいと思う。
よかったのは105、6キロのスローカーブ。腕が振れて変化は真縦。昨年までのカーブは115キロ程度の横変化だった。体が完全に直り、緩急を縦横に駆使する福谷を私は見てみたい。
[註]慶大対法大の観戦記は<公式ホームページ>に掲載